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REBORN ART FESTIVAL @ 宮城県石巻

REBORN ART FESTIVAL @宮城県石巻市街地・牡鹿半島https://www.reborn-art-fes.jp/ を訪問した。この芸術祭の特徴は、地方美術祭ではなくあくまでグローバル総合芸術祭を、被災地石巻への貢献そして融合を目指していることである。東日本大震災の被災地で、「Reborn-Art = 人が生きる術」をキーワードを掲げて、今回が3回目後期。
グローバル総合芸術祭として、個性的な現代美術作品で有名なワタリウム美術館 http://www.watarium.co.jp/ の館長・代表である和多利恵津子・和多利浩一をキューレーターとして招聘。地元の画家の展示はなく、現代(日本)の一流芸術家に絞った少数精鋭の展示とした。今回の代表的展示は小谷元彦の「サーフ・エンジェル」https://www.reborn-art-fes.jp/artist/motohikoodani/ である。また、常設化した名和晃平の「White Deer (Oshikata)」https://www.reborn-art-fes.jp/exhibition/wdo/ は確かに牡鹿半島にマッチしている。尚、総合芸術祭としているのは、小林武史が全体をプロデュースして、美術と音楽と食の融合を図っているからである。

小谷元彦「サーフエンジェル」
小谷元彦「サーフエンジェル」の頭部分

被災地石巻への貢献及び融合を「遠慮」しながらも目指していることはヒシヒシと伝わってきた。代表的作品は、復興祈念公園周辺にある川俣正の「石巻タワー」https://www.reborn-art-fes.jp/artist/tadashikawamata/ と保良雄の「This ground is still alive」https://www.reborn-art-fes.jp/artist/takeshiyasura/ であろう。また、震災遺構の門脇小学校 https://www.city.ishinomaki.lg.jp/ruins/index.html の周りにも芸術作品が展示されている。 震災遺構と芸術作品と自然を混ぜて味わえるのがこの芸術祭の強みであり、これらが繋がり更に融合すると強みになる。

「石巻タワー」は今回の期間限定のようだが、常設化しても良い。復興祈念公演で震災直後に設置された「がんばろう石巻」の看板だけより、復興十年を超えた新しい石巻のシンボルとして「石巻タワー」があって良い。「This ground is still live」は、作品の周りの砂利地に各種農作物を植えるという試みをしており、力強い。また、SIDECOREの「タワリング・バカンシー」https://www.reborn-art-fes.jp/artist/sidecore/  は、津波堤防の有無で波音の感じ方の違いが分かる不思議な展示である。

川俣正 「石巻タワー」

REBORN ART FESTIVALの課題は、主催者は十分認識されていると思われるが、地域との一体感の更なる醸成と助成金・補助金に頼らない独立事業化である。遺構施設と一緒に芸術作品があることを必ずしも支持しない住民がいると聞くが、新たな石巻の足掛かりとして芸術作品を共存させていくことの住民コンセンサスを丁寧に積み上げていくことが必要なのだろう。また、助成金・補助金に頼らずに、運営していくノウハウを蓄積していくことも必要。
越後妻有の「大地の芸術祭」や「瀬戸内芸術祭」では地域の美術館など公共施設や自然施設とうまく連携しているが、REBORNは発展途上である。清津峡渓谷トンネルの「Tunnel of Light」https://www.echigo-tsumari.jp/art/artwork/periscopelight_cave/ (中国でも有名なマ・ヤンソン/ MADアーキテクツの作品) は「大地の芸術祭」の目玉作品になっているが、これは地域の名所に芸術作品を載せた作品であるが、こういうのもRebornに欲しい。また、開催期間外でも地域ボランティアに楽しく活動してもらうノウハウや集客のノウハウなど先輩芸術祭に学べることも多い。
また、Rebornは、建築に興味がある人の集客の為にも、周辺の藤本壮介設計の石巻市施設「まきあーとテラス」(石巻市立博物館)や女川町の海辺の商店街「シーパルピア女川」(東利恵設計)と連携を深めるのも良いと思う。 双方とも一見する価値がある現代建築作品である。

石巻市「まきあーとテラス」内


Reborn は、課題をうまく解決して、ユニークなグローバル総合芸術際として成長する伸び代がたくさんある。数多くの若手芸術家を支援してきた和多利先生は 既に次回の構想を進めており、次回のREBORNでは新たな企画で石巻を更に飛躍させると思います。

https://www.reborn-art-fes.jp/

開催概要
REBORN ART FESTIVAL 2021-2022  「利他と流動性」
会場:宮城県 石巻市街地、牡鹿半島
会期:2022年8月20日〜10月2日 (後期)
料金: 一般3000円(前売り)、3500円(当日)
アーティスト数: 22



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