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「ジャック・ザ・リッパー」私見報告書 vol.2

本編

一幕「あの頃には愛があった」

プロローグ
19世紀、ロンドンのホワイトチャペル。
早々に様々な人達が現れます。
スラム街の一角ということで娼婦が目立ちます。

稲妻が鳴り響く中、黒尽くめの男の姿が現れ・・・

続いてシーンが変わり、ロンドン市警警部アンダーソンの事務所へ。
息を切らしてアンダーソンが部屋に入ってきます。
手には拳銃が握られており呼吸は乱れ興奮状態です。
彼は落ち着く為に引き出しからコカインを取り出し吸入。

呼吸が整った彼は静かにタイプライターを打ち始めます。

アンダーソンのテーマから始まり、作品がアンダーソン目線で語られることが印象付けられます。

M1 隠された真実

「1888年・・・八月三十一日の早朝のこと 道端で最初の死体が発見された」

事件報告書作成により、物語はゆっくりと幕を開けていきます。

「娼婦のメアリー・アン・ニコルズ 耳から喉まで切り裂かれ 内臓まで取り出されていた 犠牲者は五人 すべて娼婦 同一犯だ」

そしていつの間にかジャックが一人の娼婦(ダンドイ)を誘い出し、アンダーソンの言葉に誘われる様に凶行に及びます。


市民たちが恐怖に怯える様子と緩やかな主旋律に反して抒情的なオーケストレーションが不気味さを助長させます。
繰り返すメロディとそのメロディが辿るラインを変えることでアンダーソンの思案を表現し、物語の膨らみを後押しします。

アンダーソンとジャック、娼婦(ダンドイ)以外のキャストは其々の視点を持ちながらもアンダーソンを注視する箇所、ジャックを注視する箇所が決められており、散らばっているものが一瞬で一点に集中されることで客席の視聴点を誘導していきます。

そして

「二日前、俺は悪魔に出会った。」



こうして時間が遡っていきます。
(我々は既に早着替えがスタート!!)


第一場 [ホワイトチャペル通り(二日前)]

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