カフェへの期待、古来のセオリー

外でPCを開いて、電波はテザリングをして。
そう、私はいま、よくあるカフェで見られるあの光景の一人だ。
MacのPCをテーブルに置いて、横にiPhoneを置いて。
キーボードをカタカタしているというのだ。どうだ。すごいだろう。

ガソリンスタンドの待合室でだ。

今これを読んでいる人の中で、拍子抜けした誰かの手にしていたカップの飲み物を気にしたい。
大丈夫そうですか？こぼれていませんか？火傷してない？
最近寒いからあったかい飲み物っていいよね。

そんなことはどうでもいい。そうだろう。
オールシーズンで使えるスタッドレスタイヤ交換をお願いしている。いまガソリンスタンドのお兄さんが駆け込んできた。私を見つけた途端、あはは！と言わんばかりの笑顔を向けてきて言った。
「今ちょっと作業場が混み合ってて、50分ほどかかりそうです！」
先ほど30分〜40分ほどと言って車を引き渡してきたのだが。
笑顔でわかりましたと返しておいた。怒らない私を見てまた彼はにこっと笑って小走りで外へ走っていく。憎めない。いいのさ。時間はある。

カフェに行きたい。
職場と家とスーパー(コンビニ)とガソリンスタント。それだけの行き来で満足していたつもりだが、たまには気分転換だって必要だ。出費は増えるけど、たぶん今はその方がいい。おうちカフェ気分にもできればいいんだろうけど。

正直自由にしていいなら、休みの日にも職場に行きたい。勝手に外でぼーっとしながら考え事をして、書き物をして、日向ぼっこ。そんなことをしていたい。もし本当に頼んだら、好きにしていいと言われそうだけど。さすがに関係ない人に対して気まずい。

そしたら、それに近い環境を探そう。安らぐ、カフェがいい。
職場の近く、家の近くと両方調べておいた。気分がいいときに覗きに行こう。本当はタイヤ交換の前に行ければいいなあと思ったけど、まあそれは仕方ない。それでも終わった後でも立ち寄れるかもしれない。そう思って今日PCを持ってきたんだけど。

先ほどとは違うお兄さんが、腰を低くしてこちらへ向かってきた。
イヤホンを外すと、「お邪魔してすみません」と眉を下げながら彼は話し始めた。どうやら車のタイヤを外したことで色々わかったことがあるらしい。

私が買った車の前の主人は、あまりメンテナンスをしなかったようだ。
雪国だったか海沿いか。見えないところのサビがかなりあるとのこと。なんだったらタイヤ外すときも苦労したとのこと。下もかなり錆びてますと。
（ハチコマよ…天然オイルもらえなかったのね…。）
さあここからお兄さんの営業トークの始まり。お客さん、コーティングしましょう。頷くしかない。結局3コースの真ん中を選んだ。真ん中とは強度にしても金額としても、の真ん中。ここの店員さんは押し付けなくて好きだ。
「二人がかりで作業しますので！」
そう言って彼は戻って行った。

またイヤホンをして私は作業再開したわけなのだが、ぼんやりと外を見た。
特に景色がいいわけでもない、車が行き交う道路。何時に終わるのだろうか。ふふふ。カフェに寄るのはまた今度かな…。

今待合室の中のテレビで「相棒」を放映している。
分かりやすい場面展開と撮影セット、分かりやすすぎる表情。こういうドラマは分かりやすい展開の方がきっと売れる。最近の作品は伏線回収など、考えながら見る作品が多い傾向にあるという。昔はもっと分かりやすかった。だからこそ、家族でお茶の間テレビを囲んで見るということが可能だった。そう言うライターの記事を複数見かける。
疲れている時でも、現実から離れるために何か見たいなあとテレビをつける感覚でYoutubeを見たりする。そういう時に、ぼーっと眺めているだけで満足できる番組があればいいんだろうなあ。

フルフェイスで黒ずくめの男2人に追われる反町隆史。そして殴られる。大人しくしてろと言われる。顔をバレたくないけど悪質な嫌がらせがしたいならネット攻撃でもいいけど、それだとすぐ身バレするのか…。結果古来からある直接殴るセオリー。いいね。拳でわからせてやろうってのか。でも命は奪わない。
取引にはよくわからない工場か地下。大体2〜3人くらい。
警察はそれ以外にももちろん応援を呼んで待機。もし秘密の作戦なら味方はせいぜい一人。しかも来るなって言うのに来ちゃう。俺が一人で行くって言ったのにバカかって言いながら味方に助けられちゃう。なんで人はこういう展開が熱いと思えるのか。不思議だなあ。
そして思う。取引に来るしたぶん乱闘になってもおかしくない、でもそれでもスーツ着てきちゃう男たち。なぜ。平日だからかな。家に帰ったときに「あなたなんでそんなラフな格好なの」って家族に言われちゃうのかな。

さて、すでに1時間が経過しようしている。あと30分はかかるかな。
夜の市街地の運転は怖いからあまりしたくない。

そろそろ足元が寒い。帰りたい。頑張れお兄さん。