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2024年9月16日(月)「醗酵飲料・シミンアルヒ(モンゴルの牛乳焼酎)」

今日の東京は曇り時々雨。
朝の最低気温は25℃、日中の最高気温は30℃迄は届かず。流石にこのお天気だと、30℃超えになる元気はないようです。
昨日、東京に戻りました。でも、まだまだ涼しいとは言えませんですね。さて、

先週末は「内臓料理(魚)・イクラの醤油漬け」について書きましたが、本日は「醗酵飲料・シミンアルヒ(モンゴルの牛乳焼酎)」についてお届けしたいと思います。

シミンアルヒ。
まず、モンゴルには2種類のアルヒがあると言われています。1つは社会主義時代であったソ連時代の大きな影響を受けてモンゴルで一般化したツァガーン・アルヒ。ウォッカですね。もう1つが今回のテーマとしているシミンアルヒ(シミーンアルヒが正しいのかな?)。コチラは乳酒を原料とした世界で唯一の蒸留酒であり、謂わば遊牧民自家製の伝統的なモンゴリアンウォッカ、とでも言いましょうか。

モンゴルに行くと、モンゴル人はビールも沢山飲むけれども、ウォッカも沢山飲む。スーパーなんかに行けば、もう色んな種類のウォッカが売られていて、高いのから安いの迄ホント相当数のウォッカがあります。で、皆さん良く飲む。自分も嫌いな方では無いので、ついつい沢山飲む。
遊牧民ゲルなんかを訪問する際にも、お土産としてはウォッカを持参すれば、まぁ間違いない(笑)。とっても喜ばれるコトが多いのだけれども、そのお土産ウォッカで遊牧民の人々との宴会に突入して死亡、なんてコトも何度もあったっけ(笑)。なんせ高級品に手を出さなければ、お安く且つ気軽に手に入るので(地方都市のスーパーやゴアンズ(安食堂)、売店なんかでも売られている)。

でも、今回取り上げるシミンアルヒについては、そうそうたやすく入手は出来ないんですよ。
と言うのは、アイラグ(馬乳酒)と一緒で、その殆どが遊牧民の手造り酒であって、そのヘンのお店で売られているモノでは無いから。このウォッカは牛乳やヤクの乳、山羊や羊の乳、時として馬乳等を原料として、ソレをゲル或いはソレ用の小屋の中に設置した簡易蒸留器で以って自分で蒸留して造られているモノなんです。
従い、そうそう飲む機会と言うのがあるワケでなく、酒好きの遊牧民主人がコイツになら飲ませてやっても良いか、と考えてくれた時に初めて振舞って貰える、ある意味貴重なお酒なのであります。

1~2回遊牧民にシミンアルヒを造っているトコロを見せて貰ったコトがありましたが、もう超原始的な蒸留器(場合によってはゲルの真ん中に鎮座しているダルマストーブを使って)で蒸留作業をやってるんですよね。ただ、1回やっただけではアルコール度数が上がらないので、2回・3回を蒸留を繰り返す。蒸留を繰り返せばアルコール度数は上がって行くのだけれども、量は減って行く。ヘベレケに酔っ払えるだけの量を確保する(笑)には、結構大変な作業を必要とするのであります。従って、シミンアルヒはとっても貴重で、且つ世界的に類例を見ない動物性の蒸留酒であるんです。馬乳を使って造るなんて書いてあるネット情報もあるけれども、馬乳はソレほど量が取れるモノでもないので、我が経験からすると牛乳かヤクの乳を蒸留しているコトが多かったように思います。

超原始的な蒸留器(笑)。

で、カンジンのお味の方はと言うと。
蒸留酒なのでスッキリはしているのだけれども、ほんのりとミルク香が後味として残るのがオモシロい。自分が飲んだコトがあるのは、恐らくアルコール度数15度前後の2~3回蒸留をしたモノだと思うのだけれども、旨かったし、酔っ払えた。

遊牧民との宴会は中々に楽しく、ゲルの中で車座になって回し飲みをするんですね。延々と、ぐるぐるグルグル。飲み始めの前には天の神と地の神、車座の皆さん、そして自分の額に対して酒を指に付けて振り撒き(?)、何か口上を述べて飲む。ただ、飲む時には必ずしも全部を飲み干す必要はなく、口を付けるだけで次のヒトに回しても良い(時と場合によるのだろうけれど。強制される場合もあったような…)。ホントはホストである主人が一人一人に注ぎながら飲ませる説もあるようだけれども、自分が参加した飲み会では単にぐるぐるぐるぐると延々に(永遠に?)回してたな(笑)。コトバは殆ど通じなくても、何となく雰囲気で飲めちゃって、酔いも相俟ってとっても楽しい宴会でしたね、いつも。まぁ、コロナ時代には考えられもしない、超濃厚接触宴会、とでも言いましょうか(笑)。

沖縄のオトーリなんかもこんなカンジなのかな?沖縄のは中国から来た風習のようだけれども、案外モンゴルの宴会も中国を介して繋がっているのかも(モンゴル→中国→沖縄?それとも、モンゴル←中国→沖縄??)、等と(酒飲みの?)歴史に思いを馳せてみるとコレまたオモシロいモノです。

と言うコトで、シミンアルヒも日本にいては飲めないお酒ですが、飲みたいヒトは是非モンゴルの遊牧民のゲルを訪ねて仲良くなって飲ませて貰って下さい。

明日は「未利用魚・佐久の小鮒」についてお届けしたいと思います。

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