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仕事について

こんばんは。NOTEをお使いの皆さん。
今夜はお休みなのでゆっくりと話します。そうですね、私の仕事の話でも如何でしょうか。

 普通こういった話はある程度時間が経ってから話すものですが、とても言いたがりでして。それに近所の井戸端会議が好きなお嬢さんのように何でもかんでも話してしまうでしょうから敢えて先に話すことにしました。

 私は、果物関係の仕事をしています。主に配送と商品管理。所謂青果市場の仲卸で働いています。BtoBです。会社の営業の方々が扱っている果物を指示通りに配送して、数通りに管理する。馬鹿でも分かる仕事です。そう小難しいものではない。
 ただ勿論、情報商材や高級時計のように価値が中々落ちないものではない。果物も生き物ですから賞味期限があります。目利きをして、状態の悪いものは省き、良いものを出す。商品とは店の顔です。ブランド力がある。直に関わるのは仕事の中でも魅力の一つだと思っています。
 ただ決して華やかしいものではありません。騙し合いと崩し合い。協力とは両方の利益が充分である場合に発揮します。時折、営業の方の苦手な仕事の間を持つと、呑気な同級生が羨ましく思います。隣の芝生が青く見えるだけです。

 そうだ。一つ面白い話があります。
 ファッションにおいて、権力の象徴として着る服と、仕事の制服として着る服と、趣味嗜好の為に着る服がたとえ同じ服で合ったとしても、第三者からの感想はその服を着た者の意志と同一ではないことがよくあると思いますが、それは今、果物でも同じことが起こっています。
 ここ十数年から二十年近いなか、スーパーマーケット等の小売業界は目覚ましい成長を遂げ、対する百貨店は低迷傾向にあります。それは消費社会の崩壊のようにも思えますが、実際上ブランドの台頭と差別化の不透明であると思っています。
 私は恐らくこれを読むであろう貴方よりもかなり若いし、考え方も浅はかですが、きっとどちらもこのままでは良くないという考えを持ち合わせながら静かコップに手を出している。今まで非日常における最大限の幸福を求めてきましたが、結果それは追求出来てしまった。事件の終わりとは、新たな事件の始まりとその予感ですが、僕達は映画のキャストではない。暫しの休暇を取るし、より生活観を豊かにする。
 時にサングラスを掛けた洒落たお婆様がこう言った。
「まあ汚い。その薄汚れたコートはなんですか」
すると肌の荒れた青年はこう言った。
「近くのファッションブランドで買った新品のものですよ。あなたのは?」
お婆様はこう言った。
「いやだわ。貴方知らないの。銀座の百貨店で買った、とても高級なものよ」
 自身を淑女と自負している彼女はきっと、『彼には一生を掛けても着られる服ではない』と感じていることでしょう。しかし本当のところ彼等が着ているコートは同じコートです。それが今、果物でも起きています。
 確かにAEONグループ等の全国的に一律して同じ商品を売りに出すブランドは、商品価値も価格も非常に安価なものばかりですが、都市部において地域密着型のスーパーマーケットでは、百貨店で置いてある価格よりもとても安価であるのに、同じ等級の商品が無数に存在しています。とても面白いことでしょう。

 気取った奥様の着たコートをより安価で僕も着ることが出来ている。
 

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