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8/8 フジロック回顧かと思いきや

フジロックの回顧を書こう書こうと思って何度もnoteを開いては何から書き始めれば良いのかわからなくて書く手を止めてしまった。今回は色々なことがあったから立ち止まってちゃんと言葉にしたいと思いながらもどう捉えたらいいか分からない事が多くて、それを考え続けていたら初めて夏フェスに行った時のことを書こうという気になった。


私にとっての初めての夏フェスは2011年のSUMMER SONICだ。当時私は高校2年生で、精神を病んで不登校で引きこもりだったところからなんとか抜け出し始めた時だった。好きだったレッチリが来日すると聞き悩んでいたら、ライブハウスで仲良くなった友達が自分も車で行くので同乗する?と声をかけてくれたので、思い切って貯金を叩いて2Daysのチケットを買った。

未成年では宿の予約もできないので母に予約をしてもらい体調が不安だったがなんとか崩れることもなく当日を迎えた。会場近くのホテルでおろしてもらいまた帰りに合流する予定を立て友達とは解散した。

こうして私の初めてのひとり夏フェスが幕を開けた。会場は想像の5倍ぐらい広くてどこになんのステージがあるのかも分からず右往左往していた。結局知っているアーティストはほとんどメインステージだったので暑さに耐えながらずっと屋外にいた。サブステージのアーティストを見ているのはどういう人なんだろうと気になっていた。

ひとりでいることに寂しい気持ちになる瞬間はあったけれど、自分が今まで目にしてきた世界とは違う空間がそこには広がっていて、その新鮮さにずっと心が躍っていた。とにかく全ての瞬間が楽しかった。

好きな曲が流れて思わず声を上げた時に同じタイミングで声を上げた横の人と目が合って笑い合って肩を組んで歌って、そのアーティストが終わった後ビールを奢るよと言われたけれど未成年なんでと律儀にお断りをして水を買ってもらって乾杯をした。

次のアーティストを見るために移動をしながらふと「あの人も平日はちゃんと働いているんだろうなあ」などと考えていた。この場にいる人たちはここぞとばかりに馬鹿騒ぎして酒を飲んで楽しんでいるけれど、24時間365日ずっとこうしているわけではなくて、そうではない時間を経ながらこの空間にいるのだ。

周りを見渡すとそういう人がたくさんいるという事実は当時「自分がこうあらなければない」という幻想に縛られていた私にとってはとても大きな心の支えとなった。人間はひとつじゃない、多面的でそれをうまく使い分けながら生きているのだということに気がついた。そのことに気がついた時、私はこの世界で今までよりもずっと生きやすくなったように思う。

その後もずっとひとりで色々なアーティストを見ながら考えて、そして私はこれからは頑張って高校に通ってちゃんと大学に行こうと決めた。正直自分が見たアーティストの記憶は何一つ鮮明に覚えていないけれど、そう考えたことだけは覚えている

帰り道また友達と合流してひとりで見てまわっていたことを伝えたら「それならこっちに合流すればよかったのに」と言われ、なんだか遠慮していた自分を馬鹿馬鹿しく感じながらもでも自分の人生にとっては必要な時間だったと考えていた。

近くのコンビニまで母が迎えにきてくれて運転してくれた友達に涙ぐみながらお礼を言っていた。学校にもロクに行けていない半年前には死のうとしていた娘が突然サマソニに行くと言い出して、それを何も言わずに送り出せる母親はすごいと今振り返ると思う。当時は涙ぐむ母を見て大げさだと思っていたけれど、それぐらい不安に思いながらも私の選択を信じて尊重してくれていたんだと思う。ありがとね。

(夏休み明けに担任の先生に志望校と合わせて大学に行きたいということを伝えたらとても喜んでくれた。志望校は難しいと言われたけど頑張って勉強して結局受かった!やったね✌️)


今回のフジロックは色々と嫌なことが重なってもう本当に心が疲れていた時に友達の唯ちゃんに会って、安堵のあまり泣きかけていたら「ませはひとりでも楽しめる女なんだから、気を遣わずにひとりで見に行きなよ」とあっけらかんと言われ、ああそうだったなと気付かされた。なんだか周りに合わせよう合わせようと必死になって自分が楽しむことを忘れてしまっていた。

そういう意味では高校生の時の私の方が今よりも果敢に楽しむ方法を知っていたのかもしれない。私はひとりでも楽しんで生きていける女なんだから、その上で選んで誰かと過ごしたいときはそうすればいいし、誰かに敵意を向けられたり嫌な思いをさせられたりした時はそういうものとは距離を置いてひとりでご機嫌に楽しめば良いのだということに今回のフジロックでは改めて気がついた。

そんなことを考えながらオアシス大熱唱を終えしっぽり終わろうとしていたら、最後にシークレットゲストのネバヤンが明るい未来を歌っていて、イントロが聞こえた瞬間、友達曰く「ませがあんな速さで走れるのか」というぐらいのスピードで駆けつけお別れの歌まで大熱唱して「やっぱいつだって俺たちはネバヤンと一緒に生きてきたよな〜!!!!」という気持ちになった。要するにとっても楽しいフジロックでした。

ゴンちゃん

(あと年々ホワイトとヘヴン率が上がっていく、高校生の私の疑問は単純に歳を重ねるとサブステージ比率が上がっていくよ、というのが答えなのか?笑)

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