学生にチャンスを

　4棟目は「もろみ小路」から離れて、大野川を渡った砂丘地の芋蔵。砂丘で育てたサツマイモを貯蔵する、森さんが所有する蔵。ハマヨスタジオと同様、10年間無償で借用し、金沢市の改修補助金を導入してリノベーション、アトリエとして活用するプログラム。
　
　さすがにここの設計費用まで身銭を切る余裕がなかった。とてもコンパクトな空間だし、住宅街から離れていることもあり、学生達に設計を任せることにした。デザインが多少稚拙であってもいいじゃないか、という気持ちもあった。

　金沢工業大学建築学科の学生4人が手を挙げて、実測からスタートした。水野一郎研究室の修士1年生と4年生、僕から一郎先生にお願いしたのだろうか。

　幅広い世代がプロジェクトに携わることにより、新たなエネルギーが注がれ、わくわく感というか愉しさが膨らんでいたことを記憶している。