第54回おうちでレガシー カバレージ Round3 農薬おじさん(アルーレン) VS スン(赤単プリズン)
メタゲームを読む。そしてそのメタゲームを泳ぎ切るデッキを組み、回す。おおよそMTGのイベントに足しげく通うプレイヤーは、こういうことをしているのではないだろうか。
今回全勝卓に進んだ「農薬おじさん」。彼もまた、メタゲームを意識してプレイするプレイヤーの一人である。彼が今回持ち込んだデッキは「アルーレン」。その名の通り《魔の魅惑》を軸とした、ミッドレンジ型のコンボデッキである。
…のだが、そのデッキの中に、見慣れぬカードが1枚入っている。
《羅利骨灰》。「アーティファクトかエンチャントを2マナで追放する」と書かれたこのカード。一体何のために入っているのか。彼はこう語る。
「今のレガシー…というか、自分の地元のメタゲームがそうなんですけれども、結構な割合で『赤単プリズン』とかち合うんですよね。それの対策として1枚とっているんです。」
なるほど。確かに《虚空の杯》《三なる宝球》《血染めの月》といった縛るカード、そして昨今の赤単プリズンのエースである《鏡割りの寓話》。これらは皆アーティファクトやエンチャントである。それに対処するために採用したということだろう。
そして、そんな「『赤単プリズン』を強く意識した男」の前に立ちはだかるは「スン」。彼が選んだデッキは…「赤単プリズン」である。
図らずも農薬おじさんの読み通りとなった今宵の全勝決定戦。メタゲームを読み切った農薬おじさんに軍配が上がるか。はたまた、読みを上回る暴力でスンが押しとおるか。果たして。
■Game 1
先手を貰ったスンは《古えの墳墓》と《金属モックス》から《鏡割りの寓話》を展開。
続くターンで《エインジーの荒廃者》をディスカード。マッドネスコストで展開し、手札を入れ替えつつゴブリントークンでコンバット。
この圧倒的ともいえる展開に、農薬おじさんは投了を宣言。光の速度でスンが1本目を勝ち取った。
農薬おじさん0ースン1
■Game 2
続くゲームは農薬おじさんが先手を取る。農薬おじさんは《悪意の大梟》を展開しつつ、緩やかに、しかし着実なスタートを切っていく。
対するスンは、《裏切り者の都》を設置。その後《金属モックス》を置き、《鏡割りの寓話》を展開。ゴブリントークンを生成していく。
先ほどと同様の攻め方を見せるスン。しかし、1ゲーム目とは違い、農薬おじさん側は土地を展開できており、ゆとりを持ってこれの対処に当たる。まずはスンのターンに《致命的な一押し》を唱え、生成されたゴブリントークンを処理していく。
そしてターンを貰った農薬おじさんが唱えたカードは《羅利骨灰》。まさにこのマッチを見据えたカードがスンの《鏡割りの寓話》へと突き刺さる。
スンは負けじと《エインジーの荒廃者》を展開するが、これは《霊気の媒介者》で手札へ戻される。スンは返すターンで《エインジーの荒廃者》を再展開。更に《金属モックス》を追加し、《再誕の刃、ラエリア》を展開して攻め立てる。
その後、想起コストで《激情》を唱え、農薬おじさんの盤面を一掃。スンが一気に巻き返し、盤面の主導権を握ったかのように思えた。しかし、ここで農薬おじさんが展開したカードを前に、スンはその顔を大きくゆがませる。
農薬おじさんの展開したカードは…《破滅的な行為》。払ったマナ分以下のパーマネントを根こそぎ破壊するこのエンチャント、スンの盤面には3マナ以下のパーマネントしかないため、X=3で起動されるとすべてが葬られてしまう。
ひとまず《エインジーの荒廃者》《再誕の刃、ラエリア》でコンバットするも、決定打は引けず。更に、デッキが基本的に3マナ以下のパーマネントで構成されるため、追加の展開も滞る。
その一瞬を狙い、農薬おじさんはX=3で《破滅的な行為》を起動。スンのマナソースとクロックを一気に消し飛ばす。
更に《外科的摘出》で墓地の《再誕の刃、ラエリア》を追放しつつ、スンの手札を確認する。スンの手札は土地3枚に《激情》。全く身動きが取れない手札が農薬おじさんの前にさらけ出される。
こうなるともう農薬おじさんのペースである。一気に《悪意の大梟》《氷牙のコアトル》《洞窟のハーピー》といった飛行クロックを展開。スンを航空戦力で攻め立てていく。
何とか想起コストで撃ったスンの《激情》も《意志の力》の前に阻まれ、スンにできることは空を飛ぶ農薬おじさんのクリーチャーを眺めるのみ。2ゲーム目は、見事相手のカードをさばききった農薬おじさんが勝利を得ることとなった。
農薬おじさん1ースン1
■Game 3
最終戦はスンが先手でスタート。静かに立ち上がる農薬おじさんに対し、スンはまず《鏡割りの寓話》を展開。その後、マッドネスコストで《エインジーの荒廃者》を展開と、1ゲーム目と同様の展開を見せていく。
だが、1ゲーム目と決定的に異なるカードがスンへと突きつけられる。農薬おじさんは3マナ払い、2ゲーム目同様に《破滅的な行為》を展開。
相手の行動を縛る事は得意だが、相手のパーマネント、特にエンチャントに触れられないのが赤単プリズンの泣き所である。しかし、スンは腹をくくり《再誕の刃、ラエリア》を展開。更に《踏みつけ》も唱え、農薬おじさんのライフを大きく削る。
当然こんなことをやられて農薬おじさんは黙っていない。ターンを貰った農薬おじさんは、X=3で《破滅的な行為》を起動。スンのパーマネントを根こそぎ葬っていく。
ターンが返ってきたスンは、物語領域にいた《砕骨の巨人》を展開するが、これは農薬おじさんの《水流破》で打ち消される。農薬おじさんはさらに《悪意の大梟》も展開し、スンのクロックを受け止める構えを見せていく。
しかし、スンはここで《混沌の洞窟の冒険者》を展開。イニチアシブを得て《地下街》へと潜る。スンが目指すのは、対象のプレイヤーのライフを5点失わせる「罠だ!」のマス。農薬おじさんのライフは5点。ここに到達してしまえば、きれいにライフを削り切って勝利となる。
…無論、既に4マナたまったアルーレンが、そんなに悠長に待ってくれるわけがない。農薬おじさんはターンを貰うと、《渦まく知識》で手札を整え、満を持して《魔の魅惑》をプレイ。
そして手札から飛び出したクリーチャーは、《アーチリッチ、アサーラック》。手札と盤面を往復し、「悠長に《地下街》に潜るなぞ生ぬるい。」と言わんばかりに一気にダンジョンを掘り進む農薬おじさん。当然、その過程でスンのライフはきれいに削り取られた。
勝ったのは農薬おじさん。見事にメタゲームを読み切り、全勝に輝いた。
農薬おじさん2ースン1
■デッキリスト
■対戦動画
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