デスクメッセのリラクックマ06
私はこの子の彼女です
俺は、一瞬、ムカっとした。
二人の間に乱入してきて、引っ掻き回した挙句、おもんな。だと?
でも、ここで、こいつと喧嘩しても、なんか、悪い方向にしか、行かない気も
してきてさ。自分の感情をコントロールできなかった。
「なあ彩乃。もう俺のこと放っといてくれへん」
「あっ、うん。なんか私調子乗って、なんかごめんね。」
もう無理!ほんまにおわた。
終業のミュージックが鳴り響いて、机を片付けたんだ。鉛筆のメッセは、書く気力が失せた。
みんなが帰って、静まり帰った教室に居残ってさ。椅子の上で、足をバタバタさせて、地団駄を踏んだらさ、何か、柔らかいものに当たった気がして、机の下に潜って見上げたんだ。
「・・・・・・・なっ?」
すごい小さい字で、何か書いてあるやん。
「使用方法 スポンジを取り外して、丸いボタンを1回押してね。スポンジにソープをつけてメッセを消してね。」
鉛筆でグリグリ落書きして、試しに机を拭いたら、絶妙の配合?一瞬でメッセを消すことができた。
そのとき、ハッとして俺は正気に戻った。
こんなもの迄、用意してくれる子のことを、誤解しかけた俺は、ほんま、あかんやつやん。そう反省したんだ。
私は、杉本彩乃。拓也のことは、最初から気になってたんだ。なんかさ、こそこそと見ず知らずの女子に現を抜かしてさ、名無しのゴンベなんかに、騙される位なら、彩乃の方を振り向けよ。ってマジで思う。
さっきはさ、「あっ、うん。私調子乗って、なんかごめんね。」
って、言ったけど。拓也のこと、諦められへんしもう少しマークするわよ。
終業のミュージックが鳴って、みんな下校したし。拓也の机チェックして帰ることにするかあ。
「今までありがとう。幸せになってね。」
おっおお!拓也やるね。
これで、ほんまにおわたね。でも、まだ、緩いよ君。私は、鉛筆をギュッと握って、拓也の文に続いて、加筆してやったのよ。
「私は、この子の彼女です。なので、この文通、もうほんま、辞めてくださいね。」
これで、この勝負勝ち組みだわ。うふふ。
モヤモヤが吹っ飛んで、最高に気分が晴れたわ。このメッセを読んだら、100%文通は終わるよね。そしたら、私が、拓也の相談に乗って、うふふ。ワンチャン、あるかもね。文通の相手の子、ざまあwww
俺は、杉本彩乃の下校を確認して、再び教室に戻った。そしてデスクメッセを確認した。
「今までありがとう。幸せになってね。」
「私は、この子の彼女です。なので、この文通、もうほんま、辞めてくださいね。」
「なっ・・・なんこの追記は?」
もし、俺がこのまま下校したら、本当に終わってたな。
人間不審になりそうな位、彩乃の笑顔の裏の小悪魔的本性をみてしまった。頭の中で彩乃の存在がイラストとなって出てきた。
おわたのは君だ。
今後は、彩乃が完全に下校してから、メッセージを書いて、朝は、超絶早く登校して、もらったメッセージを読んで、即消しする。彩乃は、もう、これで諦めてくれるはずだ。しかし、今後、どのような事が起きるかわからないし、危険がいっぱいなので、出来る事なら、一日も早く、会いたいって、心の底から思ったんだ。
机の裏のアイテムをサクッと取り出して、デスクメッセを全消しして、改めて、綴ることにした。
(続く)
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