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デジタルファシリテーター・バンド

強固な社会システムのカテゴリに入るために、競争して椅子取りゲームをする時代が、急激に終わろうとしている。

入りたいカテゴリが見つからなかったり、入ってみたものの違和感が発生したり、という若者と頻繁に出会うようになった。

違和感を手がかりにして、新しいものを自分たちで作っていく動きが、コロナ状況の下で強まっていくだろう。

組織の変容サイクル

現在の社会システムは、かつては実状に合わせてつくられており、機能していたのだと思う。しかし、現在は、あちこちで機能不全化している。

このフェーズで重要になるのは、違和感を手がかりにして、それぞれが、自分の言葉で表現していくことだ。その表現をお互いに受け取りあって、触発し合って、表現が増幅されることで、「時代のナラティブ(語り/物語)」が、出現してくるだろう。

出現した「時代のナラティブ(語り/物語)」が、次の社会システムを作るための土台になるはずだ。

自分自身のナラティブを生み出すためには、違和感や矛盾を抱え続けて止揚する必要がある。じぶんの中で化学反応を起こすのだ。いわば、「じぶん内社会実験」をやるのだ。

社会システムのカテゴリに自分を当てはめるのではなく、社会の各要素を「じぶん内社会実験室」の反応炉に投げ込み、社会をじぶんの中に内包し、体感と繋がって、未来社会を構想するのだ。

それを実現する研究室を「じぶん大学」として立ち上げよう。

デジタルファシリテータ・バンド

社会を内包して、未来社会を構想している個人を「全体的個人」と呼ぶことにする。『参加型社会宣言』の橘川さんは、未来社会の実現の単位は、組織ではなくバンドだという。組織になるとシステム化の罠にはまりやすくなる。「全体的個人」の化学反応によって生み出したもので世界を変えるのがバンドだ。

未来社会を構想するための場を創るデジタルファシリテータ・バンドという構想が生まれてきた。

これまで、地域で行われてきた「未来会議」が、今後、オンラインへと拡張していくだろう。

リアルがオンラインへと拡張すると、次のような変化が生まれる。

リアル中心とオンライン中心

集合&会場コストがほぼゼロのオンラインでは、交通費や会場費に使われていた予算を、プロセスデザインや運営へと振り分け、単発イベントではなく、継続的なプロセスへとシフトするのが合理的である。

様々なデジタルツールを活用して、オンラインで継続的なプロセスをデザインし、かじ取りするのが、デジタルファシリテータ・バンドの役割だ。

アウトプットの例としては、玄道優子さんの「のと未来会議」の事例が参考になる。

現在は、地域密着の未来会議だが、オンラインだと地域を超えてテーマで集まる未来会議を実現できるだろう。地域の縦糸と、テーマの横糸とを組み合わせて布を織るように、新しい未来を出現していこう。

デジタルファシリテータ・バンドの構成は、次のようになる。

1)オンラインファシリテータ

ワークショップデザインや、同期の場でのファシリテーションを担当する。

2)コミュニティマネージャー

数カ月にわたる集団活動において、相互のコミュニケーションを促進し、コミュニティ化をサポートする。主に非同期コミュニケーションを見守る。

3)テクニカルパートナー

未来会議に必要なプラットフォームやデジタルツールの構成をデザインすると同時に、参加者のデジタルに対するハードルを下げる工夫をする。

4)クリエイティブプロデューサー

未来会議の雰囲気を司る様々な画像のデザインや、グラフィックレコーディングなどを担当する。

まずは、いろんな組み合わせでバンドを組んで、動き出してみようと思う。

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