幸運の壷

 私こと林田陽一は、昔、何人もの嫉妬の渦に巻き込まれ精神を病みかけた経験から、嫉妬という感情を心から憎んでいた。人が人の不幸を望むということがいかに自分をも不幸にしていくかが、生々しいほどに目前に示された。自分の幸運を望むのはよいが、人の不幸を望むこととそれはイコールではない。たとえ奪い合い、蹴落とし合って1つの成果を得なければならないことであったとしても、それは競争相手を蹴落とすのではなく、自分を鍛えることで近付けばよい。綺麗事でなく、そうでなければならない。そう思うようになった。他人に祈るのは、不幸ではなく、幸運か健闘であれ。

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