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<下流老人 Life Wreck> 自転車ヘルメット(と、ライフレックと)

 災害級と言われる猛暑の中、歯医者と支払いのために自転車で一駅くらいの間を往復だ。
 歯医者ではマスクを着用するように言われているので(もちろん治療中は外すわけだが)、うっかりマスクのまま自転車で走り始め、さすがにこれはマズいのではと思って停まる。あくまで自分比較だが、今日は自転車走行者のヘルメット装着率が低い。そもそも少ないのだけれど、より減っている感じだ。それ以前に自分のことを差し置いて、よくこんな日に皆んな自転車に乗る気になるなとも思うが。
 ぼくも出がけに一瞬ヘルメットはやめようかと思った。こういう日はヘルメットより、麦わら帽子の方が命を守ってくれるんじゃなかろうか。数日前に何かのニュースでSGマークの無いヘルメットは衝撃を吸収できないとか言ってたが、ぼくのメットには見事に何のマークも無い。だからどうしろと?
 交通行政って(交通だけじゃ無いが)なんかあらゆることがチグハグだ。自転車のヘルメットを(努力)義務にすると言うから、じゃあ買おうかと思うと品切れでどこにも置いてない。何とか物のある店を見つけて、種類が無くて選びようも無い中で買ってみると、今度はマークが付いてないのはダメだとか言い出す。
 なんとかカードじゃ無いが、見切り発車でともかくやるんだ!と凄んでおいて、実際に制度が始まると、いやあそれはダメですねーと現場や末端、国民を自己責任論で責める。準備不足だったのはそっちだろ。安物と言えどカネ出してわざわざ買ったんだぞ。
 な事を思いながら今度は銀行。
 驚くくらい長々と印字されて返ってきた通帳の残高を見て、これは冷房の代わりになった。
 なんとか家に帰り着き、水道水を飲みながらパソコンを立ち上げ、「下流老人」と打ち込んでみる。今のところぼくにはAIは必要無い。ただの文字検索の方がずっと信頼できそうだ。そのうち勝手にAIがしゃしゃり出てくるようになるんだろうけど。
 ウィキペディアがヒットする。「下流老人」は社会運動家・藤田孝典氏の造語なのだという。藤田さんはまともなことを言う人だとは思うが、ところどころで引っかかる。特に表現の自由のところで。昔からよく見てきたリベラル左派の匂いがする。ぼくとは根っこのところで違っていそうだ。やっぱりぼくは頭の底の方が過激派なんだろう。
 ウィキペディアのご託宣では、下流老人とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」のことだそうだ。やっぱり俺のことかと思う。「収入が著しく少ない」、「十分な貯蓄がない」、「周囲に頼れる人間がいない」。確かに少なくとも経済的に頼れる人はいないな。精神的にはむしろ頼りたくないが。これが社会的孤立なのか?
 極貧独身老人が生活していくためには、徹底して節約するか、知恵を使って工夫するか、もしくはそのどちらもが必要だ。
 ライフハック。"オサレ"な言い方。そんな余裕のある話では無い。追いつめられた結果としての生活術。こっちはhack(乗り切る)する前にwreck(難破)してるのだ。
 とは言え、難破はしたがまだ土左衛門にはなってない。ロビンソン・クルーソーも十五少年も難破した後に(小ずるく)生き延びたではないか。
 別にサバイバル人生だなどとは思っていないし、死んでしまっても悲しくはない。だいたい死んじゃったら何も感じないんだから。
 そんな下流老人の生き延びるサマを、事実と作り話を織り交ぜながらダラダラ書いていく。(…のかな?)

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