僕はマラドーナのドリブルとその人間臭さに魅せられた 永井孝英さんインタビュー①
みなさん、こんにちは。ヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジン第33回を担当します、スタッフの澤野です。よろしくお願いします。
ヨコハマ・フットボール映画祭 2021の会場内ギャラリーにて、フットボールカルチャーを愛する皆さんとの交流の場、フットボール・エキスポ 2021が開催されます(ギャラリーは入場無料)!
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そこでヨコハマ・フットボール映画祭note公式マガジンでは、フットボール・エキスポ 2021へ出展される方へのインタビューを実施し、読者の皆さまへお届けします。
今回はディエゴ・マラドーナのユニフォームやスパイクなどの世界的なコレクターであり、病院の経営やコンサルティングなどいくつもの事業を展開する実業家でもある永井孝英さんにお話をうかがってきました。
インタビューは2回に分かれており、まずは20世紀を代表するフットボーラーであるマラドーナの魅力や人間性、ドキュメンタリー映画と貴重なコレクションについて、永井さんのお話をお楽しみください。
(2021年9月24日 オンラインにて取材)
ディエゴ・マラドーナの愛すべき魅力とは
ーー永井さんがマラドーナを知ったきっかけについて教えてください。
永井 1982年にマラドーナがボカ・ジュニアーズの選手として来日した時、父親に神戸のスタジアムで行われた試合へ連れて行ってもらったんですね。
年齢も小さかったので試合の様子は覚えていないんですけど、彼がボールを持つたびに必ず観客がワーッ!!って騒いでいて、子供ながらに「何でみんなこんなに騒ぐんだ」というイメージが強烈に残ったんです。
その後テレビなどのメディアを見て「マラドーナってあの人だったんだ」「自分はすごい人に出会ったんだ」と言う感じで、どんどん彼にのめり込んでいきました。
ーーマラドーナのプレーでとりわけ記憶に残っているものはありますか?
永井 僕は彼が出場している200試合くらいの映像データを持っていまして。世の中で放送されたものって、ほぼ全部集められるんですよ。なのでこれまで色んなシーンを見ていますが、僕は試合の時よりトレーニングの時のマラドーナがすごく印象的なんですね。
トレーニングの時の彼って、本当に楽しそうで。よくボールが身体の一部、みたいな表現をするじゃないですか。まさしく彼のことだって思うんです。ナポリ時代のボールコントロールのトレーニング映像があるんですけど、驚愕しますよ。ボールが勝手に彼の元に戻ってくるように見えちゃうから。
プレースタイルとしては、ドリブル主体だったボカ・ジュニアーズ時代の頃が好きかな。一人で試合をやっているみたいなすごさがあって。20代後半の時のパスセンスやゲームをコントロールする力も素晴らしいですけどね。彼の映像を探すとしたら、まだ見たことのない若い時の映像が欲しいですね。
ーー永井さんが感じるマラドーナの魅力ってどんなところでしょうか?
永井 喜怒哀楽が激しいところかな。怒ってる時は本当に怒ってるし、嬉しい時は心から嬉しそうな顔をしていて。そんな感情むき出しの彼を見ていると少なからず共感できるんです。
インタビューを受けているシーンだけ見ても面白いって思いますよ。さっきまで笑っていたのにいきなりレポーターに怒り出すとか(笑)急に怒り出してどっか行っちゃうみたいな映像があるんですけど、そういうのを見ていると気分屋で楽しく生きている感じがしますよね。
プレーはもちろんすごいんですけど、人として分かりやすいところ、自分たちが出したくても出せない部分も平気で飛び出てくるストレートなキャラクターが、僕にはたまらなく魅力的に映ります。
© 2019 Scudetto Pictures Limited
映画『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』
ーー今回のヨコハマ・フットボール映画祭では、マラドーナのドキュメンタリー映画が上映されます。永井さんは既にご覧になっているそうですが、どんな感想を抱かれましたか?
永井 彼のドキュメンタリー映画って世の中にたくさん出ていて、僕も大体観ているんですけど、その中で一番面白かったんじゃないかなと思います。見たことがない映像がふんだんに使われているんですよね。
特にナポリ時代の映像に時間が割かれているんですけど、成功から堕ちていくまでが巧みに編集されてますよね。一人のサッカープレーヤーで、あそこまでの人間ドラマを描けるというのも中々ないんじゃないかな。
マラドーナを見たことがない、あるいは知らないという人でも彼ってこういう人だったんだということが分かりやすく、かつ楽しく表現されている映画だと思います。
© 2019 Scudetto Pictures Limited
ーー映画で印象に残ったシーンを教えてください。
永井 ナポリ時代に様々なトラブルがあったことで、今までファンだった人たちから逆に攻撃されるような状況になった時に、彼が一人でボーッとしているシーンがあるんです。
全然瞬きもしてなくて何か考え事をしているような、とても寂しげな表情で。ああいうマラドーナはあまり見た記憶がない。ナポリの街で人にもみくちゃにされて、怒ったり笑ったりしている姿は何度も見ているんですけどね。
あの時彼が何を考えていたのか、辛かったのかなとか、たくさんの彼の表情を見てきた僕でさえも何か色々想像させられてしまうくらい、不思議と印象に残るシーンでした。
© 2019 Scudetto Pictures Limited
垂涎のマラドーナ・コレクション
ーーフットボール・エキスポの会場では、永井さんの貴重なマラドーナ・コレクションをお借りして展示させて頂きます。ありがとうございます!
永井 こちらこそ、展示の機会を頂けて嬉しいです。ご依頼いただいているのは、AAアルヘンティノス・ジュニアーズ、ボカ・ジュニアーズ、FCバルセロナ、1986メキシコW杯、SSCナポリ、ニューウェルズのユニフォームですね。あとはスパイクとキャプテンマークも。
ーーどれも貴重なものですが、やっぱり1986年のメキシコW杯のユニフォームは特別ですか?
永井 そうですね。本人が着用した86年のユニフォームってもう誰も手放さないので。これを入手するのに20年ぐらいかかりましたね。いまだに中国の方から何千万円で売ってくれというオファーがしょっちゅう来ますよ(笑)
今はどの時代のユニフォームも本人が着用したものは入手するのが難しくなっていますけど、W杯の特にメキシコのものは別格でしょうね。SSCナポリのユニフォームは、所属していた7シーズンのホーム&アウェイ、リーグ戦やカップ戦、全部持っています。
ーーそれって普段はどうやって飾ってらっしゃるんですか?
永井 飾り方って難しいんですよ!前から見たい時もあれば、背番号で見たい時もあるので。今週は10番をずっと見ていたいとか。額に入れると、動かせなくなっちゃうし。いまだに悩みますね。
だから同じタイプのユニフォームでも試合が違ったら欲しくなっちゃうし、複数持ちたくなるみたいなところもありますね。飾り方の正解は、どなたか僕に教えてください(笑)
ーー映画祭には、マラドーナのことを知らない若い方もいらっしゃると思います。改めて、彼のどんなところを知って欲しいですか?
永井 簡単に言えば、太ったおじさんが左足一本で何でもやっちゃうよってところ。一人でサッカーを楽しんでいる様子を見て、逆に楽しんでもらえれたらと思いますね。
サッカーをやっちゃいけない体型でしょみたいな人が、両足使えって言われてるのに左足しか使わないとか(笑)普通のサッカーの常識から外れた人間が、一番すごいよっていう。
細かいプレーとか戦術とか抜きにして、何なんだこのおっちゃんは!歩いているだけでもなんか面白い、みたいな感じで見てもらうのが一番いいんじゃないかなと思います。
© 2019 Scudetto Pictures Limited
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私が所属していた高校時代のサッカー部が作ったユニフォームは、アルゼンチン代表のデザインを模したものでした。永井さんと同世代の私たちにとってもマラドーナは憧れのスターで、左耳のピアスがカッコ良いと友人たちと話していたのを覚えています。
アスリートとしての彼しか知らない私は、コカイン所持がニュースになった時に失望し、徐々に関心を失っていきました。ですが永井さんはあくまで人間としてのマラドーナを応援し続けて更生と復帰を願い、彼の弱さでさえも愛情の対象だったことがインタビューからうかがい知ることができました。
次回はそんな永井さんが産み出した、マラドーナのような超一流サッカー選手から直接アドバイスをもらえる未来を見据えたオンラインサービスの現状に迫る予定です。お楽しみに!
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