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Peer Radioやこれからの音声SNSについて考えを整理してみる

株式会社Peer Lodge代表のまささいとうです。いいね機能がなく、視聴回数が見えない招待制の音声アプリ「Peer Radio(ピアラジオ)」をつくっています。

いくつか質問を頂いていた内容があったので、今回はそちらについて回答してみました。

Q. 「Peer Radio」がどんな音声アプリか教えてください。

ピアラジオは、いいね機能がなく視聴回数が見えない、招待制の音声アプリです。

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・日々生きている中での不安やモヤモヤ、生きづらさ
・誰かに話したいけど話せない感情、センシティブなテーマ

など通常のSNSや配信サービスでは話しづらいことを声に出して整理したり、自分と同じような境遇の誰かと共有できるサービスです。

Q. 他の音声SNSと違う特徴を教えてください。

他の音声SNSと違う特徴は、以下の2点だと考えています。

①コミュニティの安心感
②承認欲求などを気にせず、気軽に声を残せる

①コミュニティの安心感
ピアラジオは招待制のコミュニティなので、ユーザーからの招待か運営チームからの招待のみでご利用いただくことができるようになっています。

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招待制のコミュニティ運営により、コミュニティの安全性を保っています。

さらにコミュニティの安全性を保つために、3つの項目に共感頂けたユーザーの方のみに、サービスをご利用頂いております。

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先日より、ピアラジオを安心・安全に利用頂くためのコミュニティガイドラインも策定しました。

ピアラジオは単なる音声アプリではなく、ユーザーの皆さまにとって安心の居場所となることを何より大切に考えています。

ユーザーの皆さまと一緒に安心・安全な居場所をつくっていきたいです。

②承認欲求などを気にせず、気軽に声を残せる
いいね機能はないので、お互いの投稿にはコメントのみでリアクションすることができます。

視聴回数も見えない仕様になっており、承認欲求を気にせず、気軽に声を残せるような場所になっています。誰かと比較したり、ユーザー同士で差がつくということはありません。

プロフィール画像は自分でアップロードすることができず、8種類のネコからのみ選ぶことができます。

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ユーザーの誰もが平等であってほしい、外見によって聴かれる投稿に差がついて欲しくないという想いがあります。

声を残す前には、自分の気持ちを選んで、自分の心と向き合うことができるようになっています。

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選んだ気持ちは空の色に反映されています。嬉しい時は嬉しい空の色、悲しい時は悲しい空の色。

公開範囲は選ぶことができ、自分のみに声を残して日記的に使うことも可能です。

Q. 開発の経緯やきっかけについて教えてください。

起業をしようと決めたきっかけは、家族がうつ病になってしまったこと。そして近しい友人が仕事のストレスなどがきっかけで自身で命を断ってしまったことでした。

何でこんなにも真面目でやさしくて、誰の悪口も言わずに真っ直ぐ生きている人が、生きていけない世の中なんだろう、ということに強い憤りを覚えました。

そして友人が亡くなった時に、何もできない自分自身に対してはもちろん悔しかったし、命を懸けて叫んだとしても届かない声があって、社会は変わらなくて、いつしか何もなかったかのように忘れ去られていってしまう、という事実がとても悲しかったです。

そんな経験から、僕は世の中からうつ病や自殺を減らせるような事業で起業をしようと決めました。

人間誰しも弱い部分があるものの、「仕事のできる・できない」「優秀かそうではないか」という物差しで優劣がついてしまう競争社会では、自分の弱さや失敗を開示することはなかなか難しいです。

弱い自分を隠して、背伸びして無理して、競争社会の中で生きていかないといけない。その疲弊や生きづらさが、うつ病や自殺を生むきっかけになっているのではないか、と考えました。

本来そうした生きづらさを分かち合える「第3の場所」としての性質を持つオンラインコミュニティも、数字主義的な場所になってしまっているように感じます。

SNSや配信系サービスは、いいね数やフォロワー数、視聴回数が多いことが優れているように感じさせ、競争を促し、承認欲求を駆り立てます。

そうした世界観を否定するわけでは決してないです。お金がないと生きてはいけないですし、数字を稼ぐことは悪いことではないと思います。

ただ、こんな世の中だからこそ、数字ではない場所、比較や競争がない場所が求められているのではないか、そう感じました。

それで、ピアラジオをつくりました。お互いの弱い部分も分かち合って、今のままの自分でいいんだと思えるような、そんなやさしい場所をつくりたくて。やさしいユーザーがあつまるオンラインコミュニティをつくりたくて。

最初は音声サービスをつくりたかったわけでは全くありませんでした。音声はあくまで手段でしかなくて、僕たちはユーザーの皆が安心できる居場所をつくりたくて、サービスをつくってきました。

Q. ユーザーからの反響はいかがですか?

累計投稿件数も順調に伸びています。2月には5,000件を超えました。

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登録ユーザー数も先月と比較すると5倍に成長しています。

App Storeランキングのソーシャルネットワーキング部門では最高17位にランクインしました。

Clubhouseの流行がありましたが、流行と同時に、

・フォロワー第一主義への疲弊
・常時接続型であることへの疲弊
・有名人だけが注目されることへの違和感

などと言った、Clubhouse疲れのようなものもユーザーの方が感じるようになっているようで、

それとは真逆のピアラジオに居心地の良さを求めて利用してくださる方が増えています。

・いいね機能がなく、視聴回数が見えない、数字に縛られない気軽さ
・いつでも自分のタイミングで声が残せる気軽さ
・プロフィール画像も全てネコで、誰もが平等である点

などをユーザーの方から評価頂いています。

Q. どんな人に、どんなシーンでPeer Radioを使って欲しいですか?

・日々生きている中で不安やモヤモヤ、生きづらさを感じている方
・誰かに話して気持ちを整理したいけど、相談するのは気を使うという方
・人間関係や仕事に悩んでいて「自分はこのままでいいんだろうか?」という漠然とした不安を感じている方
・話すことは得意ではないけれど、自分の気持ちを言葉にしたいという方
・SNS疲れを感じている方

などに、以下のようなシーンでサービスを使って頂けたら嬉しいです。

日常の不安やモヤモヤを感じたり、声に出して気持ちを整理したりしたい
→友達に電話しようとするが、夜遅いし気を遣う
→ピアラジオで心の内側を話す
→モヤモヤを声に出して気持ちが整理される
人間関係や仕事のトラブルなどで自己嫌悪
→友達に電話しようとするが、夜遅いし気を遣う
→ピアラジオで心の内側を話す
→悩みを誰かが聴いて受け入れてくれることで気持ちが楽になり、自分は今のままで大丈夫なんだ、と感じる

Q. これまで特に印象的な使い方をされていたユーザーさんがいれば教えてください。

・お子さまが産まれた直後に、お子さまと一緒に声を残してくださったユーザーの方の投稿

「20年後にこの投稿送ってね」という言葉を頂いたので、ピアラジオはこれからもあり続けなければと身が引き締まりました。

・息子さんが上京した後で、寂しさを語るお母さんの投稿
「しくしく泣いています」と寂しさを語る投稿を聴いて、自分の母もこんな気持ちだったのかなと胸が熱くなりました。

・息子さんの受験合格を誇りに思うと話されていたお父さんの投稿
ずっと塾に通って頑張ってきた息子さんの中学受験合格の日に「自分の息子を尊敬しています」という声を聴いて、こちらの投稿でも胸が熱くなりました。

・インドで過ごす年越しの瞬間を残してくださったインド駐在の方の投稿
花火の音と共にインドでの年越しの音声を残しておられる投稿を聴いて、この方が何年か先にこの日の投稿を聞き返して思い返す日が来るのかもしれない、と感慨深くなりました。

・泣きながら将来への不安について話しておられた転職活動中のユーザーの方の投稿
すごく赤裸々な投稿だったのが印象的でした。涙を流しながら声を残せる場所は、他の配信アプリにはなくて、ピアラジオが存在しなければならない理由を改めて感じました。

・話すのが得意ではないことに悩んでいるという話をされていた大学生のユーザーの方の投稿
誰にも言えない悩みを自己開示してくださっていた投稿だったのが印象的でした。あたたかいコメントがたくさん届いているのを見て、ピアラジオのコミュニティのあたたかさを実感しました。

Q. これからの音声SNSはどんな風に進化したり、使われていくのが理想だと思いますか?

以下のような使われ方をしていくのではないか、そしてそうした未来が訪れてほしいと考えています。

①非同期の音声SNS
②未来に記録が残っていく音声SNS
③配信だけではなく、あたたかみを届ける音声SNS

①非同期の音声SNS
流行したClubhouseなどは常時接続型の音声SNSです。リアルタイムで繋がることは価値あるものでワクワクする体験ですが、繋がり続けることへの疲弊を感じる未来は訪れるだろうと考えています。

そうなった際、自分の好きなタイミングで気軽に音声を聴けるような、非同期の音声SNSの需要は再度高まるだろうと考えています。

②未来に記録が残っていく音声SNS
Clubhouseなどは、記録が残らない音声SNSです。

音声ではないですが、Instagramのストーリーズのような残らないことが気軽で良いという考え方は、現代のSNSにおいてはトレンドだと言えそうです。

ただ、記録が残らないということは、今この瞬間の喜びだけを享受することにしか焦点が当たっておらず、短絡的な価値観のように感じます。

例えば、前述したようなお子さまが大きくなった際に一緒に聴けるような声や、その人が生きた証を残す声、その瞬間を忘れないように記憶しておきたい声などは、記録が残らない音声SNSでは残していくことはできません。

未来に声を残していく音声SNSは、世の中にとって必要な存在だと考えています。

③配信だけではなく、あたたかみを届ける音声SNS
現代においては、音声は配信という行為だけが注目されていますが、音声はコミュニケーションやギフトとしても価値があるもので、今後はそのような利用が増えていくのではないかと考えています。

ピアラジオでは、声の年賀状や声の寄せ書きなど、単なる配信サービスではなく、声を贈るギフト事業も展開しています。

年始に開催した声の年賀状企画は、送った側・送られた側どちらからも非常に喜んで頂くことができ、音声をギフトとして用いることの可能性を非常に感じています。

ピアラジオでは今後も、声の持つあたたかみを活かして誰かにやさしさを届けるような、そんな音声サービスを提供できればと考えています。

Q. Peer Radioの今後の展開を教えてください。

今後は、Peer Radioを安心の居場所として運営し続けるのと同時に、法人向けの事業展開を進めていく予定です。

ピアラジオは、家でも職場でもない第3の場所としてのオンラインの居場所で、そうした居場所は世の中にとってなくてはならないものだと考えています。

そんな第3の居場所としてのピアラジオを運営する中で、職場自体も安心できる居場所にしていくような取り組みができないかという想いを感じていました。

母も友人も、職場での問題がきっかけでうつ病になってしまったという経緯があり、第3の居場所も大切ですが、職場においても居場所づくりが必要ではないかと考えています。

自分たちのチームでもピアラジオを利用して、定期的にお互いの日常や振り返りを音声でシェアするようにしています。

現在、フルリモートのチームでアプリ開発を行っていますが、音声のシェアにより、お互いを理解し合いながら働くことができているように感じており、チーム内での音声コミュニケーションに可能性を感じています。

そのような背景から、法人向けの事業展開を検討しています。

おわりに

いいね機能がなく、視聴回数が見えない招待制の音声コミュニティ「Peer Radio(ピアラジオ)」をつくっています。

気になられた方おられましたら、よろしければユーザー登録いただけたら嬉しいです^^

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インターンメンバーも募集しています^^


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