長身性悪女いろはちゃん4「4時間かけてバイト先に差し入れ」

彩羽ちゃんと中々会えずにいた僕は、彩羽ちゃんが大好きだというケーキをプレゼントすることで会おうとしました。
誕生日でもなんでもない、ただの平凡な日常でのプレゼントです。
これは、プレゼントやお貢ぎでしか相手してもらえない、自分には価値がないと認める行動でもあります。

僕「迷惑じゃなかったら、前欲しいって言ってたケーキを差し入れにバイト先に持っていくよ」

彩羽ちゃん「遠くない?欲しいけど(笑)」

彩羽ちゃんが前々から食べたいと言っていたケーキを2時間かけて購入し、さらに片道1時間かけて、彩羽ちゃんのバイト先に差し入れを渡しに行きました。
ひさびさに彩羽ちゃんに会えると思うと緊張と嬉しさで心臓が破裂しそうでした。

結果、ケーキよりも電車賃の方が高かったのですが、彩羽ちゃんをさしぶりに見れて幸せでした。
自己中でわがままなのにしっかり働けてて可愛かったです。

お客さんが多く迷惑をかけたら良くないと思い、この後予定があるからと伝えてすぐに帰りました。
本当は喋りたかったのですが、うざがられることを恐れ、パシリとして徹底しました。
彩羽ちゃんはケーキが欲しい、そのケーキを買いに行き彩羽ちゃんに届けるのが僕の役目、その代わりに喋りたいなど見返りを求めるのはダメ。
本当は喋りたかったけど話す度胸もなく、ひさびさに見た彩羽ちゃんに緊張して、頭が真っ白になってしまいました。

帰り道の電車ではもっと話しておけば良かったかなと後悔したり、緊張して上手く話せなかったなと情けなくなったり、数時間かけて差し入れだけするって気持ち悪いなと惨めになったりしました。
もしかしたら彩羽ちゃんは差し入れだけしに来た自分を気持ち悪いなと思っていないか、交通費の方が高くついて馬鹿じゃね?って愚痴られていないかと不安にもなりましたが無事帰宅しました。

結果、計4時間かけ、10秒ほど会い、撤退しました。
でも久々に会えて、しかも喜んでもらえてとても嬉しかったです。

後日、深夜に電話があったのですが、寝ていたため、次の日ごめんねとメッセージを返しましたが安定のスルーでした。

「せっかくお礼に電話してあげようと思ったのに、私と電話できるチャンスを棒に振ってしまってもったいないね」とでも彩羽ちゃんは思ってそうです。

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