Vol.1 自分にしか無いもの
僕は母子家庭で育った。
小学生に入学する手前の6歳のころ、僕は父親を亡くした。白血病だった。
そこから現32歳になるまでの約26年間、血のつながった父のいない世界で生きてきた。
自分の人生を振り返ると、この父の死は自分にとっては苦しいイベントというよりは、意外と肯定的なただの出来事という方がしっくり来る。しかし、同時にその出来事をタブー化して触れないようにしていた感覚もある。
父がいないことで周りの人との小さな"ギャップ"がたくさんあった。悲しいこと、つらいこと、喜びや楽