居酒屋のアルバイト

大学1年の冬に友人から電話が鳴った。

アルバイトしない?居酒屋みたいなんだけど自分も飲めて遊んでるだけで時給もらえるんだけど。

なんだそのアルバイト!即答やるわ!

面接当日スーツで来てねとだけ言われ行くとスナックみたいな場所だった!

変わった居酒屋だなぁと思っていると店長を名乗る人から仕事内容を教えてもらう。

簡単に仕事内容を説明するとはこうだ。
お客様が来たらいらっしゃいませって大きい声で。

ハイ

席にご案内して、飲み物を聞く。

ハイ

ボトルがある場合は席に並べる。

ハイ

席にご一緒させていただいてもいいか聞く。
名刺を渡す。

ハイ、ん?

席についてお客様の飲み物を作る。

ハイ、あれ?

タバコ吸うお客様なら火をつける。

おっと?

灰皿を交換する。

居酒屋、、、ハイ

お客様が盛り上がるようなはなしをする。

あれれ?居酒屋?ハイ

お客様から出されたお酒は残さない。

変わった居酒屋だなぁ。ハイ

いや、、、ホストじゃん

そう騙されたのだ。

まぁ仕方ない馬鹿みたく一生懸命やってみるか!

ホストに来るお客様はキャバ嬢、オッパブ嬢、風俗嬢、OL、大学生、などなど来店する。
年齢層は20歳から70歳まで。
女性だけではない。ボーイ、キャバクラ店長、オーナー、実業家、社長、などなど。

普段生活していてもあまり話す機会がないような方々と会話できるしなおかつ時給が発生する。なおかつ私はお酒が大好きだ!こんな良いアルバイトあるだろうか?私はどっぷりハマった!
ホストのイメージは女を騙して金を巻き上げるとか想像すると思います。自分も同じイメージで今もそうだと思っている。
しかしアルバイト先の店長はクリーンな水商売をしたいといつも言っていた。
ホストがというより水商売が汚れるような事をするなと日頃言われていました。

ノルマはないし、営業しろ、売り上げがどうだとか一切言わなかった。感覚は夜仲間と集まって合コンする感じだ。これを聞いて女性の方でしっかりお金払って来てるんだから仕事しなさいよっと思う人気をつけていただきたい。
ホストにハマるタイプかハマっているタイプだからだ。

しかし私がアルバイトでやっていたお店は他店と比べて良心的だ。
値段設定も1時間1000円の焼酎、ブランデー飲み放題、割り物飲み放題(水、緑茶、烏龍茶、アセロラ、オレンジなど)
今思うと完璧赤字だ!だからお客様もみんな3000円とか会計で楽しんでいた!

歌舞伎町みたいな場所でも無いので店空なんて日常茶飯事だ!そんな中店長は何も言ってこない。今思うとすごいなと思う。
お客様でも中にはいたのがホスト狂いと呼ばれる子達だ!
この子達は特殊で周りに負けたくないというのでお店に来る人だ。呑みたくもないお酒をガンガン頼む。未だに理解できない。

多種多様な人と毎日話すわけですからトーク力
は確実に上がってくる!

営業成績が伸びない人とか会社は研修で行ったほうがいいと思う。

そんな中私は3年間ハマっていた!代表になるくらいまで成長したのだ。

そんなある日滅多に連絡なんてこない中学生の時の女友達から電話が来た。

中1のときからあのハーフの友人が交通事故で亡くなったという電話だった。

最初何言ってんだこのブスと思いながら嘘だったらマジで怒るぞ?

相手 私もまだこの目で確認してないけど連絡来たんだよ病院は〇〇病院だから、ブツ、ツーツー

正直めんどくさかった。
よくハーフの友人はこの手の冗談を使っていたからだ!目に見えていた。まさか冗談だろ。半信半疑だった。

病院に着いてベットに行くとハーフの友人はいなかった。やっぱり冗談だった。
すると隣から電話をくれた友達の声がした。
見てみると怪我をしたタメくらいの男がベットで横になっている。
あまり見かけない顔だったのだがよくみると他中の友達だった。あまり喋ったことは無かった。ただ放心状態に近い。

嫌な予感がした。

家に行こう。家にいるらしいと電話をくれた友達が言った。

急いで向かった。どの道を使ったかなんて覚えていない。何キロ出したのかも…

到着するとみんなが泣いている。

そこにいたのは棺桶の中のハーフの友人だ。

最初全く意味がわからなかった。

何これ?なんのギャグ?みたいな感覚だ。

理解に苦しんだ。理解したくなかったというか認めたくなかった。涙は出ない。

みんなは泣いている。

よくわからない空間だ。

その場に居続けることしかできなかった。

名前も呼んでも全く起きない。何回読んでも起きない。

初めて実感した。涙が止まらなかった。何時間何日間泣いた。
中学時代の思い出や高校生のとき遊んだ記憶頭の中でぐるんぐるん駆け巡った。
泣いて泣いて泣いて泣ききれないくらい涙が止まらなかった。

飲まず食わず寝ずで四日間がたっていた。

このとき私はこう思った。

こいつの分まで全力で生きてやる!人生なにが起こるかわからない!と

今思うとメソメソしてる私の背中を持ち前の力で押してくれたのだと思う。

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