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人工呼吸器の安全・確実な電源確保

1.在宅人工呼吸器ユーザーは16,890人

  日本には在宅人工呼吸器ユーザーは16,890人。
  約7,500人に1人、地域で呼吸器を使いながら暮らしています。 
  (年齢別の人数)
    0~19歳 3,682人
   19~64歳 5,420人
   65歳以上  7,788人

在宅人工呼吸器数

  参考出典:厚生労働省2018年6月社会医療診療行為別統計より

2.人工呼吸器とは

 人工呼吸器とは、呼吸を補助する医療機器です。人は呼吸をすることで、体内に必要な酸素を取り入れ、過剰にたまった二酸化炭素も吐きだしています。TPPV(気管切開)とNPPV(マスク型)の種類があります。24時間装着が必要な方もいれば、睡眠時のみ装着の場合もあります。
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(人工呼吸器の代表例)
 ・トリロジー100 参考出典:Youtube(Trilogy 100 Ventilator Set Up)

キャプチャ

(電源が必要)
 人工呼吸器は電気で稼働します。基本的に24時間コンセントにつないでおく必要があり、外出時や停電時等には、内部バッテリーで稼働します。
バッテリーの稼働時間は、機器によるが、およそ2~6時間程度です。

コメント 2020-01-25 033913

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※参考出典:医療的ケア児の震災対策マニュアル(成育医療センター)

3.災害等の電源確保は

 災害等の電源確保は、安全性と確実性の観点から、下記の4つの方法を、順番に準備すると良いとされています。
(電源確保)
 ①外部バッテリを用意する。月1回は充電しておく。
 ②市販の蓄電器を購入する。常に充電しておく。
 ③自動車の正弦波カーインバーターを購入する。
 ④発電機を購入する。定期的にメンテナンスする。

充電方法

※参考出典:停電時の電源確保について(医療法人稲生会)

 ①外部バッテリー
  バッテリーが着脱可能の場合は、予備を用意する。
  トリロジーの場合、着脱式バッテリーは、1個 約50,000円で販売。
  1か月おきに充電が必要です。経年劣化に注意(保証期間を2年)。

 (外部バッテリーの充電方法)

  ①呼吸器の外部バッテリーを入れ替えて充電する
  ②バッテリーチャージャーを使う
  (2019.12現在、トリロジーの外部バッテリーチャージャーの
   製造と販売は終了しているため入手が困難です。)
  ③カフアシストE70に入れて充電する。
    大規模災害時等、自己責任の使用であれば、外部バッテリーを
    「カフアシストE70」と「発電機」に接続しての充電は可能。
    フィリップスより「呼吸器」に「発電機」を直接つなげるよりは
    が安全とのご見解を頂いてます。

 ②市販蓄電池
  平常時にコンセントにつないで充電しておくこと。
  購入時は、次の項目を必ず確認してください。
  「定格容量・発電時間」「電力300~500W」「周波数50/60hz」
  「正弦波インバーターの有無」「バッテリー寿命・保障期間」

 ③自動車から電源
  シガーソケット(正弦波カーインバーターが必要)や、
  車内の100Vコンセントから電気を取れます。
  電気が直流(DC12V)のため充電に長時間がかかる。
  呼吸器メーカーにも、緊急時に車の電源を使ってよいか確認が
  必要ですが、呼吸器が破損する可能性があり推奨されていない。
  車内での長時間の接続は、コードなどに熱が持ち火災の発生の
  リスクがあるので十分に注意が必要です。
 
④発電機
  発電機は、ガソリンタイプと、カセットボンベがあります。
  どちらも定期的なエンジンオイルの交換が必要です。
  取扱説明書でオイル交換の時期を確認してください。
  その他、プラグの掃除、エアクリーナーの定期的なメンテナンス等
  を1年に1回程度は行いましょう。保障期間に注意が必要です。
  具体的な製品の情報は、インターネットまたは販売店で確認下さい

 (発電機の注意点)
  1.発電機を運転させる時は、一酸化酸素中毒を起こさないように、
    必ず発電機は屋外に置いて発電を行ってください。
  2.屋外に置いた発電機と、屋内にある医療機器との接続についても
    あらかじめ確認しておいてください。
  3.必ず、インバータ機能を搭載している発電機を購入してください。
  4.発電機メーカーは市販のインバータでの動作保証をしていません。
    したがって、基本的には発電機は人工呼吸器の電源として用いる
    のではなく、外部バッテリーの充電用として用いるようにしてく
    ださい。

4.まとめ

昨今、日本の各地で発生している自然災害。人工呼吸器をはじめ医療的ケアを必要とするお子さんとご家族が安心して暮らしていけるように、日頃から災害対策や、電源確保についても準備をしていきましょうね。

1.災害時個別支援計画をたててみよう
在宅で呼吸器を使用するご家庭の場合は、保健所または障害福祉課が作成を手伝ってくれます。計画書のフォーマットはダウンロードが可能ですので、自主的に作成もしてみましょう。また、地域の訪問看護ステーションさんや相談支援員さんのご協力もお願いいたします。
人工呼吸器使用者災害時個別支援計画の手引き・書式(東京都北区)

2.災害対策マニュアルリンク集
医療的ケア児の震災対策マニュアル(成育医療センター
小児在宅医療的ケア児災害時対応マニュアル(三重県小児科医会)
③停電時の電源確保について(医療法人稲生会)

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以上です。それではまた(^O^)/

医療的ケア児等コーディネーター増子

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