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文字がここへ連れてきた。 『読みたいことを、書けばいい。』に学ぶマーケターの心得


こんにちは、西村マサヤです。


僕が運営しているオンラインサロン「マーケ放送室」では毎月課題図書を設定しています。

先月、10月の課題図書は、青年失業家改め、ひろのぶと株式会社 代表取締役 田中泰延さんの『読みたいことを、書けばいい。』をチョイスしました。

(ちなみに毎月月末に行っている課題図書イベントには、なんと泰延さんご本人にも来ていただきました....)

今回は僕がなぜこの本を課題図書にしたか、そしてなぜ僕はこの本がこんなに好きなのか、について書いてみたいと思います。


1. 「一次情報」に当たる重要性

この本では「一次情報」についての記載がすごく多いです。泰延さん、めちゃくちゃ下調べをする人です。

過去に「石田三成についてのコラム」を書かれた際には、たった2週間でこれだけ読まれたとのこと...。

●参考文献
『大日本古文書家わけ十一ノ二』(東京帝国大学文学部史料編纂所編1927年版)
『常山紀談』湯浅常山(百華書房1908年版)
『萩藩閥閲録』(山口県文書館編1986年版)
『日本戦史関原役』参謀本部編(元真社1893年版)
『武功雑記』松浦鎮信(1903年版)
『武将感状記』熊沢淡庵(三教書院1935年版)
『明良洪範』真田増誉(国書刊行会1912年版)
『邦文日本外史』頼山陽(真之友社1937年版)
『武功夜話』吉田蒼生雄(訳注)(新人物往来社1987年版)
『近世日本国民史』徳富蘇峰(講談社学術文庫1981年版)
『武将列伝戦国終末篇』海音寺潮五郎(文藝春秋新社1963年)
『関ヶ原』司馬遼太郎(新潮社1966年)
『石田三成』童門冬二(学陽書房2007年)
『悲劇の智将石田三成』(宝島社2009年)
『戦国武将シリーズ謀反なり!石田三成』(GPミュージアムソフト2011年)
『新装版 三成伝説』オンライン三成会編(サンライズ出版 2012年)
『義に生きたもう一人の武将 石田三成』三池純正(宮帯出版社 2014年)
『関ヶ原合戦の真実 脚色された天下分け目の戦い』 白峰旬(宮帯出版社 2015年)
『戦国人物伝 石田三成』すぎたとおる他(ポプラ社 2010年)

(田中 泰延 『読みたいことを、書けばいい。』より)


えぐい...。


僕はこの章を読んで、「良い文章を書く」ための過程と、「良いマーケティングプランを作る」ための過程は極めて親しいと感じました。

それはひとえに、「一次情報(ファクト)を徹底的に押さえ、過去を踏まえた新しさを生み出す」ということだと思います。


マーケティングでよくあるのが「なんか新しいことやりたい」という欲

この積極性自体は否定しませんが、「新しさ」に大した価値はありません。大事なのは、ある事象に対し、その原因や経緯、課題の本質を、「ファクト」から正しく捉え、それらを踏まえた上で「その先」にいくためにはどうすべきかを考えることだと思います。

言い換えれば「イシューを見極める」とも言えるかもしれません。正しいイシューを見極めるには、徹底した「一次情報の収集」が不可欠なのです。


2. 愛していないものを語るのは... キツい。

泰延さんの執筆のお仕事も、私がやっているマーケティングの仕事も、長くやってると「自分が良いと思えないもの」を扱う機会も0ではありません。

そんなとき、イヤイヤ取り組んで低品質なアウトプットを出す、、、ではいけません。泰延さんは、一次資料をたくさん調べる過程で、「どこか愛せるポイント」を見つける重要性について、本の中で語っています。

これはほんと同感で、そもそも「心の底から1ミリも良いと思えないもの」なんてほぼ存在しません(少なくとも僕は)。最初は「ん??」と思うものでも、いろんな角度から深堀りしていくと、何か「良さ」が見つかるものです。

泰延さんは、その「良さ」を全力で伝えるために文章を書き、私はその「良さの最大化」を目的としたマーケティングプランをつくる。職種は違えど、「愛」を起点に仕事をするという点は同じだと思います。


ちょうどこの本とは別の文脈で以前ツイートした内容にも通ずるものを感じました。


「自分の仕事を好きになれない」とか「担当してる商品を良いと思えない」という相談をよく聞きますが、大概の場合は「リサーチ不足」なのではないでしょうか。徹底的に一次情報に当たってみることで価値が見えてくることは多々あります。

そして、その「元々は良いと思えなかったが、いろいろ調べるうちに好きになってきた」過程を営業トークだったり、マーケティングプランにすればいいのです。何も最初から好きである必要なんてないのです。

一次情報に当たり、愛せる部分を探す。


まさに、「愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのに」です。

(すみません、脱線しました)


3. 「書くこと」は、持たざるものの最後の手段


結論から言う。書く人間はモテない。自分を表現したいなら、ミュージシャンか俳優でも目指したほうがいい。それらの人は、容姿を人に晒す。コンサートがある。舞台がある。映画やテレビがある。

文字を書く人には、ライブがない。書いている間は、だれとも会わない。談笑しながら書く人はいない。なんとなく気色悪い日陰の職業だろうかと自分でも思う。しかも、とても疲れる仕事だ。生活は不規則になり、腰は痛くなり、常に眠く、締切に追われる。

(中略)

だれかが言った。書くことは人間最後の職業だと。死刑囚だって獄中で原稿を書いて本を出す。


僕がこの本で一番好きな箇所が、ここです。

「書く」という、つらくて、孤独で、(でもなぜかおしゃれな仕事だと思われていて?)、何が正解かわからなくて、でも誰かの心を動かすかもしれないチャンスがある、「書く」の本質を鋭く言い当てた一節だと思いました。

僕も泰延さんほどではありませんが、Twitterやnoteで発信をしています。RTやfavなどたくさん反応をもらえたらもちろん嬉しいですが、書いてる間は本当に孤独です。

でも、なぜ書くのか。

それは、容姿端麗でもなく、運動センスも金儲けのセンスもない僕ができることは、ただ「書くこと」だけだからです。


「書くこと」は僕の人生を大きく変えてくれました。

SNSで発信活動を本格的にはじめて約1年、気づけば1万人以上の方が僕のTwitterをフォローしてくださったり、自分のnoteをお金を払って買ってくれるようになりました。

なにより、「いつかお会いしたい」と思っていた方々に、「書くこと」を続けたおかげで会うことができました。

泰延さんはもちろん、『人は悪魔に熱狂する』の松本健太郎さん、Facebook社の中村淳一さん、そして僕が中学のときからYouTubeで観ていたギタリストTerraniさん。


僕がしたことは、ただ「書き続けた」だけです。

でも、「書き続けた」ことで人生が変わった。


泰延さんは、こう結んでいます。

「文字が そこへ つれていく」と。




とにかくなにかを書きたくなる、そんな衝動にかられる最高におもしろい本なので、まだ読んでない方はぜひ読んでみてください。

あ、めっちゃ笑うので、電車の中で読むのはおすすめしません。


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