第8回 学習指導の基本技術

建前

指導のねらい

生徒がよく理解できる授業を展開するために必要な基本的指導技術を身に付ける。

指導内容

・学習指導の基本的な心構え
・話し方
・板書の仕方
・学習の指示・助言の仕方
・発問の仕方
・学習形態の選択
・グループ討議「余裕の作り方」

本音

Goくん

 「余裕の作り方」のグループ討議は、共感できる部分と参考になる部分が多く、非常に有意義な時間であった。授業の根幹は教材研究である。10の理解で2や3の力で授業をすることや、意図を持ってあえて難しい発問をすることなど、教材研究の充実によって選択肢を増やすことができる。加えて、板書やICTを活用できれば生徒が受けたい授業へと変えられる。教材研究、実践、反省を繰り返しながら生徒にとって学びの多い授業を作っていきたい。
 自分自身の授業を振り返ると、1回目よりも2回目の方が緊張と楽しむバランスが整っていた。緊張感は双方にとって必要である。このバランスをコントロールできるようにこれからの教材研究・授業研究に臨みたい。

Sinちゃん

 「余裕の作り方」と題したグループ討議では、先輩の先生方からたくさんの助言をいただいた。授業のポイントを絞ることや、あえて準備をしすぎないといったことを知り、授業づくりの考え方の幅が広がった。学習指導を通して、生徒たちとの信頼関係を築いていきたい。

私から

 「余裕」と表現したことで多少誤解されてしまったかもしれませんが、「余力」と言い換えたほうがわかりやすいでしょうか。私が初任の頃、授業をするに当たっていつも考えていたのが、「時間も質も、常に余力のある状態で授業ができたら…」ということでした。それ以来、自分の教科における目標として、「10の知識・理解を持って1で授業する」ことを理想としようと決めたのです。
 生徒を評価する観点において、「知識・理解」はいくつかの観点の一部であり、今後評価におけるその比重はますます下がるでしょうし、変化の時代に突入している昨今を考慮すれば、その方向は正しいのだと思いますが、教授する側にとっては「知識・理解」の質量が大きくものを言うのはこれから先も変わらないと考えています。質のいい問いを準備するために、授業の流れや教室の雰囲気によって発問の質や方向性そのものを変化させるために、教授する側が圧倒的な「知識・理解」を備えておくことはやはり重要です。
 なお、話は逸れますが、アクティブラーニング型授業に移行しようとした際に感じたことを書き添えてみます。移行以前、10年の教員生活を経て、ようやく「3~4の知識・理解でもって1で授業する」段階まで届いたのではないかと考えられるようになっていました。が、移行中に感じたのは、生徒に良質な問いを与え、それを考えさせる時間の活用を考え始めることで、知識・理解に関して言えば「6~7でもって1の授業する」ような感覚を覚えることがありました。単純な話ではありませんが、流行によって捉え方が変わるのは面白いと感じたのを思い出しています。
 最後にもう一つ付け加えておきます。子どもたちは常に私たち教員を意識的・無意識的に量っているものです。底を見せた時点で、舐められたり距離を置かれたり、そして信頼を失ったりします。そういう意味では、学級経営も部活動経営も、その他教育活動全般において、授業同様、いかに「余力」を保持して生徒と接することができるかが大切な鍵の一つになるのでしょう。


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