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「IDOLY PRIDE」と「SELECTION PROJECT」は似ている作品なのか?

2021年も多くのTVアニメーションが世に送り出されて、数多くの良作が出回っています。その中でも1月期に放送された「IDOLY PRIDE(通称:アイプラ)」と10月期に放送されている「SELECTION PROJECT(通称:セレプロ)」はともに良作ではないかと私は感じております。

しかし、SNSでのアニメファンによる反応を見ていると「セレプロはアイプラのパクリ」などと感想レビューが散見されていて、何となく違和感を感じてしまいました。

今回は、IDOLY PRIDEとSELECTION PROJECTは似ている作品なのか、私の考察を加えつつ解説します。もし、片方ずつ作品は観た経験があるけど、もう一方は観たことが無いよという方に伝われば幸いです。ぜひ、読んでみてください。

(当方の推測なども含めて書いておりますので、違和感を感じられる方は申し訳ありませんがご了承願います。加えて、どちらの作品にも敬意を持って配慮しておりますので意図を汲んでいただけますと幸いです。)

IDOLY PRIDEとSELECTION PROJECTそれぞれの概要紹介(※一部ネタバレあり注意)

まず最初に、アイプラとセレプロの作品概要に触れてみましょう。

ほぼ同時期に企画が発表されて、偶然にも1つの共通点がある作品どうしではありますが、大まかな内容を見るとほとんど類似していないように感じます。実際に視聴していても明確ではないでしょうか。

IDOLY PRIDE


芸能プロダクション「星見プロダクション」のアイドルとして活躍していた長瀬麻奈(CV:神田沙也加さん)はアイドルの頂上を競うコンテストである「NEXT VENUSグランプリ」の決勝前にアクシデントに見舞われてこの世を去ってしまう。

麻奈がこの世を去ってから数年が経ち、星見プロダクションのマネージャーである牧野航平(CV:石谷春貴さん)は社長の三枝(CV:小山力也さん)に新人アイドルの発掘を任され、オーディションを開催することに。

オーディションには、麻奈の妹である長瀬琴乃(CV:橘美來さん)が参加していた。しかし、その会場に「胸の高鳴りに誘われて…」と現れたのが川咲さくら(CV:菅野真衣さん)。

琴乃とさくらは縁あって星見プロに所属することとなり、様々なアイドルの卵や一流で活躍しているアイドルたちと出会い、成長を遂げていくのだった―。

SELECTION PROJECT

アイドルを目指すための最大のオーディションである「SELECTION PROJECT」。

第1回では伝説のアイドル・天沢灯(CV:早見沙織さん)を生み出した。「アイドルへの登竜門」として全国各地の予選を勝ち抜いた強者少女たちが競い合っていた。

第7回大会の北関東ブロック代表選考、最終審査に残った美山鈴音(CV:矢野妃菜喜さん)は天沢灯が好きで、あこがれを抱いてオーディションを勝ち抜いてきた。

同じく最終審査に進んだ来栖セイラと高いパフォーマンスで競い合うが、鈴音は審査のパフォーマンス中にふらつきから転倒。わずかな差でセイラが北関東代表の座を獲得する。

しかし、セイラは代表の座を降りたため、2位となった鈴音が繰り上げで北関東代表となった。

全国各地の予選を勝ち上がった代表たちが合宿所に集い、鈴音は花野井玲那(CV:水野朔さん)を始め8人のアイドル候補生と出会い競うこととなるのだった―。

IDOLY PRIDEとSELECTION PROJECTは「目的」が異なる

ざっと概要を述べてきましたが、お気づきですか?

「事務所に所属してアイドルの頂点を目指す」

「アイドルオーディション番組で勝ち上がって夢を叶える」

話の構成で目的が違います。

しかし、アニメを制作している側でも、目的が異なるのではないでしょうか。ここからは私の推測も含みますが、アイプラとセレプロ、それぞれの目的について解説してみたいと思います。

アプリゲーを売り出したい印象のアイプラ

IDOLY PRIDEの真打はどちらかといえばアプリゲーの配信が目的だったんじゃないかなと考えております。

「アニメはあくまでアプリゲームに集客するための一手である。」

それは、実際にアプリゲーをプレイさせてもらった身として感じ取ったことです(私は途中でリタイアしてしまいましたが汗)

アニメでゲーム内容のプロローグ的な描写をおこない、引き続きアプリゲームへ誘導して課金などの行動に繋げるマーケティングを想定したのではないかと。

サイバーエージェントと声優アーティスト事務所のミュージックレイン、エンタメ関連企業のストレートエッジ(元アスキーメディアワークスの三木一馬氏が立ち上げた会社)の3社合同でプロジェクトを開始したIDOLY PRIDEですが、アプリゲー自体はサイバーエージェントの関係子会社である「クオリア-ーツ」が請け負っています。

以下、サイバーエージェントの決算関連資料より抜粋

(2021年1月~3月決算発表、PDFファイル、32ページ参照)

https://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/bxTh/MDAa/KRIL.pdf?_ga=2.152810361.1399722479.1639299712-703573687.1639299712

(2021年4月~6月決算発表、PDFファイル、30ページ参照)

https://pdf.cyberagent.co.jp/C4751/Zbuw/t3oB/KXfc.pdf?_ga=2.181973223.1399722479.1639299712-703573687.1639299712

サイバーエージェントの決算報告などを見ても四半期決算では注目株に挙げられるほど、アプリゲーの収益に期待がかけられていたと想定されます。

しかし、2021年9月期の決算では…残念ながら「ウ○娘」の業績が大きく目立ってしまい、具体的な数値は抜粋できませんでした。

収益面では大ヒットにならなかったかもしれませんが、GooglePlayのクリエイティブコンテストで入賞する快挙を達成するなど、アイプラはアプリゲーの売り出しには成功したと言えるのではないでしょうか。

アーティストコンテンツを売り出したい印象のセレプロ

一方のセレプロは、KADOKAWAとアニメーション制作スタジオの動画工房による合同メディアミックスプロジェクト。

アイプラはアプリゲームを展開していますが、セレプロはゲームメディアの展開予定はない模様。

どちらかといえば、担当声優さんたちによるアーティストユニット「9-tie」をメインとした活動に力を入れて取り組んでいる印象です。

また、作中では「Suzu☆Rena」「Splasoda」「GAPsCAPs」といった分割ユニットを展開して楽曲まで披露。

2021年10月のアニメ放送開始を境目に、積極的な担当声優によるCDリリースイベントを開催しています。

また、2022年1月末にはライブイベントが予定されており今後も顔出しでの活動がメインになっていくと予想できるのではないでしょうか。

IDOLY PRIDEとSELECTION PROJECTは結局「似て非なる」作品

IDOLY PRIDEとSELECTION PROJECTは、結局のところ、似て非なる作品です。

目的が異なる別モノ

アニメでの話構成やメディアミックス構想などの展開を見聞きし、推測を立てる中で、それぞれに違いがあると理解していただけたのではないでしょうか。アニメの表向きだけで、パクリなどと言ってしまうのはよく観ていない人が仰っている戯れ言にも感じます。

「心臓移植」が似ている印象を与えてしまった

似ていると言われた最大の要因は、アイプラのヒロイン格・川咲さくらとセレプロのヒロイン格・美山鈴音に共通する”ポイント”があったからです。

ともに「心臓移植」にて命を救われた経緯を持っているヒロイン。

さくらは「NEXT VENUSグランプリ」を制するとまで言われた伝説のアイドル・長瀬麻奈

鈴音は「第1回SELECTION PROJECT」勝者である伝説のアイドル・天沢灯

この設定は明らかにパクリなどと言われてもやむ得ない。

放送時期は異なるにせよ、企画が発表されたのは2019年秋から冬であると考えたならば、いくつか企画案が業界で出回っていたのかなとも推測できます。

ただ、IDOLY PRIDEの描写は、臓器提供のドナー登録募集キャンペーンでも採用していいのでは?と思える仕上がりでしたし、良いフォローをできていて好感が持てたのですが。みなさんはどう感じ取られていたのでしょう。

いずれにせよ、心臓移植の設定が両作品を似ていると感じさせてしまっただけであって、その他の内容は全然別モノではないかと私は考えております。

まとめ


ここまで、IDOLY PRIDEとSELECTION PROJECTは似ている作品であるのか見解や考察も加えつつ解説してきました。

アイプラとセレプロはあくまで一部の設定が似ているだけで、まったくの別モノです。そもそも、アニメは星の数ほど存在しているのですからまったくもって似てない作品なんて存在しないでしょう。

アイプラも2022年2月に中野サンプラザでライブイベントを予定しています。アプリゲーに加えて、更に顔出しのメディア展開も狙っているのではないでしょうか。

ただ、セレプロも同じく2022年1月にZepp Hanedaでライブイベントの予定。既にYouTubeやTwitter、tiktokなどを使用したプロモーションが活発に行われているので期待して良いでしょう。

今後、アイプラとセレプロだけでなく、アイドル系アニメ作品はまだまだ描かれるはずです。作品どうしがライバル関係となって切磋琢磨し、良作がたくさん出回るように願いたいと考えています。

みなさんも、アイプラとセレプロ、それぞれに良さや魅力を感じて楽しんでみてはいかがでしょうか?





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