第67回おうちでレガシー カバレージ Round2 オムニ太郎(《ドラゴンの接近》コンボ) VS Swimmy(アルーレン)
ここに《ドラゴンの接近》というカードがある。3マナ3点火力、そして一定枚数以上唱えるとライブラリーからドラゴンをサーチ可能という、一昔前のスタンダードに収録されているコモンカードである。
お世辞にも実用的なカードとは言えないが、「何枚でも使用可能」という、MTGのルールを根本から覆すテキストに惹かれ、これを活用するべく頭をひねり、構築に励むプレイヤーは多く存在する。
今回フィーチャーテーブルに進んだ「オムニ太郎」も、そんな夢追い人の一人である。「本来はサーチするドラゴンを何枚か投入するのが常だが、色々考えた結果、ドラゴンは要らないのではないのかという結論に達した」という持論をブチかまし、堂々とテーブルに着席する。
対するは「Swimmy」。コチラは「アルーレン」で対抗する。《魔の魅惑》を軸としたクリーチャーコンボであり、通常は《洞窟のハーピー》を使う都合上、緑青黒のスゥルタイカラーで組まれるのが一般的である。
が、今回彼が持ち込んだのは緑青白のバントカラー型。《剣を鍬に》などを足し、盤面に対して強く出ることを意識した構成を取っている。この選択が吉と出るか、凶と出るか。果たして。
いつもと違う、不穏な空気が卓を包み込む。この勝負、果たしてどちらが勝利をつかむのか。
■Game 1
1ターン目、オムニ太郎は《ゴブリンの溶接工》を展開。更に続くターンで《ゴブリンの技師》を展開。ライブラリーから墓地へアーティファクトを埋め込んでいく。
ここまでの動きは赤単ペインターそのもの。しかし、埋め込まれたアーティファクトを見て、Swimmyは頭を抱える。
埋められたアーティファクトは《織端の石》。全ての呪文に「波及4」をつける、超マイナーなアーティファクトである。波及とは何かというと、唱えた際に数字分ライブラリーをめくり、同じ名前の呪文があればそれを追加で唱えることができるという能力である。
「早急に《織端の石》を設置。しかる後に《ドラゴンの接近》を唱えれば、ライブラリーの大半を占める《ドラゴンの接近》が随時捲れていくため、結果的に高確率で相手のライフをゼロにできる。従ってドラゴンは不要。」
これこそが、オムニ太郎がたどり着いてしまった、レガシーにおける《ドラゴンの接近》の活用法である。
3ターン目、オムニ太郎は《大焼炉》を設置し、マナを出しつつ《ゴブリンの溶接工》で《織端の石》と交換。そのまま《ドラゴンの接近》をプレイ。《織端の石》とあいまり、致死量の火力がSwimmyを襲った。
オムニ太郎1ーSwimmy0
■Game 2
2ゲーム目は打って変わり、オムニ太郎は静かな立ち上がりを見せる。Swimmyはその間に《思案》をプレイしつつ、少しずつ手札を整えていく。
土地を並べていくものの、やれることが無いオムニ太郎は《ドラゴンの接近》をぶつけていく。確かに3点ダメージは痛いものの、普通に撃つだけではマナ効率の悪い《溶岩の撃ち込み》に過ぎない。
そしてその不用意なプレイに対し、Swimmyの《外科的摘出》が突き刺さる。勝ち筋を失い、ライブラリーが一気に薄くなるオムニ太郎。
しかしその目はまだ死んでいない。《ゴブリンの溶接工》をプレイし、《影槍》を展開して装備。Swimmyのライフを少しずつ削っていく。これに対し、Swimmyは《森の知恵》を展開。ドローの質をさらに上げていく。
オムニ太郎は更に《激情》を展開し、一気にSwimmyへ圧力をかけていくが、ここまで準備する時間があれば、もうペースはSwimmyのものである。
《剣を鍬に》によりオムニ太郎の《ゴブリンの溶接工》を消し飛ばすと、更に続くターンで2枚目の《剣を鍬に》で《激情》を処理。オムニ太郎の盤面をきれいにしていく。
盤面の優位性をしっかり確保し、Swimmyは《魔の魅惑》を展開。《護衛募集員》によりコンボパーツである《尊敬される語り部、ニアンビ》《洞窟のハーピー》《霊気の媒介者》をサーチ。1ゲーム目の借りを返していった。
オムニ太郎1ーSwimmy1
■Game 3
3ゲーム目、オムニ太郎は《大焼炉》を2枚展開しつつ《ゴブリンの技師》を展開。Swimmyの展開する《森の知恵》に対して《機能不全ダニ》を用立てていく。
しかし、これに対してSwimmyは《虹色の終焉》で《ゴブリンの溶接工》を処理。更に《活性の力》で《大焼炉》を割っていき、オムニ太郎のリソースを奪っていく。
オムニ太郎はあきらめず、土地を再展開すると、《ドラゴンの接近》でライフを削っていく。が、そこに無慈悲に突き刺さる《外科的摘出》。
基本的に、オムニ太郎のデッキは《ウルザの物語》といったプランBがあるとはいえ、デッキ全てでコンボを成すタイプのデッキである。こういうデッキがリソースを奪われ、勝ち手段も奪われてしまうと、手も足も出なくなってしまうのがMTGの常である。
ロクに反撃できないオムニ太郎に対し、Swimmyは《氷牙のコアトル》《尊敬される語り部、ニアンビ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を展開。一気にライフを削り切り試合終了。
思えば、バントカラーにして《剣を鍬に》を搭載したおかげで、Swimmyが勝利を掴めたといっても過言ではないのではないだろうか。除去に乏しいスゥルタイカラーでは2ゲーム目の《激情》に対し、手も足も出なかったはずである。
Swimmyの選択が功を無し、見事マッチを制する形となった。
オムニ太郎1ーSwimmy2
■デッキリスト
■対戦動画
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