第67回おうちでレガシー カバレージ Round3 柳統也(マーベリック) VS なかみ(ダイスファクトリー)
多数のカードが使えるレガシーでは、メタゲームの変異が起こりにくい。無理もないだろう。レガシーを一言で表すと「MTGの失敗の見本市」。カードパワーが頭2つくらい抜けたカードが活躍する環境と言えばわかりやすいだろう。
その中には当時のスタンダード環境を焼き尽くし、泣く泣く禁止カードに指定されたカードも存在する。同じ轍を踏まないように、カードパワーを抑えた新たなカードが作られていることもあり、レガシーの新陳代謝は起こりにくいものである。これが、令和までのレガシー観である。
しかし、令和に入り「FIRE理念」に基づきカードが作られるようになってからは様相が一転。ドカドカとハイカロリーなカードがレガシーに流入し、「ゲートボールをやっていたと思ったら急にeスポーツが始まった」と当時のプレイヤーに言わしめるまでに至る。結果、現代レガシーは最新のカードを多数採用したものが幅を利かせる環境となってしまう。
だが、新たなカードが入ったとはいえ、その根幹は変わらない、そんなデッキも多数存在する。この記事ではそんなデッキたちを紹介しよう。
「なかみ」が扱うデッキは「ダイスファクトリー」。《永遠溢れの杯》など、「蓄積カウンター分のマナを出す」マナファクトを展開。これに《地核搾り》でカウンターを増加しつつ、一気にマナを捻出。後は有り余るマナで大型アーティファクトを展開して粉砕する、古き良きアーティファクトストンピィである。
対する「柳統也」は「マーヴェリック」を使用。《緑の太陽の頂点》で状況に応じた緑のクリーチャーをサーチして展開。相手の動きを封じて勝利するビートダウンデッキである。サーチを抜きにしても、昨今の緑のクリーチャーの質は高く、普通にビートダウン展開で勝負できるというのも評価が高い。
互いに新たなカードは取り入れつつ、なお懐かしさを感じさせるデッキである。おうちでレガシー最終戦、勝つのは果たして。
■Game 1
《貴族の教主》を展開して柳がマナを確保する中、なかみは《古えの墳墓》を設置し《厳かなモノリス》を展開。マナを捻出すると《電位式キー》を設置。およそ古代のレガシーと言わんばかりの組み合わせだが、その爆発力はいまだ健在である。
この状態でなかみは一気に《ウルザの後継、カーン》を招聘。早速-2能力で構築物トークンを生成。柳へ圧をかけていく。
だが、柳も負けず、《グリッサ、サンスレイヤー》を展開。唐突な接死先制攻撃持ちの前に、なかみが立ちすくむ。
ひとまずなかみはターンを貰うと、《ウルザの物語》《霊体のヤギ角》を展開しつつ、《地核搾り》を2体展開。更に-2能力でトークンを増やしていく。
柳は《不毛の大地》を展開し《ウルザの物語》を対処。更に《悪魔の職工》を展開してターンをなかみへ返していく。が、なかみの勢いは止まらない。なかみは更に《磁石のゴーレム》まで展開し、柳に対する圧力をさらに高めていく。
しかし、ここで柳の一匹狼が炸裂する。《悪魔の職工》を起動。《貴族の教主》を差し出し、サーチしてくるカードは《溜め込み屋のアウフ》!マナソースをアーティファクトに依存するなかみに大打撃を与えるクリーチャーである。
これであとはこちらのペースに引き込めばOKである。柳は意気揚々とクリーチャーを展開し、盤面をこちらに引き込もうとしていく。
しかし、相手のマナソースを封印してなお、なかなか柳は優位に立つことができない。無理もない。既に盤面には10/10の巨躯となった構築物トークンが2体も並んでいる状況。飛行クリーチャーに乏しく、また大型クリーチャーを《聖遺の騎士》にのみ依存するマーベリックでは、この巨像を越えることができないのだ。
オマケになかみの盤面には、既に構築物トークンを展開できる《ウルザの後継、カーン》が居座っている状況。柳が苦労して出てくるクリーチャーを嘲笑うかのように、なかみは無から巨大ロボを生み出すことができるのだ。
笑顔だった柳の顔が引きつり、凍り付くまでそう長くはかからなかった。なかみは最終的に14/14の構築物トークンを3体用意し、更に《磁石のゴーレム》も2体含めてコンバット。柳は苦悶の表情を浮かべつつ、並べたクリーチャーを差し出すが、この勢いが止まるはずもなかった。
柳0ーなかみ1
■Game 2
続くゲームでは、なかみのムチャクチャな展開を抑えるため、柳は《耳の痛い静寂》を展開。更に、なかみの展開する《地核搾り》を《剣を鍬に》で処理しつつ、ゲームの主導権を握ろうとする。
しかし、なかみはここで《磁石のゴーレム》を展開。追加コストを課された柳は思うように身動きが取れず、《イス卿の迷路》を置いて当座をしのぐ。
続くターン。なかみは更に追加で《磁石のゴーレム》を展開。柳の悲鳴が上がる。ひとまず《剣を鍬に》で片方を処理することには成功するが、ダメ押しの《ウルザの物語》が柳を襲う。
柳は《緑の太陽の頂点》から《溜め込み屋のアウフ》を展開するが、その顔は苦しい。なぜなら先と異なり、起動型能力を封じられて困るアーティファクトは一切持ち合わせておらず、一番起動型能力を封じたい《ウルザの物語》はエンチャントであるため、なかみの勢いを止めるには至らない。
なかみは《次元の歪曲》で《溜め込み屋のアウフ》を吹き飛ばし、柳を《磁石のゴーレム》と構築物トークンで攻め立て試合終了。
勝ったのはなかみ。どこか懐かしさを感じながらも、《ウルザの物語》で底力が高まったダイスファクトリーで、全勝を勝ち取った。
柳0ーなかみ2
■デッキリスト
■対戦動画
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