見出し画像

クラフトマン

(クラフトマン、彼が話す言葉を聴いた)

真っ暗な部屋の真ん中で
膝を抱えたまま
誰に言われるでもなく
囚われた気持ちだった

ありふれた間取りだったと思う
1人には広過ぎて
2人でも少しばかり余裕があった
喧嘩をした日の
窮屈さを除けば

それでさえも今は
光の世界の中のおとぎ話

1人になって
時折、いや毎日
夢の中で練習した
目隠しの綱渡り

左右に伸びたバランス棒
先は果てなく
この場所はずっと
隅っこを思わせない黒く、広い場所

夢の中でも黒いのかと
呆れて笑った
目隠しをする意味も
考えるだけ虚無だった

起きても起きても
身体は重い
昔より太ったとは思う
でも体感は倍以上

(僕はただ、ただ、心配になった
 明るい励ましの言葉も、言えやしなかった)

それでも生きてみるよ
もう一度だけ
そのもう一度が終わった時は
また考えるさ

錆はなるだけ取って
関節のグリスを塗り直してさ
何をするでもない
何かできるでもないけど
生きてみるよ

(クラフトマン、君ってやつは)

もう二度と、繰り返さないように
もう一度、誰かの為に
もう二度と、失わないように
もう一度、誰かの為に

(クラフトマン、ほんとに君ってやつは)

心は燃やせば
まだ叩ける
心は燃やせば
まだ鍛えられる
鉄の刀

人を切るんじゃない
人を思いやれない
弱い自分の心を切るんだ
ズバッとサ

今のところサポートは考えていませんが、もしあった場合は、次の出版等、創作資金といったところでしょうか、、、