新徳 雅隆 Masataka Shintoku

デジタル庁ソフトウェアエンジニア。また兼業として企業から業務委託を受けてアプリケーションを開発する等しています。

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マガジン

最近の記事

空気の研究 No.1〜「空気」の存在が嫌なのにその形成に加担している

よく抑圧的な文脈で語られる空気の存在。「何か言える空気ではなかった」「同調圧力を感じさせる空気があった」という使われ方をします。最近ではネガティブな存在として語られることが多いように感じますが、ポジティブに働くことも存在します。例えば危機的な状況に遭遇するとこの空気の存在はポジティブに働くと言われています。一致団結して協調性を発揮することを厭わないからです。 この記事ではネガティブな存在として語られる空気についてです。僕は最近この「空気」は実は虚構なのではないかと思います。

    • 女性が女性のアイドルを選ぶときに容姿で選ばない仮説

      先日興味深いことを友人に聞いた。あるアイドルを選考するプロジェクトで、インターネットで一般人からの投票でアイドルを候補から決めるものがあるらしい。男性のアイドルは明らかに容姿が端麗な人が選ばれる。一方で女性のアイドルは容姿が端麗な人は落ちて話が面白い人が選ばれるというのだ。そして投票している人は(データを取ったわけではないだろうが)女性が多いという。評価者の大半が女性であるという仮説を前提としてこの記事を書く。 女性が女性を選ぶときは容姿で選ばずに、話の面白さで選ぶというの

      • AIの恩恵と著作権のシーソーゲーム

        AIの恩恵のひとつは、およそ個人が一生のうちに触れることのできない情報群の抽象化された内容に触れることができることだと考えている。 一方でアメリカで以下の法案が提出されたようだ。2023/12/25時点の情報。 AIに学習させる情報に対して著作権の侵害を訴えられてしまうと考えて、学習させるすべての情報が著作権フリーのものだけに限られてしまうと、触れられる人類の叡智の総量が限られてしまうのではないかと思う。著作権で守られているコンテンツも、長い時間軸で考えれば人類の叡智の一

        • 僕の考える民主主義 episode.1

          コテンラジオの民主主義のシーズンで民主主義を改めて考えるきっかけをいただいている。日常でもさまざまなアイディアが脳内を駆け巡るようになったこともあって、記してゆくことにしました。 一般意志でドライブすることが民主主義これから展開するエピソードの土台として、ルソーの社会契約説を説明することを試みます。ルソーはそれぞれの人が持つ考えを特殊意思と置き、人が集合したときにその人たちの考えを集めたものを全体意思と呼びました。 間違ってはいけないのは政治はこの全体意思で成されるもので

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        • User Experience
          1本

        記事

          社会が親ガチャを積極的に解消するべき理由

          超相対性理論のこのエピソードを聴いたことが、この記事を書いたきっかけです。 「親ガチャ」という言葉があります。生まれてきた時点でその環境によって将来がある程度決定されてしまうという考えと理解しています。 これに対して環境は個人が変えられるものであって、「親ガチャ」は言い訳だし個人の努力が足りないと考える人も多いですよね。 僕はこれは人間がまだ原人だった頃の考え方に由来していると考えているのでそれを論じてみたい。またどうしたら能力主義がある程度文句なくワークするのかも考え

          社会が親ガチャを積極的に解消するべき理由

          大人の言語化能力は子どものいじめに繋がっているのではないか

          気づいたきっかけ僕は可能な限り言葉を尽くしたいという価値観を持っています。一方で言葉にすることが難しく、感情に訴えてしまう人も一定数います。これは子どもの話ではありません。大人の話です。自分の思いや感情を言葉にするのが難しく、嫌なことがあっても黙ってしまったり、言わなくてもいいやと諦めてしまったり、蓄積しすぎて爆発したりというのはよくよく恋愛相談には出てくる話です。 仕事でも僕は言葉を尽くしたい。相手が考えていることを知りたい。そのためには言葉にしてもらわないとわからない。

          大人の言語化能力は子どものいじめに繋がっているのではないか

          創作を通して自分が自分でいることを少しずつ取り戻している

          2022/12から2023/3まで渡邊康太郎さんが講師となり、株式会社flierが主催した「つくるとつくらないのあわい──非表現者のための表現ガイド」という講義とワークショップに参加しました。この中で僕は創作を通して自分が自分でいることを少しずつ取り戻し始めたので文章にまとめます。 どんなワークショップだったの?実はこのワークショップの第二回目が催されるので気になる方はぜひ参加してみてください。このワークショップを受ける前に僕が日頃からとてもお世話になっていて尊敬しているデ

          創作を通して自分が自分でいることを少しずつ取り戻している

          市民ミュージカルを観劇してその必死さに胸を打たれた

          職場であるプロジェクトを一緒に推進している方が、「夢の中のマリオネット」というミュージカルに出演するというので観劇しました。つくばみらい市で2023/3/19(日)に行われた市民ミュージカルです。 そもそもミュージカルに参加したことがなかった僕なのですが、参加させていただいてとても大きな感動を味わいました。今までミュージカルを観劇したことがないのでプロフェッショナルのミュージカルを見たことがないから、そのミュージカルの玄人さはもちろんわからない。ただ小学生から60歳を超えた

          市民ミュージカルを観劇してその必死さに胸を打たれた

          我々は数字の奴隷から脱却できるか(前編)のサマリ

          超相対性理論の「我々は数字の奴隷から脱却できるのか(前編)」をようやくしました。僕なりの誤読も添えて。 Well Beingに数字は必要なのか1956年にアメリカで行われた調査だと30%くらいの人が幸せだと言っている。90’でもこの数字はほとんど変わらない。この結果に対して貨幣の価値収入を当てはめてみると明らかに向上しているのに結果は変わらない。年収という数字「だけ」だと幸福度に寄与しないということだ。もちろん年収が向上することによって数字ではない何かを得られて幸福になって

          我々は数字の奴隷から脱却できるか(前編)のサマリ

          過度な啓蒙主義を脱却しながら多様な人と智慧をかたちづくる

          超相対性理論の「人文知の社会実装」を聴いていて、啓蒙主義はややもすると他人の誤りを責めたり、物事を知らない人をバカにしたりする傾向があるという話があった。啓蒙主義とは合理主義だが、確かに現代において合理主義に傾倒している人は多い。人間はそこまで合理的ではないのに。 僕はこれで思い出されるのは、「専門家がやるべきだ、素人は引っ込んでろ」という考えに代表される権威主義、勉強するために仕事するのではなく、身に付けてから来いという排他的な考え方だ。僕も、どちらも経験したことがある。

          過度な啓蒙主義を脱却しながら多様な人と智慧をかたちづくる

          ChatGPTの出現によってプログラミングの勉強の仕方が変わる

          #ChatGPT が出てきたことでプログラミングの勉強の仕方が変わった。もっと言えばプログラミングスクールに入る人の理由も変わるだろうと思った。 プログラミングスクールに入る理由プログラミングスクールに入る理由は、プログラミングスクールに勤務した経験からして以下の二つに大別されると思う。 自分で勉強して迷子になる=調べてもわからない 体系的に学ぶことによって効率的に勉強したい このうち1の理由、つまり自分で勉強して迷子になる人にとってはChatGPTで解決できるように

          ChatGPTの出現によってプログラミングの勉強の仕方が変わる

          自分で組織を組成してプロジェクトを完遂して振り返ること①

          自分で構築したチームで、比較的大きなプロジェクトを受注してアプリケーションを開発して納品しました。多くの経験が得られたので自分のためにまとめると同時に、誰かのためになればと思ってブログにまとめます。 参考になると思われる人は以下のとおりです。もしかするとこれ以外の方にも参考になるかもしれません。 個人でプロジェクトを請け負う場合 起業するわけではないが、チームでプロジェクトを請け負う場合 メンバーに海外出身のメンバーがいる場合 チームメンバー全員が兼業している場合

          自分で組織を組成してプロジェクトを完遂して振り返ること①

          ビジネスパーソンが持つべきアプリへの期待値設定と打ち手

          「これさえ作れたら成功間違いなし!」「アプリさえあればこのビジネスは成功できる」「アプリがあればなんでもできるでしょ」 こういう言葉かなりよく聞くんです。すべての人がひと通りデザインとかアプリ開発とか経験しとくといいよねと言われるのはここにある。 つまり、ソフトウェアへのリテラシーがなさすぎてアプリさえあればドラえもんの秘密道具みたいになんでも成功させられると思ってしまい、それを委託して作ってみたら現実を見せつけられてしまう。「こんなはずじゃない!」と理想と現実のギャップ

          ビジネスパーソンが持つべきアプリへの期待値設定と打ち手

          日本とアメリカのプライバシーに対する考え方は同じだけど観点が異なる仮説

          最初のキャリアは超が付くくらい日本の伝統的な企業風土がある企業で始めて、今はコードクリサリスという創業者がシリコンバレーから来た二人という企業で働いていて、いろいろな面で日本とUSAの違いに気がつく。このブログではプライバシーに対する考え方を、僕なりの目線で感じていることを紹介したい。 日本はプライバシーに対してものすごく敏感な気がしている。例えばSNSでも、自分の名前や顔をさらけ出すことに抵抗感がある人。ものすごく多いんじゃないでしょうか。例えばマンションに住んでいて、一

          日本とアメリカのプライバシーに対する考え方は同じだけど観点が異なる仮説

          プログラミングと英語はスポーツでした

          今僕はとてもダイバーシティある環境で働いていて、英語を話す必要がある環境にいる。これは僕にとってはチャレンジングでたまにストレスになることもあって、それもまた記事にしようかなと思うが、そのチャレンジングな状況を挫けそうになりながらも乗り越えてきているおかげか、英語でコミュニケーションできるようになってきている。 一方で僕はソフトウェアエンジニアでもあって、コードを書く機会はいくらでも見つけられるので書いているのだが、この両者に共通することがある。タイトルのとおりなのだが、プ

          プログラミングと英語はスポーツでした

          僕が感じているグローバルやダイバーシティの意味

          僕はキャリアを、NTTデータという日本大手のSI業者から始めたのですが、名前に冠がついているとおり、NTTデータは元々NTTであったこと、NTTは元々国営企業だったこともあってか、文字どおりの日本企業でした。もちろんNTTデータは僕が在籍していた頃から海外進出を図り、その部署に在籍している方々はグローバルでダイバーシティのある環境で働いていたのかもしれません。ただ、僕が在籍していた部署は公共分野といって、中央省庁や地方自治体といった公的機関にサービスを提供する組織であったので

          僕が感じているグローバルやダイバーシティの意味