2024共通テスト公民解説その1 倫政・解答番号28、または政経・解答番号24

これは、冷凍野菜の輸入解禁によって、生鮮野菜の需要曲線がどう変化するか、という問題で、その変化がわかるグラフを選ぶ形式になっていた(難しかったよね)。

問題には「生鮮野菜の供給は国内のみから、冷凍野菜の供給は国外のみから」とあるので、「解禁前」の、この仮想国には、冷凍野菜しかなく、生鮮野菜はなかった、ということがわかる

「解禁後」、冷凍野菜が国外から輸入されたわけだから、その分、生鮮野菜の需要は低下したはずだ。生鮮野菜を買う量を減らして、冷凍野菜を買う人が増えているはずだから。よって、生鮮野菜の需要曲線は、解禁前に比べて左に移動することになる

そのため、「解禁前」に比べて「解禁後」の需要曲線が右にあるグラフ(この問題では選択肢3と4)は、誤りとなる。

また、「解禁後」の生鮮野菜は、以前よりも必需品ではなくなった。なぜなら、「解禁前」は生鮮野菜しかなかったが、「解禁後」は、消費者が冷凍野菜と輸入野菜を選べるようになったからだ。生鮮野菜を買わなくても、野菜を食べることができるようになったため(好みや考え方もあるだろうが)生鮮野菜がなくては生きていけない!ということにはならなくなったのだ。代わりがあるものは、必需品ではない。または、必需度が低下したものになっている。

ここで、必需品の需要曲線の傾き=急、ぜいたく品や代わり(代替財)のあるものの需要曲線の傾き=緩やか、という、「需要の価格弾力性」についての知識があれば、「解禁後」の生鮮野菜の需要曲線の傾きは緩やかになったということがわかる

(とはいえ、共通テスト向け対策でここまでカバーするのは難しいのだが……)

ということで、「解禁後の需要曲線」は、「解禁前」に比べて(1)左に移動し、(2)傾きが緩やかになった、ということさえ分かれば、選択肢のうち、正解が選択肢2のグラフになることは明らか、ということになる。ここで正解は確定。

そのため、問題文の「消費者は、生鮮野菜の価格が高いほど、生鮮野菜より冷凍野菜を好んで購入する傾向」というところは、実は気にする必要がない(まじかよ)。

正解のグラフで、価格の低いところに需要曲線が位置していることは、「生鮮野菜の価格が高いほど、生鮮野菜より冷凍野菜を好んで購入する」=「生鮮野菜の価格が高いとき、生鮮野菜は購入されない」ことを裏付けるものになる。だから、正解は2としてもいい。しかし、この情報についてあれこれ考えなくても、正解は選択肢2のグラフと決まってしまう問題になっている。なんでわざわざこれを問題文に入れたんだろう、迷わせるためかな、と思ってしまうが、どうなんだろう。

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