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第64回おうちでレガシー カバレージ Round3 けんだま(エスパー石鍛冶) VS nonka(メイズエンド)

MTGは自由な発想のゲームである。カードプールが広いレガシーにおいてはそれが顕著であり、さまざまなデッキが存在しており、独特の魅力を放っている。

だが、いざイベントになると、勝ち進むことができるデッキの種類は限られてくる。

無理もない。「あらゆるカードが使える」と言うことは、必ずしも「全てのカードが活躍できる」と等価ではない。多くのカードやアイデアが淘汰され、強力なものが生き残る。

「けんだま」の擁する「エスパー石鍛冶」も、その過酷なレガシーの荒波を潜り抜けてきたデッキである。《石鍛冶の神秘家》+《カルドラの完成体》/《殴打頭蓋》という強力なパッケージを各種スペルでバックアップする。まさにレガシーという環境を代表するデッキの1つと言ってもいいだろう。

…では、このようなデッキしかイベントで脚光を浴びることは無いのだろうかというと、そうとも言い切れないのが面白いところである。この過酷な環境に風穴をこじ開けようと、数多のプレイヤーが知恵を絞り、しのぎを削っているのだ。

今回、けんだまの前に座るプレイヤーは「nonka」。その使用デッキは…「メイズエンド」である。その名の通り《迷路の終わり》を軸とし、「異なる名前の門を10枚コントロールする」ことで勝利する、ランプ型のコンボデッキである。

確かに「バルダーズ・ゲートの戦い」で門が増えたものの、レガシーではあまり見ることのないデッキなのは確かだろう。しかし、nonkaは苦心に苦心を重ね、このデッキを全勝卓にまで持ってこられるように磨き上げている。

伝統ある強力なデッキか、はたまた、オリジナル要素の強いデッキか。どちらが全勝の栄誉に輝いたのか。その記録を振り返ってみよう。

■Game 1

nonkaはまず《耐え抜くもの、母聖樹》から《踏査》をセットし《ウルザの物語》を追加プレイ。一気に土地を増やすロケットスタートを取っていく。

対するけんだまはこれを土地単と考えたか、《石鍛冶の神秘家》をプレイ。《カルドラの完成体》をサーチして早期の決着を狙いに行く。

しかし、このけんだまの戦略に対し、nonkaの《真髄の針》が突き刺さる。当然指定は《石鍛冶の神秘家》。けんだまの動きを大きく鈍らせたうえで、nonkaは土地をガンガン並べていく。

けんだまが《渦まく知識》で回答を探す中、nonkaは《ウルザの物語》から《精力の護符》をサーチ。更に《マナ結合》もプレイし、手札の土地を一気にばらまける体制を取る。

そして次のターン、nonkaがトップデッキしたカードは《ギルド会談》。早速アンタップ状態の門を1枚使い、ドローに充てていく。引いたカードは《バルダーズ・ゲート》。更にセットしてドローに変換していく。

そして、万全の状態を期したnonkaが置いた土地は…《迷路の終わり》。《精力の護符》でアンタップしつつ、さっそく起動型能力を起動。手札に《迷路の終わり》を戻しつつ、ライブラリーから門をセット。これにより《ギルド会談》が誘発し、カードを引いていく。

更に、盤面には既に、土地をゾンビに変換できる《死者の原野》の姿も。この時点でけんだまは天を仰ぐ。基本的にエスパー石鍛冶は1対1交換の消耗戦に強いデッキであり、自分以上にアドバンテージを稼がれるデッキには対処しづらいのだ。

最後のあがきか、《虹色の終焉》で《真髄の針》を対処し、盤面に《カルドラの完成体》を走らせるが、時すでに遅し。ノーコストでばらまかれるゾンビの壁を突破することはできず試合終了。nonkaが全勝に手をかけていく。

けんだま0ーnonka1

■Game 2

続く2ゲーム目、nonkaは先ほどと同様《踏査》から始まる好スタート。対するけんだまも《思案》を唱え、手札を整えつつこれを迎え撃つ構えを取っていく。

nonkaは土地を伸ばそうと、《壌土からの生命》をプレイ。しかし、これはけんだまの《否定の力》が突き刺さる。

続いて墓地から土地をプレイできるようになる《世界の導管》をプレイしていくnonkaだが、これもけんだまの《意志の力》により阻まれる。

思うように立ち回りができないnonkaに対し、けんだまは《石鍛冶の神秘家》をプレイ。先ほどと同様、《カルドラの完成体》を用意していく。

流石にこれを耐え忍ぶことはできないと思ったか、nonkaは《Glacial Chasm》をプレイ。全てのダメージを軽減し、引きこもりの体勢を取っていく。

しかし、nonkaの顔は険しい。確かに強力な《Glacial Chasm》だが、対価の累加アップキープコストとして、ライフを支払い続ける必要がある。

通常、この土地の累加アップキープを蹴り、墓地に落ちた《Glacial Chasm》を何らかの方法で回収。再度設置して永遠に引きこもり続けるという戦略を取ることが多い。

nonkaの顔が険しい理由がまさにそこにある。そう、先のプレイで、墓地から土地を回収できる《壌土からの生命》《世界の導線》は対処されてしまっているため、上で挙げたテクニックが使用できないのである。

刻一刻と減っていくライフポイント。《ギルド会談》を設置し、何とかして引きこもる方法を探しに行くnonkaだったが、こういう時に限って回答を得ることはできない。

累加アップキープを支払えず、nonkaは盤面を畳む。2本目はけんだまが取り返していった。

けんだま1ーnonka1

■Game 3

最終ゲーム、nonkaは1枚目の《踏査》が《意志の力》に弾かれるも、2枚目の《踏査》は無事着地させる。一方のけんだまも《石鍛冶の神秘家》から《カルドラの完成体》を射出。nonkaのライフを高速で削っていく。

対するnonkaは《ギルド会談》をプレイしつつ、《Glacial Chasm》で引きこもり体制を作っていく。更にnonkaは、《イス卿の迷路》もセット。エスパー石鍛冶最大の癌である《カルドラの完成体》を完封していく。

その上で、更に《罠の橋》も設置。徹底的にバリケードを築きあげていく。一息ついたnonkaは《Glacial Chasm》を墓地へ送り、特殊勝利条件の完遂へ向けて動き始める。

しかし、けんだまは《疫病を仕組む者》《瞬唱の魔道士》とクリーチャーを並べつつ、《罠の橋》を《虹色の終焉》で粉砕。点ではなく面でnonkaのライフを攻め立てる。

万事休すと思われたnonka。しかし、nonkaは《罰する火》でクリーチャーを除去しつつ、《死者の原野》と《迷路の終わり》を組み合わせ、ゾンビトークンで壁を作り対応していく。

一進一退の攻防戦が続く。しかし、盤面を総合的に判断すると、1ゲーム目同様、この時点で《ギルド会談》《死者の原野》というアドバンテージ源を多く確保できているnonkaの方が優位に立ち回っているのは間違いないだろう。

果たして、時間を十分稼いだnonkaはトドメと言わんばかりに、《マナ結合》をプレイ。手札の土地を一気に盤面へ吐き出し、《ギルド会談》《死者の原野》を介して一気にアドバンテージに差をつけていく。

息切れが見え始める終盤戦でこれをやられては、けんだまとしてはたまったものではない。一応唯一飛行を持つ《悪意の大梟》に《カルドラの完成体》や《殴打頭蓋》を装備させる戦略もあるが、それは《イス卿の迷路》で封印されてしまっている。

盤面を完全に掌握されたけんだまは、ここで右手を差し出した。

けんだま1ーnonka2

■デッキリスト

■対戦動画

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