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【詩風】架空の恋人
ああそうです。
出会った時はジンジンきたんです。
ジンジンきて痛いくらいだったんです。
以来あなたのことばかり想っていたんです。
それがぼくの青春だったんです。
とはいうものの、
だからどうだということはなかったんです。
だからどうだというものがなかったんです。
付き合ってから結婚に至るまでの過程とか、
結婚後はどういう暮らしをしているとか、
そういうものがまったく見えてこないんです。
それでもって運命は動けないでいたんです。
つまりあなたは、
ぼくの生活線上に存在しない理想であって、
つまりそれは、
架空の恋人だったということなんです。
確かにあの時はジンジンきたんですけど。
ジンジンきて痛いくらいだったんですけど。
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