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夏の太陽、夏の月 Ⅱ You live eternally in my heart

天国で飲むビールの味

DSC_0021坂本

 お前は、ずるいよな……一人だけ歳をとらなくて。私は白くなったもみあげを触った。写真の彼は夏の装いで微笑んでいる。仕事中の交通事故で38歳の時亡くなった。あれから約20年、私はこの令和2年3月末に退職し生きている間に絶対やりたい事、つまり出筆活動を行った。11月末にそれは本として完成し、小説のラストは多くの亡くなった友人に捧げるものとなった。還暦前になると多くの友人が亡くなっている。真っ先に出来上がった本を亡くなった友人の家に持って行ったり、離れている遺族の方には送ったり。今では無人の友の家もあった、いろんな方法を使ってこれから探さなければと思う。ところで、この写真のSくんとは、高校時代からの家族ぐるみの付き合いで、十数年ぶりに訪問した。Sくんの奥さんは元気で会話に花が咲いた。子供のこと……仕事のこと……何気ない話が続き時間があっという間に経った。在職中は忙しさもあったのだが、会おうと思えば会えたのに何故か会おうとしなかった。心の整理がつかなかった。仕事で困っているとき心が折れそうなとき何度も励ましてくた。そう、彼はいまだ私の心の中に生き続けているのである。退職したら会いに行こう。自分がこれまでの人生でやった事を何かひとつでも持って行こう。菓子折りなんかでは許してくれない間柄、天国の君は「ようやったな」と少しは褒めてくれるかな。もう少しの間、俺もこの地でもがいてみるわ……それまで待っててくれよな。そっちに行ったらビールでも飲んで、お前の好きだった松山千春でも岩崎宏美でも何でも歌ってやるから。


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