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日本の運命を変えたかもしれない演説

「あれで石破さんに決めた議員は多いと思う」 決選投票前、最後の訴えで石破茂氏が語った「お詫び」 自民総裁選
(2024年9月27日 東京新聞 Web)

仕事に息詰まり1階に降りるとちょうど妻がTVを見ていた。
TVでは特別番組の自民党総裁選。ちょうど第一次の投票結果が発表されている。
有利と噂されていた小泉進次郎は敗れ、石破さんと高市さんとの決選投票になった。
最初の投票では、過半数を取れなかったが高市さんが票数ではリード。
当然麻生派や安倍派とした旧派閥派高市さん推しということを解説者がいう。
結局派閥解消とはいえ、派閥で決まるんだろうな、と私はこの時思った。

決選投票の前に5分間スピーチがもうけられた。
これは今年からの新企画。
立憲民主党でも行なった、評判が良かったらしく、自民党も今回真似たらしい。
演説は石破さんからだ。
私は石破さんの喋り方が嫌いだ。
ねちゃーっとしたというか粘着質な喋り口で、話し始める。

能登震災のお見舞いや岸田総理を持ち上げた後、

「私は至らぬものでありまして、議員生活38年になります。
多くの足らざるところがあり、多くの方々の気持ちを傷つけたり、いろんな嫌な思いをされたりされた方が多かったかと思います。自らの至らぬ点を心からお詫びを申し上げます。とともに、この総裁選挙を通じまして、多くのことを学ばせていただきました」

いきなり自分がいかに人望がないのか、それはなぜなのか、ということを話し始めたのだ。
すっ凄すぎる!!
自分が素っ裸になって、全てを曝け出す覚悟がないと、こんなことは言えない。
私はグッと石破さんの話に引き込まれた。

次に出馬表明をした神社を介しての思い出話が始まる。

「もう今から60年も前のことになります。夏休みでした。そこで夏祭りがありました。今ほど豊かではなかったけれど、そこには大勢の人の笑顔がありました。今ほど豊かではなかったかもしれないけれど、大勢の人が幸せそうでした。もう一度そういう日本を取り戻したいと思っています」

と、言い終えた後、まっすぐ前を見てこういった。

「お互いが悪口を言い合ったり、足を引っ張ったりするのではなく、ともに助け合い、悲しい思いでいる人、苦しい思いでいる人、そういう人たちを助け合うような、そういう日本にしてまいりたいと思っております」

競技者が集中した状態をゾーンというが、石破さんはゾーンに入ったようだ。
明らかに今までのねちゃーとした口調とは違う。
熱い語り口。
石破さんに田中角栄が乗り移ったようだ。
さらに熱が籠る。

「日本を守りたい。国民を守りたい。地方を守りたい。そしてルールを守る自民党でありたい。そのように思い、訴えてまいりました」

カッコ良い。素直にそう思った。
そして、そのままの勢いで演説は進められ
こんな言葉で締められた。

「国民の皆様方は、なお自民党を信じていないかもしれない。しかしながら私は国民を信じて逃げることなく、正面から語る自由民主党を作ってまいります。勇気と真心を持って真実を語る。そういう自由民主党を、私は同志の皆様とともに必ず作り、1人残らず、同志が来る国政選挙において議席を得ることができますように、日本国のために全身全霊を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました」

すごい!
すごい!
すごい!
この演説だけで私は自民党を今後は推そうと思った。
日本人でこんな演説ができる人がいたとは!
私が知る限り、田中角栄、小泉純一郎が演説が上手い二大巨頭だったが、いやいや石破さんがいるじゃないか。
久しぶりに感動した演説だった。
言っているのは内容も重要だが演説は、声の厚みと熱み。
これがないとどんなに素晴らしいことを言っても感動しないものだ。
今日の石破さんはシンプルな内容も相まって心を突き動かす演説であった。

石破さんの演説がすごかったので、その後は高市さんはさぞかしやりづらかっただろう。
声を弱々しく、内容もなく、しかも途中で時間切れという散々なもの。
勝負ありって感じだった。

だが派閥の論理というものがある。
私はこれで石破さんが勝てなかったら日本も本当に先がないな、と思っていた。

結果は石破さんの勝ちであった。

東京新聞には
2人の演説を聞いた麻生派の若手は「最後のスピーチで石破さんに決めた議員は多いと思う。高市さんはもっと準備すべきだった」と話した。
と書かれている

そうだような。
それだけの演説だった。
SNSだ、AIだと言っても、最後人を動かすのは生の声なんだな。

この演説は石破さんの運命も変えたが、ひょっとしてこれからの日本の運命をも変えたのかもしれない。

そう思った。

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