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幸運な病のレシピ:「ゴーヤ」 揚げても炒めても素敵

ゴーヤが安いと嬉しい(50円だった)。1/2本を使う。唐揚げでも嬉しいし、粉をまぶして炒めてからビーフンと合わせる。

食事を素材から毎日つくるというと呆れられる。100円カップ麺でも満腹は買えるのに時間も金もかかる。よほど暇だと見られる。しかし、僕は素材から食事を作ることの価値を信じている。ワンコインの食事にはワンコイン価値しかない。

そして問題は、「家庭」というその人にあった食事を作る装置(シェルター)が消え、自分で作るには私達は忙しすぎると言うことだ。誰だって生活習慣病は嫌だ。しかし、生きるためには時間を売って生活しなければならない。やがて定年になり最短の健康寿命を過ごし、施設・病院で孤独に死ぬのだ(統計的にはそうなる)。

牛肉はじっくりと弱火で別鍋に炒めて一回上げて、ごま油でゴーヤを加熱する。片栗粉はゴーヤの表面で硬い殻になり、高熱を内部に伝える。揚げ物と同じ様に蒸し料理になる。塩でゴーヤをしっとりとさせておくといい。食べて苦味が強いとき、熱のかけ方が足りないかもしれない。粉がしっかりついて、油が十分入っていると焦げないから大丈夫。

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中華鍋には油多めにして熱くする。家庭用の小さなコンロでもしっかりと熱くして野菜を油でくるむと野菜の水分がすぐに飛ぶので美味しく炒まる。もし中華鍋を買うならばチタンで軽いものが良い、直径は大きいほうが良い、野菜を返すには大きいほうが良い。できれば「中華お玉」もあたほうが良い。プロっぽくて嬉しい。毎日使っていればコツが分かる。生まれたときから料理ができるヒトはいない。

大事なことは毎日作ることだ。人のレシピは参考にしてもそのまま従うことは良いことではない。自分の人生は自分で向き合うほかないのだ。かつては家族というシェルターが守ってくれたが、今はもうない。


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最初は野菜の茎の部分、根菜系(組織がしっかりとしていて味を吸う)とタマネギのような水分をたくさん持っているもの(モヤシなんかもここに入る)を一緒に炒める。硬い組織は叩かれ、タマネギの水分を吸って独特の味わいが出てくる。高温でタマネギを叩くと辛味が甘みに変わる。タマネギが辛いという状態は、高温で加熱されていないからだ。

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葉の部分は、アクが強いので、茎野菜をずらして鍋底につくように入れる、ここまで炒めた茎野菜が「お布団」のように上に乗る様に全体を返して少し待つ。鍋底は高熱になるから一気に葉のアクは飛ぶ。そして茎野菜の「生命の水(笑)」が混ざり込んで独特の味に変わる。

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別鍋を上にあけて上下を返す。何度も返しながら水を足す。ここまで飛ばしてきたのでカタクリを伸ばすつもりで水を加える。何度も返しながら水加減をしていく。塩味が足りなければ調味料を入れる。

ここで味を決める。

一番難しい。上手な人はしっかり味見をしている。そして調整するのだ。

毎回、食材は変わり、自分お舌も変わる。生命はマニュアルでは対応できない。食材も、自分も生きている。

それが食べる人を思うということだ。食べられる生命を愛するということだ。きっと美味しい料理ができる。

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出来上がりである。味見を忘れないことだ。いかん、タケノコ入れればよかった。

料理は簡単ではない。世の中のレシピ情報を見ると「簡単、健康、馬鹿でもできる」のオンパレードだ。いい加減にしてもらいたい。食事作りというのは高度に技巧が必要な専門技だ。家庭科で習ったくらいで出来るようにはならない。かつて家庭という檻の中で姑から嫁に徒弟的なトレーニングによって伝えられたものだ。

医者や栄養士は皿の上の栄養素を数え太鼓判を押す。僕は作るプロセスにこそ問題があると思う。商品化された食事は私達を苦しめるのだ。そして問題は「商品化された食事は美味しい」のだ。

パスタやサンドイッチ、ジャンクフードに嗜好品、手間もかからず、お美味しい上に専門家の太鼓判付きだ。足りない栄養素はサプリメントで補って、検査が異常になったら、薬飲めばいい。僕はもう騙されない。

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一人ひとりの代謝系は違いすぎるから、誰にでも効く『健康になる食事』などない。

身体というコロニーは食べているものでそれなりに形つくられる。「食物連鎖」は自分というコロニーを形つくる。「乾燥系の商品化された食事」という「食物連鎖系」と僕の食事のような「食物連鎖系」はおのずから違う。

どちらが良いかなどということは言えない。皆それなりのコロニーになていくのだ。しかし、統計的には医師の妄言に従うと辛い人生の終りを迎える

僕は、「生命=脂質の膜に覆われた(数十億のタンパク質と脂質)の溶け込んだ水溶液」を大事にした食事を続けていく。それが僕の信じる食事の価値だ。


まあ、面倒なことは良いから食べにおいでよ。いつでも美味しいもの作るから、一緒に食べよう!

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厨房研究に使います。世界の人々の食事の価値を変えたいのです。