スガノミクスと円相場

ドル円現在105.73〜105.74
レンジ予想105.20〜105.90
ゲストJPモルガンチェース銀行 佐々木融さん

昨日はアメリカの長期金利の低下を受けてドルは弱く円は強かった為、ドル円は二週間ぶりに105.50円近辺まで下落している。このところ金利差との相関も失って、NYの終わりは必ず106円台前半まで戻ってくるのが続いていたが、又ドル安方向への圧力が強まり始めてドルの名目実効レートは1月末以来の水準まで下落している。その為、ドル円も徐々に上値を切り下げる展開が続くと予想する。

キャ)菅政権に変わった後の状況をどうみるか?

円の実質実行レートの動きを見ると、アベノミクスの成果の一つは、大胆な金融緩和で円相場を円安方向に持っていきそれを維持した事だと思う。所謂スガノミクスも、金融政策に大きな変更は無いと考えられる為、そこは心配ないかと思う。一方で、小泉政権の時もそうだった様に、政権が一定以上安定し日本の投資家が安心して海外投資を行えた事が円安に繋がった可能性も考えられる為、スガ政権も長期安定となるかどうかも円相場にとって重要なポイントだと思っている。

キャ)その他に為替市場で影響しそうなポイント、どんな所に注目するか?

一番重要なのは日米関係だと考えている。過去も日米関係がギクシャクすると円高方向に振れた事があった為、ここは要注意ポイントだと思っている。例えば1993年はクリントン政権が始まって早々、日米貿易不均衡解決の為に円高を求める口先会議を続けてドルが大きく下落した。あとは2016年4月、これはアメリカが為替報告書で日本を「監視リスト」入りさせたり、当時ルー財務長官と麻生財務大臣の円相場に関する見解が異なって円高に進んだ事があった。

キャ)そしてトランプ大統領の発言でも円高は進んだ。

トランプ大統領、就任直前にトヨタのメキシコ工場建設を非難して円高が進み、結局そこが今でも円安のピークとなっている。勿論それだけで相場は決まらないが、日米間の不協和音が聞こえると円高に振れ易いのは事実で、小泉、ブッシュ政権の時は日米関係が良かった為、ドル円は比較的円安水準で推移していたりする。であるから、菅政権がトランプ政権との関係維持は勿論、来年早々に民主党政権に変わってしまった場合に関係をどう構築していくかが円相場にとって重要な要素だと思っている。