先輩キャラの運命

漫画とかアニメであるあるなのは、主人公の先輩キャラが、主人公や無辜の人々を守って退場する場面。悲劇的な場面ではあるが、彼らはそのことについて躊躇したり悔いたりしない。
煉獄杏寿郎は列車の乗客と後輩たちを守るため、ブチャラティは護衛して来たボスの娘が、まさか父親に殺されそうになるとは!と知って打倒ボスの覚悟を更に強める。
彼らは非常に仕事が出来る人たちで、どんな過酷な状況でも投げ出したりしない。究極のプロフェッショナルであり、トップクラスの強さを持ち、頭が良く、鋼の精神力で任務外の個人的な辛いことも表に出さず己の務めを果たすために戦う。創作の世界の人物たちであるからこその理想化された設定であることは当然だが、やはりそこに描かれる姿は人間として目指したいものなのではないだろうか。命を賭けるから美談なのではなく、任務は果たすべきもの、やり遂げるものという意識が尊い。そして彼らの遺志は主人公たちに受け継がれて行く。志半ばで倒れても、自分の果たすべきことは果たしたと、気にするなと笑顔で去って行く。
主人公をしのぐ人気を持つキャラクターも多いのも納得の潔さゆえだろう。
ちょっと変化球なのはナナミンこと七海建人で、誰からも尊敬を集め信頼されていて虎杖を導く役目でありながら、彼に今後を託すことは呪いになると一度はためらう。が、先に亡くなった灰原の霊を見て(多分灰原が最期に残した言葉だったのかもしれない)後は頼みますと言い残して散って行く。
果たしてその言葉は呪いになったのか、虎杖を奮い立たせる力となったのか、今も戦いは続いている。
たとえ主人公を縛ることになっても、彼らは先輩の生きざまを心に灯して生きて行く、受け継がれる心が美しいと思うのだ。


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