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親子間の事業承継がうまくいかないのは、○○の話をしないから。

「本当にうちの社長は、わかってない!」

親子間の事業承継で、必ず問題になるのが、『父社長とのコミュニケーションがうまくいかない』ということではないでしょうか。

めちゃめちゃよくわかります。


僕は中小企業の社長の後継ぎとして、それこそ10年以上もこの問題に向き合ってきました。

結果、跡継ぎを外されたので、いわば『事業承継がうまくいかない』原因を知る、第一人者なわけです!!

・・・ちょっと悲しい^^


そんな自身の経験も踏まえて、僕が出した結論がこれです。

親子間の事業承継がうまくいかないのは、

『感情の話』をしないから。


なぜ感情の話が大切かというと、

事業を受け継ぐということは、いわば、その社長の今までの人生を受け継ぐことに等しい行為だからです。

だからこそ、社長の感情を中心にした着眼点で話をしないと、話がうまくいきません。

やれお金だ、やれ将来性だと、引退する社長はそんなものに興味がなく、ただ、自分が手塩にかけて育ててきたこの会社の、その会社に対する思いを、受け継いでほしいと思っているんです。

ここを見誤ってはいけない。

ここを見誤ってしまうから、「うちの社長は、話にならない」、「うちの息子はわかってない!」ってなっちゃうんです。


特に、跡継ぎがこの考え方を理解していないケースが多いと思います。

跡継ぎは、情報が多くある現代において、たくさんの勉強やインプットをしていることと思いますし、社長よりも若い分、今の時流への理解も深いはずです。

対して、社長は、高齢であればあるほど継続的な勉強をしていませんし、自身の成功体験が強く、時流の変化にも柔軟ではありません。

結果、どうしても跡継ぎの方が賢く、客観的に会社全体のことをみることができます。

すると、事業承継の話になった場合に、

「このタイミングが、会社的に有利だ」とか、

「この特例法を使うと、金銭的に得をする」

みたいな話が、どうしても多くなりがちです。

つまり、賢い分、いかに事業承継を有利にすすめられるか、この先の将来どう展開していくべきか、という実務的なことが話の中心になってしまうんです。


でも、社長の話の中心はそこにはない。

社長は、そんなことは好きにしていいから、それよりもこの思いを聞いてほしい、と思っています。

これまでの人生の大半を注いできた、自分の会社を引退するんですから。

それなのに、その話を聞いてあげない跡継ぎ息子の、なんと多い事か。

親不孝ものですね^^。


とか言っている当の僕自身が、その『話を聞いてあげない跡継ぎ息子』でした。

引退をチラつかせつつ、いつまでとはっきりしない社長に対して、そんなんじゃダメだ、会社の将来の為にもはっきりさせろ、などと、ひどいことを言って引退に追い込みました。

さらに、上からの物言いで、こうした方が絶対にいいとか、俺に任せてくれれば、金銭的に一番いい方法で事業継承できる、なんて話ばかりしていました。

そのくせ、社長の話はほとんど聞かない。

なんか言ってくるけれど、時代遅れの、何もわかってないこと言ってるな、程度に聞き流し。

その上、そうじゃないんだ、こうなんだよって、自分の話をかぶせてくる。

なんだか賢そうなこと言ってるもんだから、息子に反論もできない。

そりゃ、社長にしたら嫌になりますよね。


今思うと、社長の感情に寄り添った話を、全然してあげられていませんでした。

でも、この感情に寄り添った話っていうのが、一番大切だったなって、今は分かります。

金銭的な話なんて、どうでも良くって、まずは社長の感情を一番に考える。

「この先、社長自身はどうしたいの?」

「今まで築いてきた会社の、どの部分を大切にしていけばいい?」

「社長を辞めても、何かあったら相談させてもらえますか?」

こんな風に、優しく話を進めることができたら、僕もちゃんと事業を受け継ぐことが出来たんじゃないかなって思います。


『実務の話』ではなく、『感情の話』を事業承継の中心に置くことで、社長の信頼を勝ち得ることができます。

そうすることによって、社長との良好な関係が築けて、「お前に任せる」となってくる。

その結果として、跡継ぎが思い描いた通りの『実務の話』が進むわけです。


一見、遠回りに見えますが、事業承継で最も大切なのは、社長を中心とした『感情の話』。

少しばかり、社長の武勇伝や昔話に付き合ってあげなくっちゃいけませんが(笑)、しっかりと寄り添ってあげましょう。


会社も大切ですが、家族も大切。

事業承継よりも何よりも、自分の親の幸せを思う気持ちを思い出せれば、きっとうまくいくはずです。

むしろ、この事業承継をきっかけとして、親子間の関係性が、より良好なものにできるんじゃないかなっていうふうにも、思います。

言うほど簡単ではありませんし、時間もかかり、忍耐も必要ですが、これから事業承継をする方には、ぜひ頑張ってほしいです。

応援しています。

そして、僕も、自分の人生、頑張りたいと思います!


最後まで読んで頂いて、ありがとうございました!

※音声も、毎日配信しています。

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