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第63回おうちでレガシー カバレージ Round3 ガイ(テゼレッター) VS スン(テゼレッター)

「次に”来る”デッキは何なのか。」

MTGを遊ぶうえでの至上命題である。ざっとレガシーを振り返っただけでも、URデルバー、8Cast、赤単プリズン、イニシアチブストンピィなど、節目節目で、その時代を象徴するようなデッキが現れる。

そういった「時代を象徴するようなデッキ」が一体なんであるのかを、多くのプレイヤーが探し求める。試行錯誤の連続でデッキが淘汰される中、最後に残る一握りのデッキをつかみ取ろうとするのだ。

そして今、その一握りのデッキをつかみかけた二人のプレイヤーがいる。決勝卓に残った「スン」と「ガイ」である。彼らは奇しくも今回、同じデッキを片手に決勝卓まで勝ち上がってきた。

彼らの使用しているデッキ、それは「テゼレッター」である。《ボーラスの工作員、テゼレット》をアドバンテージ源およびクロック生成として活用する、アーティファクトを主体としたデッキである。

しかし、軸は同じでも、2人のデッキは大きく異なる。ガイのテゼレッターは《エスパーの歩哨》《潮の虚ろの漕ぎ手》といったヘイト生物を採用し、相手に干渉しつつ戦える、いわゆるミッドレンジタイプのテゼレッターである。

対するガイのテゼレッターは《虚空の杯》《睡蓮の花びら》を採用し、ストンピィのような立ち居振る舞いをするテゼレッターである。殴れるクロックとして《力を欲する者、スタースクリーム》まで搭載された意欲作だ。

ベクトルは違えど、軸が同じデッキがここまで勝ち上がってきた以上、双方がこのテゼレッターというデッキに可能性を感じているはずである。

ガイの擁する受けのテゼレッターか、はたまたスンの持ち込んだ攻めのテゼレッターか。今後のレガシーを占う一戦が、今まさに行われようとしていた。

■Game 1

先手を貰ったスンは、ここぞとばかりに大きく攻めに出る。

1ターン目に《島》を置き、続くターンで《古えの墳墓》《オパールのモックス》を展開。3マナを供給し《エーテリウムの達人》を盤面へ送りこむ。

ガイは《ウルザの物語》《古えの墳墓》をセットし、トークンを生成できる体制を作り受けに回る。

が、スンの勢いは止まらない。続くターンで《教議会の座席》をセットし、更に《スコーペク・ロード》を展開。一気に《エーテリウムの達人》を巨大化させてガイを殴りつける。

ガイは《ウルザの物語》からトークンを生成しつつ、第3章を迎えた《ウルザの物語》と引き換えに《オパールのモックス》をサーチ。《剣を鍬に》で《スコーペク・ロード》を処理しようとするが、これはスンの《意志の力》でかき消える。

スンはターンを貰うと、ダメ押しの2体目の《スコーペク・ロード》を展開。一気に打点を上げてコンバット。

怒涛の勢いのスンの攻めを、ガイは受け止めることができなかった。

ガイ0ースン1

■Game 2

2戦目はガイが《エスパーの歩哨》を展開。ガイの唱えた《オパールのモックス》からドローし、好スタートを切っていく。

ガイは《悪意の大梟》でひとまず食い止めようとするが、次いでガイも同じく《悪意の大梟》を展開。更に2体目の《エスパーの歩哨》も展開される。

スンは膠着した盤面を打破しようと相手のクリーチャーを除去できる《金線の打破者、アーミクス》を展開。少しでも盤面をこちらに引き戻そうとする。

だが、ガイは更に親和でマナコストが軽くなった《思考の監視者》をプレイ。更にコチラも《金線の打破者、アーミクス》をプレイし、いよいよ盤面は膠着。生半可に終わらないゲームが展開される…はずだった。少なくとも、この瞬間までは。

ガイの戦闘後メインフェイズ終了時、スンは2マナを供給し、とあるインスタントをプレイする。

それを目にしたガイは、大きく崩れ落ちた。


「次に”来る”デッキは何なのか。」

カバレージ冒頭のこの命題だが、極論をいうと、これは誰でも思いつくことである。

自分が最も効果的と思えるカードの組み合わせを探し出し、それをイベントに持ち込み、研磨していく作業は、濃淡こそあれど、デッキを作っていくうえで、誰もが行っていることだからである。

しかし、この命題にたどり着く者は多くない。

「次に”来る”デッキと対峙したときに、自分のデッキはそのデッキに勝てるのか。」

次に流行りそうなデッキをいち早く見つけ、それに対する対策をデッキに仕込むことができる。そういった嗅覚の鋭いプレイヤーは限られている。

「たまたま嚙み合っただけです。」と、マッチを終えたスンははにかみながらもそう語る。

スンにその嗅覚があったかどうかは分からない。しかし、彼は今この瞬間、確かに手札に握りしめていたのである。

彼が「次に”来る”デッキ」と信じたテゼレッター。それに対する解答を。


ガイが唱えたインスタント、それは《ハーキルの召還術》。「対象となったプレイヤーのコントロールするアーティファクトをすべて手札に戻す」と書かれたインスタントである。

改めてガイの盤面を見ると、クリーチャーも土地もすべてアーティファクトで構成されている。これが意味するところはひとつ。ガイはたった1枚のインスタントで、全てのリソースを盤面から洗い流されたのである。

持ち返そうにも、スンの盤面には既に《金線の打破者、アーミクス》という盤面をコントロールできるクリーチャーが居座っている。

万策尽きたガイは右手を差し出す。「次に”来る”デッキ」、その先まで読んだスンが、今週のおうちでレガシー全勝に輝いた。

ガイ0ースン2

■デッキリスト

■対戦動画

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