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第87回おうちでレガシー カバレージ Round3 Setoline(ディミーアテンポ) VS スン(ティムールデルバー)

テンポデッキ。少数精鋭のクリーチャーを展開し、それを《意志の力》《目くらまし》といったマナを必要としない打ち消しでバックアップする、由緒正しいレガシーのデッキである。

これまで様々な種類のテンポデッキがレガシーの表舞台に立ってきたが、現状、大きく分けて2つの派閥があるといっていいだろう。

一つは「Setoline」が持ち込んだ「ディミーアテンポ」。《オークの弓使い》といった強力な2マナクリーチャーを獲得したことにより成立したデッキであり、特に《悲嘆》や《カザド=ドゥームのトロール》と《再活性》の組み合わせは強烈。多くのアンフェアデッキに有利がつく、次世代型のテンポデッキである。

対するは「スン」の持ち込んだ「ティムールデルバー」。前環境で猛威を振るっていた「イゼットデルバー」をベースとし、アドバンテージ源+優秀なクロックである《探索するドルイド》を採用。往事の勢いを取り戻すかの如く、今最も熱いテンポデッキである。

同じ時代に生まれながら、その質は全くの別物。果たして、今回全勝決定戦を制するのは、どちらのテンポデッキか。

■Game 1

開幕スンの展開する《ドラゴンの怒りの媒介者》をSetolineは《意志の力》で打ち消し。続けざまに《悲嘆》を想起コストで撃ち込み、スンの手札を確認する。

スンの手札は《不毛の大地》《汚染された三角州》《思案》と《稲妻》2枚。悩んだ末にSetolineは《稲妻》を捨てさせ、更に《Underground Sea》から《再活性》をプレイ。墓地の《悲嘆》を回収し、2枚目の《稲妻》を捨てさせ、《悲嘆》で攻め立てる準備を整える。

が、スンはこのプレイに対し、息を吸うように3枚目の《稲妻》を引き、即座にプレイ。Setolineの《悲嘆》を除去した上で、《不毛の大地》で《Underground Sea》を処理していく。

大きく動きを阻害されたSetolineに対し、スンは《秘密を掘り下げる者》をプレイ。もたつくSetolineに対し、更に2枚目の《秘密を掘り下げる者》も追加していく。

なかなか変身しないものの、着実にSetolineのライフを削ってくる《秘密を掘り下げる者》。じわじわと追い込まれるSetolineだが、ここで《濁浪の執政》を8/8でプレイ。相手の《秘密を掘り下げる者》に対しにらみを利かせていく。

ここでスンはライブラリートップの《渦まく知識》を公開。《秘密を掘り下げる者》を《昆虫の逸脱者》へ変身させる。そのまま《渦まく知識》をプレイして手札を整え、Setolineの出方を伺う。

Setolineは大型クリーチャーを着地できたにも関わらず、目の前の《昆虫の逸脱者》を前に回答を得られずもたつく状況。そのもたつきをスンは見逃さない。

Setolineのエンドステップ、スンは《旅の探索》をプレイ。ライブラリートップの《目くらまし》《渦まく知識》を追放していく。

そのままスンはターンを貰うと、《目くらまし》のバックアップを頼りに、《些細な盗み》で《濁浪の執政》をバウンス。盤面をがら空きにした状態で、《昆虫の逸脱者》を走らせる。

残りライフ3点。Setolineは《オークの弓使い》をプレイするが、タフネス2の《昆虫の逸脱者》を処理するには至らない。1ゲーム目はスンが取っていく。

Setoline0ースン1

■Game 2

互いにクロックを処理するゲームになると踏んだか、2ゲーム目はお互いに《思案》からスタート。ゲームプランを確認した上で、2ターン目に移る。

まずSetolineは《不毛の大地》をプレイ。スンの土地を絞っていく。が、スンは一切意に介さず、追加の土地をプレイすると、《秘密を掘り下げる者》をプレイする。

対するSetolineは《悲嘆》を想起コストでプレイ。《外科的摘出》《稲妻》《厚かましい借り手》《渦まく知識》《不毛の大地》のうち、まず《外科的摘出》を捨てさせる。更に《再活性》をプレイし、《悲嘆》を釣り上げて《稲妻》を処理。

一気に手札を削がれたスンはまず《渦まく知識》をプレイしつつ、2枚目の《秘密を掘り下げる者》をプレイしていく。

が、Setolineはこれを《目くらまし》で打ち消すと、盤面に残っている《秘密を掘り下げる者》に対しても《殺し》が突きささる。

無人の荒野を《悲嘆》が走る。一見するとSetoline側にゲームが傾いているように見えるが、《再活性》と《殺し》により、ライフが大きく削れていることを忘れてはいけない。

MTGは盤面のアドバンテージを競うゲームではない。基本的には、先に相手のライフポイントを0点にしたプレイヤーの勝ちである。

そして、スンのティムールデルバーはアグレッシブなテンポデッキ。いわば、相手のライフを効率的に削ることを念頭に置いたデッキである。

スンは《渦まく知識》で手札を整えながら、《ドラゴンの怒りの媒介者》をプレイ。墓地はしっかり肥えており、3/3の状態で盤面に降り立つ。

自分のライフに余裕がないとみて焦ったか、Setolineは《オークの弓使い》を展開。軍団トークンを増やしつつ、一気にスンのライフを削ろうとする。

が、ここで1ゲーム目同様、スンの《些細な盗み》が突き刺さる。クロックの過半を占める《悲嘆》が手札に戻され、Setolineのクロックは大きく激減する。

様々なデッキに有利が取れるディミーアテンポだが、実はデルバーデッキに対しては明確な弱点を持つ。一つは、デルバーが採用している飛行クリーチャーを《濁浪の執政》以外でブロックできないこと。そしてもう一つ、《再活性》による《悲嘆》の2度撃ちを戦略の軸の一つとしており、ライフの面でも大きく不利になってしまうこと。

今回のマッチで明らかになったディミーアテンポの弱点の苦みをかみつぶしつつ、Setolineは盤面を畳む。勝者スン。新たなる時代を象徴するティムールデルバーを使用し、本日の全勝に輝いた。

■Game 3

■デッキリスト

■対戦動画


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