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10 ひとりたび

2023年6月の終わり。名古屋へ1泊2日の一人旅に出ました。

近鉄電車2日間全線フリー切符を購入し、行きは津、帰りは桑名と大和八木に立ち寄りました。名古屋には妻とも一緒に行ったことがありますが、今回は敢えてあまり思い出のないところを選んで訪問しました。

メインの目的は、趣味のレトロ建築巡りと名古屋グルメです。

1日目の津では、旧四日市銀行津支店や百五銀行ビル、旧松菱百貨店などを、名古屋では町並み保存地区の「文化のみち」で、「二葉館」、「撞木館」の中を見学し、「カトリック主税町教会」、「料亭・幸楽」、「春田邸」、「料亭・か茂免」などの建物の外観を見て回りました。明治から昭和初期の建物には、当時の人たちの想いが込められた物が多く、ロマンが感じられて想像力が膨らみます。「二葉館」ではたまたま城山三郎の書斎を再現したコーナーがあり、ちょうど『そうか、もう君はいないのか』を読んだ直後だったので、不思議な縁を感じました。

夕食は、宿泊したホテルの近くの「串カツラブリー」という「コの字酒場」で、みそだれの串カツやどて焼きを堪能しました。これまであまり一人で居酒屋で呑むことがなかったので、新鮮な感じでした。

2日目はモーニングサービスから。ホテル近くのレトロ喫茶店「エーデルワイス」へ。ハムサンドとゆで卵とホットコーヒーのセットを注文し、まったり。チェックアウト後は、前日に続いてレトロ建築巡り。愛知県議員会館、名古屋市市政資料館(旧名古屋控訴院地方裁判所)、名古屋市役所、愛知県庁などを見学しました。名古屋市役所は、エキストラで参加した映画『ステキな金縛り』のロケがあった場所で、庁舎内の正面階段や廊下螺旋階段などを写真に収めて回りました。

桑名では、大正時代の和洋折衷の建物「六華苑」を見学しましたが、途中の水路沿いのレンガ倉庫や旧東海道の七里の渡し跡や櫓など、見どころは満載でした。さらに、鉄道マニアとしては外せない、日本で唯一、軽便(三岐鉄道)と狭軌(JR)と標準軌(近鉄)の3種類の幅の線路が並走している「西桑名第2号踏切」を訪れ、近くの高架橋からもこの珍しい光景を眺めることができました。


そして、帰りは約10年ぶりに旧友と会うために大和八木駅で途中下車。彼は、年齢は1つ上ですが、9年前に奥さんを亡くし、4年前に大動脈剥離で大手術をしています。奥さんを亡くした当時、一年くらいは何も手に付かない状態だったそうで、仕事をするにしても、「妻のために」という目標がなくなり、喪失感が強かったとのこと。「生きていても仕方ないと思ったこともあるが、娘がいるので何とかやってこれた」とも話していて、深く共感しました。彼はその時、求職中とのことでしたが、趣味の演劇の舞台にまた立ちたい、と夢を語っていました。自分もこれから目標を持って生きていけるのだろうか。まだ先が見えない日々ですが、「会えて嬉しかった」と言ってもらえたのがありがたかった。


妻が亡くなってから初めての旅行。結構盛りだくさんな旅になりました。

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