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「ハネウマライダー」と「アイランド」の歌詞が教える、“自分を変えていく”ことの大事さと難しさ。

ポルノグラフティの「ハネウマライダー」と、レミオロメンの「アイランド」という2曲。

曲は違えど、どちらもじつは、「自分を変えていくこと」について歌っているのだ。

今回、この2曲の歌詞を、僕なりの解釈で紐解いてみたいと思う。

ハネウマライダー

ハネウマライダーは2006年にポルノグラフティがリリースした、20作目のシングル曲。

ポカリのタイアップソングにもなったので、聞いたことのある人も多いだろう。

キャッチーなギターリフから始まる、ポップ・ロック・チューンである。

あまりにもメロディーラインがいいので、ついつい歌詞を軽視されがちだが、これが単純なようで奥が深い

ファンに対するメッセージや意思表明?

ぼくはこのハネウマライダーの歌詞を、上記のようにに分析している。

最初に説明しておくと、

Motorbike=バンド と解釈して良いとおもう。

なぜ“Motorbike”なのか?

それはポルノが2人組であり、「それぞれが車輪であって、それぞれが支え合わなければ前に進めない」ということを比喩しているのではないかと思っている。

※昔は3人組、もっと昔は4人組だったんだって。知らなかった笑

つまり、この歌詞に登場する「Motorbike」は、ポルノグラフティ自身であると思ってよいだろう。

新たな旅立ちにMotorbike、オンボロに見えるかい?
Handleはないけれど、曲がるつもりもない。
Brakeが軋むなら、止まるのを諦めて。
Bikeと呼べなけりゃ、名前はどうでもいい。
心は、空を裂く号令を聞いた跳ね馬のように乱暴だけど、
それでも遠くまで運んでくれる。
ただ必死にしがみついてたら、君が目の前に現われた。
Hey you!このBig Machineに乗っていけよ。

出典:ハネウマライダー ポルノグラフティ

一番では、「頑固で真っ直ぐに駆け抜けてきた」バンドのこれまで(過去)が書かれている。

誰にも指図されずに、曲がるつもりもなく、止まることすら知らない。

とにかく、「僕たちのスタイルに君たちがついてきてくれ!」と言わんばかりの傍若無人ぶり。真のアーティストの姿である。

そして、これが2番になると変化していく

どう変化するかというと、「芸術性」とは相対する、「大衆性」を追い求めるかのような歌詞に変化するのだ。

Mirror取り付け、見つめた後ろに寄添う人。
海が見たい、と言われたからHandle切って。

大切なものを乗せて走りたいなら、
生まれ変わっていかなければねえ。

錆びついたBody塗り直して、太陽に映えるMetal Blue。
Gorgeousな風に行き先任せ。
Days of the sentimentalを駆け抜けたい。いっそ自ら巻き込まれて。
明日の忘れ物は今日にある。

出典:ハネウマライダー ポルノグラフティ

「後ろに寄り添う人」=ついてきてくれたファンや、自分の周りにいる大事な人のことだろう。

バンドをやっているうちに、「自分達だけのことではなくなってきた」ということを、ずっしりと実感しているかのような一節だ。

大切なものを乗せて走りたいなら、
生まれ変わっていかなければねえ。

出典:ハネウマライダー ポルノグラフティ

アーティストとして食っていくためには、自分が表現したい芸術(アート)
だけでなく、いわゆる商業的で、かつ民衆に飽きられないための努力が必要である。

つまり、どういうことかというと、自分達の音楽を聴いてくれるファンのために、音楽活動を継続できるような環境を作らなければならない。

そのために、「大切なもののために、生まれ変わっていく」必要があるのだ。

芸術性を追うだけでなく、優れたアーティストは商売として、民衆に寄り添うような“大衆性のツボ”を見極めていることがほとんどだ。

後半は割愛するが、この歌詞は全編を通し、ポルノグラフティ自身の「新たな旅立ちに対する宣誓」だったのだと思う。

極めて前向きな歌詞だ。

それに対する、レミオロメンの歌詞は……まぁ暗いこと!笑

さっそく見ていこう。

アイランド

レミオロメンのアイランドは、2006年に発売された『Flash and Gleam』というライブ音源アルバムのDISK2に、新曲として1曲のみ録されている楽曲だ。

ぼくはレミオロメンがちょうど世代だったために、割と多くのアルバムを聞いてきたのであるが、このアイランドが最も好きな曲である。

※ただ溺れていくだけのPVにも注目してほしい

「社会(大衆性)に染まりきれなかった自分」を、これでもかと赤裸々に描いていて、その歌詞に逃げ場も答えもまるでない

変われなかった自分を嘆く歌詞

「結局、ぼくには耐えられませんでした」という、悲しさや憂鬱さが溢れた一曲である。

君に好かれて 君からは嫌われたんだ
僕は後ろ側 仮面を忍ばせる
笑った顔は引きつって 流した涙は冷めていた
理想や愛の言葉は口よりも前へ響かない
心臓の音が鼓膜破るよ
彼方から三日月の明かりに照らされた道
僕は何処へ行けばいい 外は冷たい風 すすきが揺れているよ

出典:アイランド レミオロメン

「君(新規のファン、大衆)に好かれて 君(古参のファン)からは嫌われた」

そんな強烈な歌い出しとともに、ひたすら絶望や迷いが歌われている。

三日月=自分自身のすり減った心を表現しているようにも読める。

ちょうどこのころレミオロメンは、国民的バンドへの階段を上がりつつある時だった。

ゆえに迷いや苦しさが滲み出たのかもしれない。

そう思って歌詞を読むと、なんだか泣けてきそうな内容なのだ(笑)

戻れないかな 戻れないよな
届かないよな それが時なら

遠い記憶の太陽が僕の心に入り込むことはなくて
瞳を閉じて 時は止まらず 人は変われない

出典:アイランド レミオロメン

レミオロメン(藤巻氏)は「人は変われない」という。

ポルノ(晴一氏)は「生まれ変わっていかなければねぇ」という。

正直、どちらも正解なのだろう。

リスナーのリアルタイムな気持ちが、どちらに共感できるかだけの話である。

結論:人は変わることが難しいが、努力はしたい



歳をとるごとに、あたらしい価値を受け入れたりすることが容易ではなくなる。

今まで続けてきたことが正解であると思いたいし、できればそのままの常識のまま、死んでいきたい。

しかし、状況はいつだって、刻一刻と変化する。

時代が変われば、価値観も変わる。

昨日は正解だったことが、明日には不正解になるかもしれない。

だからこそ、「ハネウマライダー」のように、変化を恐れない自分でいたいのだが、「アイランド」のように結局挫折してしまう自分がいたりする。

あぁ、やっぱり歌詞に込められた想いというのは素晴らしいものだ。

ぜひみなさんも、この2曲の歌詞の素晴らしさに酔っていただきたく思う。

まーしー





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