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LIFE IS NOVEL #18

「僕も、かつては似たようななことをしてきたからね。君たちのことを否定しきれない。目的のために最良の手段を選ぶのは当然だと思う。
以前の僕が、君と同じ立場だったら、同じことをしただろう。」
「そこまで納得してもらえるなら、ご協力いただけるのですね。よかった、これで上にいい報告ができます。」
「結論を急がないで欲しい。あくまでも、理解できるということであって、賛成しているわけじゃない。
今の僕は、19歳の学生で、青臭い正義感も持っている。
どんな大義名分があっても、人の命を軽く見てることは許せないよ。」
「すでにあなたはシンドウさんではなく、ウラベさんだということですか。
なかなか複雑ですね。論理的には理解できても、それ以上に感情面で納得できないのですか。でもそのおかげで、あなたを動揺させる材料には事欠きません。」
「ああ、今の僕は簡単に感情を揺さぶられてしまう。そちらがどんな手段に出ても、いらだちを隠せないかもしれない。だから、余計なことはしないで、早く用件を言ってくれないか。時間がないんだろう?」
「私としては、もう少しお話が必要と思ってここに来たんですけど、
ウラベさんがそうおっしゃるのであれば、お話しましょう。」

いよいよ本題に入るか、というタイミングで、彼女が注文したランチが運ばれてきてしまった。
「すみません。先にこれを食べてから。その後でお話しましょう。」
そう言うと、彼女は食事を始めてしまった。「食べる前に話をしよう」という僕の提案は全く聞き入れてもらえない。しかたなく食べ終わるまで待つことにした。
目の前で食事している様子を凝視するのは、こちらが気まずくなったので、視線をそらし、姉の様子を確認する。しかし、先ほどまで座っていたボックス席に姉と男の姿はなかった。
このわずかな時間で食事を済ませたとは考えにくい、どこに行ったのかと店内を見渡した。そのとき。

「…ケンコー、ここでなにやってんの?」

ふいに声をかけられた。そこに立っていたのは僕の友人のワタナベだった。
どうしてここに彼がいるのか?なぜウェイター姿なのか?さっきまで、店内に彼の姿は見えなかったではないか。
僕は言葉に詰まってしまった。

しかし、それで、終わらなかった。

「あれ?ワタナベくんじゃない。」
そこに姉まで現れてしまった。
「あ、ケンコーのお姉さんじゃないですか。こんにんちは、お久しぶりですー。」
「久しぶりー、こんなところで奇遇ね。って、あれ?タケヤスもいたの…」

知り合い二人がそろって、僕の方に目をやる。そして、その視線はほぼ同時に、向かいに座っている女に移動した。

「…タケヤス、その人…もしかして、あなたもデートだったの?」

僕の対面で座る女は、周りのことなど意に介さない様子で、
粛々とカルボナーラを食べ続けていた。


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