自社の株式の価値,ご存じですか?
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自社の株式の価値,ご存じですか?

 こんにちは。弁護士・中小企業診断士の正岡です。
 この記事では,事業承継の対策時に自社の株式の価値を把握しておくことの重要性や価値を把握するための方法についてお伝えしていきます。

そもそも株式って何?

 まずは,この記事の前提として,そもそも株式とは何かについて復習しておきましょう。
 株式は,株式会社の所有者としての地位を表すものです。株式は,株式会社に出資したり,株式を持っている人から譲ってもらったりすることで取得します。株式を持っている人のことを株主といいます。
 創業者の社長さんだと,株式会社を設立する際に資本金の全額を出資して,自社の全株式を持っている方も多いのではないでしょうか。

 基本的には,持っている株式の割合が高いほど会社経営に対する影響力が強くなります(議決権の無い株式など例外はあります)。例えば,単独で全株式の2分の1を超える株式を持っていれば,株主総会の普通決議というものを通じて取締役を選んだり,解任したりすることができます。全株式の3分の2以上を持っていれば,会社の基本ルールである定款を変更することができたりします。
 なので,多くの株式を持つ社長がお亡くなりになってしまい,後継者に非協力的な相続人に株式が分散してしまうと,後継者は会社の重要事項を決定することができず,思うように経営ができない事態が生じ得ます。事業承継で,「事前対策で株式の分散を防ぎましょう。」などと言われるのはそのためです。

 また,株式を持っていれば,会社経営への影響力の他にも,会社が儲かったときに配当を受けることができますし,会社を清算することになった場合には残った資産の分配を受けることができます。

非上場企業でも株式に値段がつく?

 皆さんは,株式の価値というと,トヨタやソフトバンクといった上場会社の株式をイメージするかもしれません。
 「市場に流通しない非上場企業の株式の価値が分かるのか?」とお考えになった方もいらっしゃるでしょう。
 しかし,上場していない中小規模の会社でも,その株式には価値があります。株式を持っていれば,配当を受けたり,清算時に残った資産の分配を受けることができるため,株式には価値があるといえます。
 もちろん,成績が悪かったり負債が多すぎたりして価値をつけにくい会社もありますが,基本的には,あらゆる会社の株式に価値を考えることができます。家族経営の会社の株式だって,その価値を計算することができます。

なぜ自社の株式価値を知る必要があるのか

 それでは,なぜ事業承継では,自社の株式価値を知っておくことが重要なのでしょうか。

 後継者に事業を承継する際には,現経営者から後継者に株式を渡すことになります。この時に,贈与で渡すのか,遺言で渡すのか,売買するのかなど,その方法を考える必要があります。
 現経営者に後継者以外の推定相続人(相続人になる予定の人)がいる場合には,贈与や遺言によってその人達の遺留分(最低限保証された相続分)を侵害しないか検討したりもします。
 どのような方法で株式を渡すか,贈与や遺言の場合には贈与税や相続税がいくらかかりそうか,税制の活用はどうするか,売買するなら代金はいくらにすべきか,遺留分を侵害しないかなどは,株式の価値が分からなければ検討することができません。
 つまり,株式の価値が分からなければ,株式を渡すための最適な方法も分からないことになります。
 特に,業績が伸びている会社,純資産が多い会社は,税対策や他の推定相続人とのトラブル防止対策の観点から,自社の株式の価値を把握しておく必要性が高いと思われます。

株式価値を知るためには

 株式価値の計算方法には,贈与税や相続税の計算に用いられる方法や,M&Aの際などに株式の時価を計算するための方法など様々な方法があります。
 親族の後継者に株式を渡す場合には,贈与税や相続税の計算に用いられる方法で株式価値を把握することになります。
 この方法には,①配当・利益・純資産の要素をもとに,業種内容が類似する上場会社の株価との比較によって評価するもの,②会社の純資産価額を基準に評価するものなどがあり,これらを組み合わせたりもします。
 ただ,これらの方法を調べ,自力で正確に計算するのは大変です。計算だけでなく,資産の評価とか,帳簿に載っていない資産や負債の把握などが必要になることもあります。

 そこで,まずは顧問税理士さんに相談することをお勧めします。
 「そろそろ事業承継を考えているのですが,うちの会社の株式の価値ってどのくらいですか。何か対策が必要になりませんか。」などと相談してみてください。
 株式の価値を計算してもらう場合は,税理士さんに顧問料とは別に報酬をお支払いすることになると思いますが,それは事業承継を行うために必要な経費だといえます。

 もっとも,税理士さんにも得意分野があるため,顧問税理士さんが事業承継対策に消極的なこともあるかもしれません。
 そのような場合には,事業引継ぎ支援センターに相談することが考えられます。事業引継ぎ支援センターは国が設置した事業承継のお手伝いをしてくれる機関なのですが,ここには事業承継に取り組む税理士さんが専門家として登録されており,その支援を受けることができます。

まとめ

 それでは,最後にこの記事でお伝えしたいポイントをまとめます。

・非上場の会社の株式にも価値がある
・株式を後継者に引継ぐために株式の価値を知っておく必要がある
・まずは顧問税理士さんに相談

 この記事が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。

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ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
大分市錦町にある法律事務所。大分県弁護士会所属。 中小企業診断士資格を持つ弁護士と,親身なアシスタントが中小事業者をサポート。事業者でない方からの相談にも対応。経営に役立つ情報をお伝えしていく予定。 ホームページ:https://masaoka-law.com/