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社会復帰

新型コロナ感染が判明してから丸1週間が経った2月2日水曜の夕方。大きく事態が動きました。

これまで一日に何回リダイヤルしてもつながらなかった“恐らくは保健所的なところからかかってきたと思われる着信”が唐突につながりました。

その着信があったのは罹患が分かった1月26日水曜の翌々日。28日金曜の18時半頃でした。

そこからずっとつながらず、いかに保健所、もしくは保健所に準ずるような部署の皆さんが必死になって対応をされているかを物語るような状況だったのですが、奇跡的にタイミングが良かったのか、スッとつながりました。

検査をして罹患が分かった病院の方からは「今日か、明日くらいに保健所から連絡があるはずなので、まずはそれを待ってください。そして、そこでいろいろな状況を説明してもらって、いつまでどんな対応をすれば良いのか指示を受けてください」と言われていました。

基本的には10日間自宅で療養して、特に病状が悪化したりすることがなければ仕事などに戻ってもらっても大丈夫。その流れになるはずですと基本知識みたいなものは病院で教えてもらっていましたが、まずは保健所の人と話さないと何も始まらない。ただ、結果的には陽性と言われてから丸一週間経ってからのやり取りとなりました。

非常に丁寧に対応していただき、僕の場合は最初から今に至るまで基本的に無症状であり熱も出ていない。

その状況だと先週末から適応された新たな厚労省の基準により、自宅にいなければならない期間は検査翌日から7日間。

中西さんの場合はその新ルールに該当するので、2月2日水曜、すなわち電話がつながった日で自宅療養は終わったことになり、明日からは普通に仕事に行ったり、外に出たりしてもらって大丈夫ですとのことでした。

いろいろと他にも細かい話ややり取りもあったのですが、大枠でかいつまんで言うと、そういう話を実に分かりやすく、優しく教えてもらいました。

何にせよ、当初の話より3日早く社会復帰できる。これは非常に喜ばしい話でもあったのですが、療養中に感じていたのは、この病気ならではの“ややこしさ”でした。

先ほども綴ったように、病気そのものの症状は無症状。いわば、しんどくもなんともありません。

ただ、これは病気そのものダメージというよりも、病気を取り巻くシステムからくる疲れ、心苦しさ、申し訳なさみたいなものが症状そのものよりも何倍もつらかったです。

種々、仕事関係の方に迷惑をかけてしまっている。周りの方々はこれでもかと優しい言葉をかけてはくださるが、それでも、それでも、申し訳ない。その感情からくる各所への連絡、調整、謝罪。そういう部分でヘロヘロになりました。

さらに、ネットを見てみると、あること、ないこと、否、ふんだんにないことを織り交ぜながら僕の罹患やその周囲のことを口汚く綴っている方もいらっしゃいます。

全てのことを棚に上げて、そして、この世の中が「北斗の拳」みたいな世の中なら、あらゆる手を尽くして探し出し、アスファルトの上で“タイガードライバー5種盛り”を差し上げるところですが、それもこの法治国家ではままならない。

いかに、この病気が、システムの部分で、ガワの部分で、ややこしい病気なのか。それを本当に身に染みて感じた療養期間でもありました。

それがあるので、いくら公のルール的に「完全に中西正男さんはもう大丈夫です」というお墨付きをもらったとはいえ、ほぼ誰ともしゃべっていない状況でいきなり3時間のラジオ生放送に出て、変に声がかすれたり、痰が絡んで咳が出たりしたら、あらぬ方向から矢が飛んできて、番組や周囲に迷惑をかけかねない。

そんなことを考えて、今日2月3日のABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」は井上公造さんらウチの事務所の人らと話をした結果、自主的に大事を取って休むという形にさせてもらいました。

ただ、体は基本的に元気ですし、これまでも自分が出演している番組は全部見たり、聞いたりはしてきたので、今日も思いっきり「ウラのウラまで浦川です」を聞いていました。

冒頭、浦川泰幸アナウンサーが「一つ前の番組で増田(英彦)さんがおっしゃっていた言葉、本当に良いお話でしたね。一番心に残ったのは『“かんしゃく”の“く”は薬の“く”である。“く”を飲み込めば、残るの“かんしゃ”』。これを聞いて感動しました。かんしゃく持ちの浦川泰幸です」と話し出しました。

もし、そこに自分がいたら…。

「かんしゃく持ちというか、かんしゃくの過積載。浦川運送のトラックの“ク”は“苦しみ”の“ク”ですものね。タイヤの“イヤ”は“厭”の字で」

このあたりから始めて、浦川さんが話題に挙げてくださっていた配信イベント「鋼鉄マンゴー」での浦川さんの話を広げていき…。

脳内トークは無限に続いていきます。

僕の本業は芸能記者ですが、やっぱり、ラジオが大好き。

素人のおっさんがこんなに有り難い場を与えていただいている。そして、自分を構成する、維持する大きな要素にラジオがなっている。それをこの上なく再確認した療養期間でもありました。

恵まれている。

本当に恵まれている。

しょうもないことを言ってくる人間はいるが、それ以上に、素敵な人に囲まれている。本当に。

感謝、感謝の47歳。

それでもやっぱり、腹立つことはすり潰しにかかる47歳。

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