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お喋りに返上

昼に職場近くのお寿司屋さんに入った。

ノートPCを持ちながら、隙あらば在宅仕事の方を進めようなんて考えながらランチのお店を探していたからか、
ごはんは食べたいが、食べることは作業のついでのような感覚だった。

キョロキョロしながら店に入ると
『そんなに怯えながら入ってくる人はじめてだよ。安心して大丈夫だよ』
と板前さん。

そんなつもりはなかったので、
ずいぶん失礼な態度をとってしまったな…と自分のことを振り返った。

黙々とお寿司を食べていると
急に
『ひとり暮らしをしている?』
と話しかけられ
なぜそう思われたのかとかなり焦った。

まだ正確には
ひとり暮らしをはじめてはいないが。

『食べていても目線が飛んでいて、常に考え事をしているのがわかる。
肘をつく癖があるのもよくひとりで食べている人に多い。』

だそうだ。

たしかに言われてみると、
誰かと会ってごはんを食べているときは肘をつかない。
まったく気がつかなかった。

その後に続けて
『さびしい食べ方をしている』
と言われたとき
ふっと

あぁ
わたしがずっともやもやしていた
生活の中の物足りなさは
それだったのかな

と思った。

人と毎日ごはんの時間を共有できる生活のかわりに失うものたち。
それを失うことはたぶん今の自分には合わないと感じて生活を見直そうと決めて、
でももやもやしたものはつきまとって。

結局必要なのはわかっているけど、
どうすればバランスが取れるのかがわからない。

鋭いことをさくっとつっこんでくる板前さんとは
その後楽しくお話をしてお店を出た。
なんだかお寿司を食べに来たのに
身の上話をして
人生相談にでも行った帰りのようだ。

でも少なくとも今日は
どこかのファーストフード店にでも入って食事は上の空で黙々とPC作業をするよりは
何倍も楽しい時間が過ごせた。

お昼の時間を
やらなければならないことではなく
お喋りに返上するのもわるくない。

#日記 #エッセイ

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