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その25 入校証(1979文字)

1 はじめに


 年度末に差し迫るとともに、年度始めを迎えようとしている今日この頃です。
 子ども達の姿が学校にない今、改めて、学校安全の根底について考えてみました。

 多くの小学校には「入校証」を着用する仕組みがあるのではないかと思います。

 安全・安心な教育を推進するには、安全・安心な教育環境を実現するには、欠かすことができないものではないでしょうか。

2 入校証とは

 地域に住む方、出入り業者等正当な理由で校内に立ち入る者であることを、客観的に明らかにするものです。
 反対に、受付を経ずに不正に校内に立ち入る不審者を排除するため、あぶりだすための仕組みとも表現できます。

 入校証には、首かけタイプや腕章タイプ、名札タイプ等様々な形態があります。

 校内で勤務する教職員には「職員証」があり、保護者には「保護者証」があります。

 つまり、校内に居るすべての大人が、いずれかの証明書を明示することで、子どもの安全・安心、校内の安全を実現しているのです。

3 学校の現状

 不審者侵入事件は、後を絶ちません。
 毎年のように発生する現状をご存知でしょうか。

 もし凶悪な犯人が、学校に侵入したならば…と考えると危機感を抱かざるを得ません。

 23年前に、児童、教職員に大きな被害をもたらす事件が発生しました。
 この事件を機に学校現場では、特にハード面の整備が進められ、一定の侵入対策、防犯対策が講じられました。

 しかしながら、今なお侵入事案は発生し続けているのです…。
 どうしてでしょうか…。

 それは、ハード面に頼り切っているからだと思います。

 インターホンやオートロックというハードがあるにも関わらず、応対する教職員が、用件も聞かずにロックを解除してしまうのです。

 入校証というハードがあるのに、それを所定の場所に置きっぱなしにして運用してしまうのです。

 つまり、設備というハードを生かすも殺すも、人というソフト次第なのです。

 ハード面とソフト面が相まって、安全で安心な教育環境を実現できるのではないでしょうか。

 ソフト面が機能しない理由は、どこにあるのでしょうか。
 様々な理由があると思いますので、この点に関しては、改めてnoteに書かせていただきます。

4 課題の洗い出し

(1) 放置

 入校証は、正門にごく近い場所である事務室や職員室の前に設置された箱に無造作に放置されています。

 そして、その横に、名前や所属、来校目的、時間等を記入するファイルや用紙が、無造作に置かれていることが多いのではないでしょうか。

(2) 未把握

 その箱の中に、元々いくつの入校証が入っていたのか誰も知りません。
 未把握状態が生み出されています。

 適切に使用・返納されているのか、誰も知る由もありません。

(3) 悪用

 勝手に持ち出しても誰も気づきません。そして、誰にも気づかれません。
 正当な訪問者を演じることができてしまいます。

5 改善策

 単刀直入に「無人販売所」状態を改善することだと考えています。

 入校証という立派なハードを、来校者に渡すか否かは、応対者というソフトの判断にしたいと思っています。

 というと「一件一件対応する暇が、学校現場にあると思いますか!?」という声が聞こえてそうです…。

 確かに学校現場は非常に忙しいです。

 次から次にインターホンが鳴り、来校者は後を絶ちません。
 来校者すべてに入校証を手交することを求めているのではありません。

 毎日のように来る出入り業者や、急いで忘れ物を届けに来た保護者には、入校証は必要ありません。
 なぜなら、いつもの顔馴染みだからです。

 大事なのは、聞いたことのない会社名の訪問者であったり、
 保護者を名乗っているが、見たことのない人であったり、
 出入り業者ではあるものの、いつもの担当者と違う人であったり、

等の際に、確実に面接して、用件を聞き取ることでは、ないでしょうか。
 そして、入校証を手渡しして、活用することだと思っています。

6 おわりに

 以上のように、普段なかなか、ゆっくりと考えられないことに思いを巡らせてみました。
 ここまで考えて、実際に教職員と対話をして、より良い入校証のあり方を考える時間は、やっぱりないだろうなと思いました。

 とても大切なことですが、教職員の業務の中心は、学級経営や授業準備になります。

 ですから、安全教育担当者や生活指導部長、管理職が『えい!』と「入校証の無人販売」をやめる決断をしたほうがいいと思います。

 実際にアクションを起こしてみて、その上で、教職員の反応や来校者の状況から、今後の動向を検討するのは、どうでしょうか。

 とりあえず、一歩踏み出すことを優先するのが、学校安全の基盤を強くするのだと思いました。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 新年度に向けた決意を新たにすることができました。

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