2024年2月9日（金）「内臓料理（魚）・白子（フグ・マダラ・ボラ・その他）」

今日の東京は曇りのち晴れ。
朝方の最低気温は1℃、日中の最高気温は11℃。
今日からは二十四節気・立春の次項、七十二候の「黄鶯睍睆（うぐいすなく）」（鶯が鳴き始める時季）。まだこの肌寒さでは鶯が鳴き始めるにはホド遠いカンジがしないでもありませんが（笑）、鶯も最初はホーホケキョとは鳴けずに「ぐぜる」（さえずり本番前の練習時のさえずり）らしいので、自分がチャンと聴き分けられていないだけで、もしかしたらもう鳴き始めているのかも知れませんね。さて、

昨日は東北地方、特に三陸地方で盛んに食べられている「漁師料理・どんこ汁」について書いて行きましたが、本日は「内臓料理（魚）・白子（フグ・マダラ・ボラ・その他）」について書いて行きたいと思います。

まぁ一般的に白子と言えば、マダラですよね。
白子と言うのは、知らないヒトはいないと思いますが、魚類の精巣（キンタマ）であります。魚卵については、数の子やらからすみ、明太子等で一般的ですが、白子の方はソレよりはややマイナー感がありますかね（でもないか？）。
ただ、一口に白子と言っても、様々なサカナの精巣があるワケですが、ココではその中でも代表的なモノに絞って書いて行きたいと思います。

まずは、タラ。
タラと言っても、代表的なモノ（一般的なモノ）としてはマダラとスケトウダラがあるワケですが、マダラの白子については「雲子」や「菊子」、「タチ」等と言われたりしてます。コレらは腹から取り出して、一口大に切り分けた上で、一旦軽く湯通ししてから氷水で冷やし、その後はポン酢掛けたり、バーナーで炙って焼白子にしたり、鍋に入れたりと、様々な用途で使える万能な食材ですね。プリン体を多く含んでいて、「痛風の素」等とも言われているので、その気のあるヒトには要注意食材です（マダラに限らず、どの魚の白子も魚卵もそうなのですが）。
一方、スケトウダラの白子もありますが、コチラはやや小振りで価格的にもお安い。ただ、マダラに比べたら水っぽくて、旨味も少ない。まぁ、鍋なんかにブチ込むには良いですが、白子そのものの味を愉しみたいのであれば、圧倒的にマダラの白子に軍配です。

次は、フグ。
コレはもう、白子の王様ですね。一言にフグと言っても、種類は様々。フグの中の王様はやっぱりトラフグ。ただ、トラフグの白子はキロで5桁は行ってしまうので、そうそう容易く買えるモンではありません。ソコで自分が韓国駐在時代も、帰国後も時々買うのがマフグの白子。そりゃあトラフグには敵いませんが、キロ4桁台で買えたりもするので（韓国ではその半分程度で、日本のマダラよりも安かったかな？）、コレは有り難いですね。やっぱり、マフグであってもマダラの白子よりは濃厚だし、旨味も強い。コレを食い慣れてしまうと、マダラの白子は水っぽく感じられてしまうホド。コレを、酒や水で湿らせた昆布の上に乗せてグリルで軽く焦げ目が付く程度に焼いてスプーンで掬って食う。こりゃあ、美味いですよ。トロリとして濃厚な旨味。酒が進むコト、請け合います。

その次に一般的なのは、多分サケの白子。コレは時季になれば、偶にスーパーでも見掛けるのですが、旨味が少ないので、あまり買いません（笑）。

意外なのが、ボラ。時季になれば、ボラのメスはからすみの原料となるボラ子（魚卵）を抱いてて、特に正月前なんかはモノ凄い高値が付くので、値が落ち着く年末～年初頃迄シロウトには手が出せないのですが、ほぼ同時期には実はボラの白子も出回り始めていて、コチラはボラ子の1/10～1/20程度の値段（高くてもキロ2,000円）で買うコトが出来、且つ中々に美味いんです。個人的にはマフグとマダラの白子の中間的な味わいかな、等と思ってしまっています。コレ、おススメですので、来年の秋～冬に掛けて市場で見付けたら、是非お試し下さい（流石にコレはスーパー等で売り出されるコトは無いと思います）。

この他にも沢山捌いていれば、様々な白子に出会うワケですが、ココで特に書いておくホド特徴的な白子は無いかなぁ。マダイだったり、スズキだったり、サワラだったりと色々ありますが、まぁ似たようなモンでしょう。焼いて良し、煮付けて良し、汁の具にしても良し。色々とお試し下さい。

変わりダネとしては、イカの白子かな。中でも、スミイカの白子。
嘗て中国にいた際、何度か彼の有名な「釣魚台国賓館」でゴハンを食べる機会があったのですが、ココの名物料理の一つに「烏魚蛋湯（wu2 yu2 dan4 tang1：うぅゆぃだんたん）」と言うのがあって（我々の間では「イカきんスープ」と呼ばれてた）、コレがスミイカの白子を使ったスープだったのです。酸辣湯（suan1 la4 tang1：すぁんらぁたん）を数段お上品にして胡椒を利かせたスープにスライスしたイカきんが入っていて、イカきんの滑らかな舌触りとマッチした少々パンチの効いたスープ。コレは抜群に美味かった。も一度食いたいとは思うモノの、昔と違ってアソコでのお食事はメッチャ高になってしまっているので、もう夢のまた夢でしょう（泣）。

と言うコトで、白子系は一種の内臓料理でもあるので、サカナを捌いて副産物として出て来たモノや、場合によっては豊洲や他の市場で仕入れた良いモノがあれば、お店でも出すと思いますね（痛風気味でない方も、予兆のある方も（笑）、是非お試し下さい）。

と言うコトで今週はコレにて。
世の中的には明日から3連休ですね。徐々に気温も切り上がって行き、来週後半には17～18℃に迄上昇するコトも予報されてますので、春ももうスグそこ迄来てます。初春を満喫下さい。
来週は、「醗酵飲料（日本酒）・丸石醸造」についてお届けする予定です。
それでは、良い週末をお過ごし下さい～！