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メーカとユーザ、自動車の電動化をいつするべきか

EV化の概要や、部品数の多い内燃機関から部品数の少ないEVへの転換は、部品会社やその従業員が不要になって大変だよねって言う話は色々な所で言われているので割愛。

ここでは、転換期に自動車メーカや車を買う人がEVかICEカーのどっちをいつ選ぶべきかと言うゲーム理論を、一人ブレストしてみた過程をだらだら書きます。

概要

多分EV化は不可避。
であれば、いつやるの?いつやるのが正解なの?と言う事になるけど、イギリスが'30年(これ書いた2021年当時。2024年時点で2035年)、ノルウェーが'25年にICE車の販売禁止、日本の自動車会社の動向は、トヨタは奥手で、ホンダは2040年と言っている。
いつやるのが正解なのかを、補用部品調達の観点から早い方が良いんじゃないの?と言う結論になりました。
そんな話。

いきなりサービスパーツの話

2020年3月時点での平均車齢(登録車の初年度登録年からの経過年の平均)が普通乗用車で8.2年(2021年で8.84年。日本がどんどん貧乏に・・・)だけど、それは去年登録の車を1年と数えての数字であって、20歳以上が110万台も居る。

マツダを一回買うと下取り価格が低いから、値下げと相殺して比較的高く買ってくれる様に見えるマツダディーラーで売るからまたマツダを買う、以下繰り返しで一生マツダから抜け出せない、いわゆるマツダ地獄なんて言葉が有ったように、下取り価格を意識して新車を買う人は少なくなく、中古車の価値が高いほど新車の価値も上がるので、10年経ったら部品が無くなって乗れなくなる様な自動車会社の新車は誰も買わず、価値も下がってしまう。

下請け部品会社と海外調達の話

自動車会社の近所には、
「50年前に自動車工場が出来た時に、近所で農機具作ってた金物屋が仕事貰ったのが始まりで今日までやってます。死ぬまでついていきます。」
みたいな下請けが結構ある。

そういう会社は、特に営業活動することなく近所の自動車会社から降ってきた仕事だけしてれば生きて来れてて、額は小さくてもその近所の自動車会社への売上依存度が90%超えていたりして、さらに生かさず殺さず、乾いたぞうきんを絞る様にこき使われているので財務体質が脆弱な事が多い。

自動車メーカが乾いたぞうきんより安い海外のサプライヤを見つけても、そういう近所の零細サプライヤは、発注を減らした瞬間に倒れちゃうから、車両の生産終了後10年、15年部品の供給を続けないといけない自動車会社は、次のモデルから海外の安い部品屋に全切替したいけど、前モデルの部品を作ってる近所の会社がつぶれちゃうと困るから、いきなり全数切り替えるわけにはいかない。

そういう時は、取引額が大きくて断れない類似製品を作ってる日本の大きな部品屋に会社ごと吸収させたり、表では大丈夫と言いながら年に数個のサービスパーツから年何万個の部品までその脆弱下請けの扱う全部品を作る事を条件に、海外の安いサプライヤに図面を渡して同じ物をこっそり準備させて一気に切り替える。

実際切り替えスケジュールはどうなるのか

考えた事無かったので今書きながら考える。
仮に2035年からEVしか売れませんとなるとする。
人気車種は4年でフルモデルチェンジしたりするけど、いろんな都合で8年小変更でもたせたりする車も有ったりして、一般的な車の販売寿命?が何年とは言えないけど、終わりが決まっているのに4年決め打ちで開発するだろうか。余程売れて数が出る事が分かっている車種じゃなければ2031年にフルモデルチェンジでICE車を販売する事は控えるはず。

と言う事は大体8年前の2027年以降位からモデルチェンジを迎える車は、次のモデルはEVになると思われる。)

EV化の問題はサービス部品の問題である

と言う前提がある上で、EV化した時はどうなるか考えると、明日倒れてもおかしくないような零細だけじゃなくて、売上何千億って言う会社が、半分ならまだ良い方で、殆ど仕事がなくなる会社もある。
その人達が、いずれ発注が無くなるのに黙って今までと同じ値段で作り続けてくれるはずがない。

45%が影響しますね
50%以上だが・・・

この会社のEV化の影響は見た目約50%だけど、ブレーキは回生ブレーキが有るので既存の摩擦ブレーキに任される仕事は減り、緊急時の一発が効けば良くなるので、耐久性が不要となり(法律で許される様になったら今の熱ブレーキは無くなって、錨の様なとげとげでホイルを無理やり引っ掛けて止まる再利用不可の緊急ブレーキになるんじゃないかと思ってる。)、サイズが小さくなり単価が下がるので、仮に電動化でエンジン関係の仕事50%が無くなっても売上が50%残るわけではなく、それ以上に減少するはず。

87%が内燃機関関係


上の海外調達の話は、まだこれから続く部品だから、次のモデルの発注が貰えると思って古いモデルのサービス部品を引き受ける会社もいるけど、世界的に10年後からEVになってその部品のカテゴリごと無くなりますってなったら、数もあまり出ないサービス部品をその後15年作り続けてくれる会社が居るだろうか?
EV化の過程で内燃機関関連部品の補用部品の受け皿をどうするかと言うのは結構大きな問題だと考えています。

無くなる車両のサービス部品をどうするか

多少アジアやアフリカが遅れてEV化するにしても、今まであまり経験のないサプライヤに少量多品種を扱わせたらえぐい事になると思うから、それなりの会社に預けないといけない。
そこで出て来るのが上の円グラフで50%位EVでも部品が残る会社で、似たような工法で別の部品を作っているとかその部品の大手に、残りの部品の調達をちらつかせて集約するようになるんじゃないかと思います。

最後の最後は仕事が減ってもたない所から消えて行き、自動車会社が話し合って残す部品屋を決めるのかもしれません。

なるべく残す部品を減らす為に、数年内にエンジンの統合がグループ内で加速するのかな。
日産は始まっているのかもしれませんね。大中小のe-powerで過渡期を過ごして、ICE禁止になったらエンジンをバッテリーに変えればEVの出来上がり。

私が自動車会社の経営陣だったら、ロビー活動をして、ICE車の販売禁止とセットで、〇〇年後に内燃機関の使用禁止にして貰い、一気にサービス部品の呪縛を解消しますね。
もしくは販売台数の何%分の部品を残して生産中止すると言う前例を作るか、みんなでせーので宣言するか。

それが無いとなると、多少強引に進めるし、メーカ側が背水の陣なので足元を見られて値上げは必至。そもそもサプライヤを切り替えること自体が物凄い手間なので、できれば避けたい。
そう考えると、なるべく他社の受注が残っていて、既存サプライヤが生きている間にICEを終わらせたい=先にEV化した方がICEの終わり方が綺麗になるから、メーカー的に見たら先にEV化する会社が勝つ。ホンダ?

ユーザ側から見ても

逆に(逆じゃないけど)ユーザ側の動向でEV化は早まる可能性も考えています。
仮に登録済みのICE車の走行は永遠に許されるとしても、ICEが減れば減るほどサービス部品の価格は上がる、物によっては無くなる、ガソリンスタンドは減って不便になると考えると、ババ抜きみたいなもので後になればなるほど下取りで売れなくなりさらに価値が減る負のループ。

自分が売る6年後はまだ問題ないけど、6年後に買う人がサービス部品がやたら高くて、いつまで走れるかわからないと買う人が居なくなるから、5年後にEVに変える。そうすると5年で変えようとしてた人は4年が良くなるってどんどん前々でみんなが考えると、どんどんEVを買うのが正解な時期が早まって来る。

そのタイミングはいつ来るんだろう。
「あれ?何かエンジン車安くね?」って今まで10年落ちを買ってた人が6年落ちを買うようになったり、実際に中古車市場の価格に反映され出した時には遅いだろう。
多分そうなる前にガソリンスタンドが減ったり修理に時間がかかったり不便な事が増えるから、その不便さに耐えられなくなった人から徐々に変わっていくのかな。

終わりに

と言う事で、充電場所とか電池の価格とか素材の供給問題は別にして、EV化で起きるであろうICE関係部品のサービス問題と中古車の残存価値問題を考えると、メーカも消費者も、先にEV化に手を付けた方が賢明なんじゃないかなと思います。


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