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大阪お好み焼きのルール

大阪に少し住んでいたことがある。東京で10年住んで新潟に帰り、大阪ですばらしい生活に出会った。久しぶりに「僕の大阪お好み焼き」を作った。

「粉もの」と言われることが多いが、それは間違えである。僕が出会ったお好み焼きは素晴らしいクリームスープの中にキャベツのエキスが溶け込んで、豚バラのコクとともにパリッとした風味が美しい。

1)お好み焼きはホットケーキではない。
2)キャベツはタップリ焼く直前に切るがよろし。
3)決して押さえつけてはならない。
4)弱火でじっくりと生命を大事にする。
5)マユに食べられても怒ってはならない。

西成の素敵なお好み焼き屋さんであった。大阪で友人に聞いたら、昔の味だと言われた。当時からすでにナンバでは高給具材で値段の張ったお好み焼き屋さんが生まれ始めていた。僕に言わせれば、キャベツが小麦のクリームのうちに溶け込んで行くのだ。キャベツに軽く粉を振っているだけでもよろし。
絶対にプレスしない。キャベツが蒸されて小麦がクリームになっていく。炭水化物は美味しさを受け止めてくれる。キャベツの細胞の内にある「生命=立体構造を維持したタンパク・脂質」が受け止められていく。
ごく弱火で蒸し焼きにする。4~6分、バラ肉の上に乗せてじっくりである。
お肉がパリッとなって、油が出てきている。キャベツと溶け込んで一体になっていく。一回返して、また4~6分である。
相当に厚いが熱が入っていく。内側がトロトロで恐ろしく美味しくなる。
返して切れ目を入れる。内側にはトロミが出ている。
ソースを縦横にかける。ソースの焦げ味が美味しいのである。鰹節とアオサを振ってマヨかける。
ジクジクと焦げながら味が入っていく。
フライパンごとテーブルで取り分ける。


お好み焼きは、パンケーキではない。高級なクリームシチューなのである。東京のパンパンのお好みは悲しくなるが、それはそれでよろし。
トマトも切った。
このトロミ、只者ではない。
マユも大好きである。一瞬のすきを突いて食べたのである。
まだ匂いする。

#大阪お好み焼き

厨房研究に使います。世界の人々の食事の価値を変えたいのです。