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第68回おうちでレガシー カバレージ Round2 よこ(URデルバー) VS ばじん(オムニテル)

今までのレガシーはURデルバーが一強である。これがレガシープレイヤーの共通認識であった。間違いない。序盤のクロック、《表現の反復》といったアドバンテージ源、そして《濁浪の執政》というフィニッシャー。攻守走全て揃ったドリームチームであり、これに有利が取れないコンボデッキは長らく不遇の扱いを受けていた。

しかし、《表現の反復》が禁止され、アドバンテージ源を失ってしまったURデルバーが弱体化してしまったことと、《偉大なる統一者、アトラクサ》というコンボ界の新星の登場により状況が一転。確かに有利不利の関係は変わらないが、昔ほど圧倒的な差を生まなくなってきたのである。

それを象徴するマッチが行われようとしていた。フィーチャーテーブルに着席した「ばじん」が持ち込んだのは「オムニテル」。《実物提示教育》で《全知》をセット。後は高マナ呪文をノーコストで唱えて勝利するコンボデッキである。

青を主色として組まれているが、ここに緑を足すことでコンボをバックアップする《夏の帳》やアドバンテージ源かつフィニッシャーである《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を搭載するのが主流となっているそうだ。

対する「よこ」は「URデルバー」を使用。先に説明した通り、以前の環境の覇者であるが、いかんせん《表現の反復》が抜けたところが非常に痛く、この穴をどう埋めるか、様々なプレイヤーが頭をひねっているところである。

よこは空いた穴に《第三の道の偶像破壊者》を採用。クリーチャーを横に展開できるようにし、苦手な多色コントロール相手に有利に立ち回れる後世に仕上げている。

元々得意なコンボデッキはそのまま対処できるということだろうか。先述した通り、今URデルバーとコンボデッキを取り巻く風向きは変わっている。果たしてよこの読みは当たるのだろうか。

■Game 1

ばじんは《思案》で手札を整えつつ、続くターンで《古えの墳墓》をセット。いきなり挨拶と言わんばかりに《実物提示教育》をプレイ。流石によこはこれを《意志の力》でさばき、《不毛の大地》で《古えの墳墓》を勝ち割り事なきを得る。

よこはまき直しを図るべく、2マナ払い《第三の道の偶像破壊者》を展開。クロックの増強を図っていく。

対するばじんは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》をプレイ。次のターンに展開する構えを見せつつ、よこへターンを返す。

続くターン。よこは2体目の《第三の道の偶像破壊者》を展開。更に《思案》を唱えつつ、トークンを2体生成。一気にクロックのギアを上げていく。ばじんは脱出コストで墓地の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を唱えなおすが、これは再度《意志の力》に阻まれる。

更にトークンを増やし、よこはばじんに襲いかかる。更に《思案》でバックアップの打ち消しを探しに行き、万全な体制でばじんにターンを返す。

追いつめられたばじんは、《渦まく知識》で手札を整え、2枚目の《実物提示教育》をプレイ。ここによこは都合3枚目の《意志の力》をプレイ。トークンを増やし、自らの勝ちを確固たるものにしていく。

が、ここでばじんは《夏の帳》をプレイ。よこの打ち消しをかいくぐり、《実物提示教育》を押し通すことに成功する。

通った《実物提示教育》から盤面に《全知》を送り込んだばじんは、手札から《狡猾な願い》をプレイ。サイドボードから《呼応した呼集》をサーチしてそのままプレイ。ライブラリーから《引き裂かれし永劫、エムラクール》と《偉大なる統一者、アトラクサ》をサーチ。そのままプレイする。

ここでよこは投了。あと一歩、攻め込むことができなかった。

よこ0ーばじん1

■Game 2

先手を貰ったよこは《ドラゴンの怒りの媒介者》をプレイ。更に《秘密を掘り下げる者》を2体展開し、一気にばじんを叩いていく。

ドロースペルを連打しながら、ばじんの顔が険しくなる。オムニテルは下準備に時間が必要であり、序盤から高クロックを刻まれていくと、準備が整う前にゲームが終わりかねない。

更に、相手は《意志の力》《目くらまし》といったピッチカウンターで身を固めたクロックパーミッション。この打消しを搔い潜りながらの準備はかなり難しいものがある。

ひとまず《氷牙のコアトル》をブロックに回し、時間を稼ごうとするが、これにはよこの《目くらまし》が突き刺さる。諜報でライブラリートップを確認したよこは、そのまま静かにカードをライブラリートップへ戻す。

「このライブラリートップで、次のターンに《秘密を掘り下げる者》が《昆虫の逸脱者》へ変身する。クロックが跳ね上がり、お前のライフを一気に削って勝利する。」

よこからのメッセージを受け取ったばじんは、一か八かの賭けに出る。《再誕の海門》をアンタップインし、1マナ浮かせた状態で《実物提示教育》をプレイ。

よこはこれに対して《紅蓮破》を撃ちこむ。ばじんは浮いた1マナから《狼狽の嵐》をプレイし、《紅蓮破》をかき消す。

が、よこは二の矢をつがえていた。《紅蓮破》を打ち消された後、今度は《否定の力》を《実物提示教育》へプレイし、打ち消していく。

この時点でばじんのライフは8点。よこはターンを貰うと、アップキープにライブラリートップを公開する。

公開されたカードは《稲妻》。クロックと併せてライフが尽きるとわかったばじんは、盤面を畳んだ。

よこ1ーばじん1

■Game 3

ラストゲームも、よこは《秘密を掘り下げる者》《ドラゴンの怒りの媒介者》を展開し、好調な滑り出しを見せる。

これに対し、ばじんは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を展開。ライフを担保しつつ、ドローと土地を稼いでいく。

そして、ばじんは更に、URデルバーの弱点である《花の絨毯》をプレイ。更に《狼狽の嵐》でバックアップしながら《氷牙のコアトル》をプレイ。相手の勢いを一気に下げていく。

ここでよこは《覆いを割く者、ナーセット》をプレイ。ばじんのドローを防ぎつつ、自らはアドバンテージを得ていこうとする。ひとまず‐2能力でライブラリートップを確認。《意志の力》を手札に加え入れる。

じりじりと追いつめられるばじんだが、ここで満を持して《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を脱出コストでプレイ。ドローこそできないものの、回復して持ちこたえていく。

よこは昂揚を達成した《ドラゴンの怒りの媒介者》を《氷牙のコアトル》へ衝突させつつ、《覆いを割く者、ナーセット》から《意志の力》を手札に加え入れる。ばじんは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》で《覆いを割く者、ナーセット》を攻めるが、ひとまずよこは《秘密を掘り下げる者》でブロック。

しかし、この後のカードが続かない。続くターンで《覆いを割く者、ナーセット》が《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に落とされる。打ち消しを抱えながら、何もできずに《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の猛突進を眺めるしかないよこ。

しかし、ここで転機が。よこが満を持して引いてきたカードは《邪悪な熱気》。既に昂揚は達成しており、タフネス6の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を焼き切ることができる。

早速《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に対してプレイ。しかし、ここでばじんは《夏の帳》をプレイ。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を守らんとする。なんとしてもこれを通したいよこは《意志の力》を撃つが、ばじんも《意志の力》で応酬。

自らの手札に対応が無くなったことを確認したよこは、手札を広げる。公開された手札は《外科的摘出》《Volcanic Island》《霧深い雨林》。そのまま投了を宣言し、試合が終了した。


改めてテキストを確認しよう。確かに万能呪文として有名な《夏の帳》だが、これで身を守ることができるのは、青か黒の呪文か能力に限定される。

何が言いたいかというと、ばじんはこの《夏の帳》で、よこの放った赤い呪文である《邪悪な熱気》から《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を守ることはできないのだ。つまり、よこはこのまま《夏の帳》を解決させ、悠々と怒れる巨人を焼き殺せばよかったのである。

よこの手元には、墓地から《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を消し飛ばせる《外科的摘出》も控えており、この勘違いが無ければまだ勝負は分からなかったかもしれない。しかし、このような勘違いがドラマを生むというのも、またMTGの面白い所かもしれないだろう。

よこ1ーばじん2

■対戦動画


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