第103回おうちでレガシー カバレージ Round3 しみ(アルーレン) VS ぺぽ(スニーク・ショー)
レガシーは《オークの弓使い》の加入により、その姿を大きく変えたと言える。今まで日の当たらなかったデッキが急に脚光を浴びるようになる一方で、ドロースペル主体のデッキはこのクリーチャーに対する対策を強いられる。
レガシーにおける伝統的なコンボデッキ「アルーレン」は、当初はこの《オークの弓使い》を歓迎していた。盤面に出た際に相手にダメージを与えることが可能なこのクリーチャーはまさにアルーレンにうってつけであり、事実《オークの弓使い》加入直後のおうちでレガシーで、これを採用したアルーレンが全勝に輝いている。
…なのだが、環境の理解が進むにつれ、その先行きは怪しくなる。アルーレンはドローを進めるために《悪意の大梟》《氷牙のコアトル》などが採用されているのだが、これらのクリーチャーは《オークの弓使い》の前には無力そのもの。結果、多くのプレイヤーが「このデッキは《オークの弓使い》がいる環境に適さない」という理由で、アルーレンをあきらめることとなる。
が、ここに一人、そのアルーレンをあきらめないプレイヤーが現れる。そのプレイヤー「しみ」が考えた打開策とは、「ドローに頼らないアルーレンを作る」である。言われてみれば至極当然の結論だが、果たしてうまく行くのか。
この新生アルーレンに対するは「ぺぽ」。彼が今回持ち込んだデッキは「スニーク・ショー」。《実物提示教育》《騙し討ち》を軸とする踏み倒しコンボの筆頭である一方、今回アルーレンが仮想敵としている《オークの弓使い》は採用されていない。むしろ《思案》《渦まく知識》で手札を積極的に整える分、《オークの弓使い》が天敵ともいえる。
果たして、しみの理論は通用するのか。マッチを見ていこう。
■Round 1
ぺぽは静かに立ち上がっていくが、しみは早速《オークの弓使い》を展開。ぺぽのドロースペルに待ったをかけていく。
その上で、しみは《潮の虚ろの漕ぎ手》を展開。ぺぽの手札を覗きにかかる。ぺぽは対応して《夏の帳》で身を守るが、呼応して《オークの弓使い》が誘発。隣にいるトークンが大きくなっていく。
ここから攻めに転じたいぺぽだが、手札が芳しくないか、《オークの弓使い》を認めた上で《渦まく知識》を唱える。3点ライフロスと引き換えに勝ち手段を探しに行くが、めくれた3枚の中に回答は含まれない。
流石に盤面で大きく膨れ上がったトークンを処理できないか、ぺぽはここで盤面を畳んだ。
しみ1ーぺぽ0
■Round 2
2ゲーム目、ゆっくり立ち上がるぺぽに対し、しみは《潮の虚ろの漕ぎ手》で手札を確認に行く。公開された手札は《月の大魔術師》《激情》《水連の花びら》《騙し討ち》《古えの墳墓》《Volcanic Island》。しみは少し悩むと、《激情》を追放していく。
何故コンボパーツではなく《激情》を?という疑問を浮かべつつも、ぺぽは粛々と出来ることをやっていく。まず《月の大魔術師》を展開し、しみのリソースに負荷をかけていく。
そして続くターン、ぺぽは《騙し討ち》を展開。赤マナを払い起動しようとするが、そこにしみが待ったをかける。
彼が展開したカードは《封じ込める僧侶》。ぺぽのコンボの根幹を成す《実物提示教育》《騙し討ち》を双方封じるヘイトベアが、盤面にその姿を現す。思わずぺぽは「手札に何もいません」と宣言。そのまましみにターンを回す。
しみはターンを貰うと《第三の道のロラン》を展開。ぺぽの《騙し討ち》をかち割り、一度状況をリセットしていく。その上で攻め込みたいが、ぺぽの盤面に展開されている《月の大魔術師》が絶妙に邪魔をして攻めることが出来ない。
対するぺぽは《ロリアンの発見》でドローを進め、対応を探しにかかる。このままズルズルとゲームを引っ張ってはマズいとしみも判断したか、《エラダムリーの呼び声》で《マラメトの模範、クチル》をサーチ。そのまま盤面へ展開し、ぺぽにダメージを与えていく。
現状盤面だけ見るとかなりしみが有利な状況。しかし対策札1枚で全てが消し飛ぶという状況であり、何かしら追加の攻め手が欲しい。そう考えたか、しみは《第三の道のロラン》の能力を起動。互いにカードを引きつつ、追加の攻め手を探しに行く。
しかし、このドローが藪蛇となってしまう。ぺぽは手札に引き込んだ《耐え抜くもの、母聖樹》の魂力を起動。アーティファクトである《潮の虚ろの漕ぎ手》を破壊し、手札に《激情》を引き戻す。
その上で、ぺぽは《激情》をプレイ。盤面の《封じ込める僧侶》《第三の道のロラン》を焼き払い、フリーな状態を作り出す。その上で再度《騙し討ち》を展開。
満を持して能力を起動し、ぺぽは《偉大なる統一者、アトラクサ》を盤面に展開。手札をしっかり補充した上で《引き裂かれし永劫、エムラクール》を盤面に叩きつけゲーム終了。ぺぽが取り返す形で3ゲーム目へもつれ込む。
しみ1ーぺぽ1
■Round 3
最終ゲーム。しみは《ニッサの誓い》から《潮の虚ろの漕ぎ手》を手札に加え、ぺぽにターンを渡していく。ターンを渡されたぺぽだが、ここで少し考える。
先ほどの2ゲーム通じて、《悪意の大梟》のようなクリーチャーはもとより、《思案》《渦まく知識》すら見えていない状況。つまり、これらのカードが搭載されていない以上、デッキ内の青いカードの絶対数は少なく、したがって《意志の力》も入っていないのではないか?
そして何より、ゆっくりゲームを進めると、《潮の虚ろの漕ぎ手》《封じ込める僧侶》により、こちらのゲームプランが妨害される可能性も出てくる可能性も否定できない。先のゲームはたまたま運が良かっただけで、このゲームもそれができるとは限らないのでは?
このような考えを巡らせたぺぽは覚悟を決める。《Volcanic Island》を展開し《猿人の指導霊》《水連の花びら》と併せ、相手が《意志の力》を持っていない読みで《実物提示教育》をぶっ放す。果たしてその読みはあっており、「通ります」としみは宣言する。
ぺぽは胸をなでおろし、《偉大なる統一者、アトラクサ》を盤面に引き込む。しかし、対面のしみが盤面に置いたカードを見て、ぺぽの顔から血の気が引く。
しみが盤面に置いたカードは《魔の魅惑》。そう、図らずもぺぽの《実物提示教育》が、しみのコンボの呼び水となってしまったのである。
《偉大なる統一者、アトラクサ》の誘発に対応し、しみは先ほど手札に加えた《潮の虚ろの漕ぎ手》をプレイ。ぺぽの手札を確認し、妨害手段がないことを認めたしみは、そのまま《断片無き工作員》をプレイする。
続唱でめくれたカードは《エラダムリーの呼び声》。そのまま唱えると《護衛募集員》をサーチ。そこから《尊敬される語り手、ニアンビ》を展開し、再度《護衛募集員》を唱え、更に《洞窟のハーピー》をサーチ。再度《護衛募集員》から《オークの弓使い》をサーチし、これでコンボ完成。
無数の矢でぺぽの体を射抜き試合終了。斬新なスタイルのアルーレンを持ち込んだしみが、本日のおうちでレガシー全勝に輝いた。
■デッキリスト
■対戦動画
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