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高度日本人財優遇制度の導入を

<高度外国人材の受け入れ策>

政府は2023/2/17、日本で働く高度外国人材を増やす新たな受け入れ策を決定しました。
1.年収2000万以上の技術者らが滞在1年で永住権を申請できる制度を新設します。
2.世界の上位大学の卒業者に就職活動で最長2年間の滞在を認めます。
通常外国人の永住権の取得に必要な滞在期間は10年ですが、高度専門職は3年か1年で申請できます。

1.特別高度人材

研究者と技術者は『修士号以上の取得と年収2000万以上』もしくは『職歴10年以上と年収2000万以上』、経営者は『職歴5年以上と年収4000万以上』と設定します。対象になった人は特別高度人材となり、1年で永住権の申請が可能となります。雇える外国人の家事使用人を現行の1人から2人に増やし、配偶者がフルタイムで働ける職種を拡充する内容も盛り込みます。2022年上期に高度専門職と認められた人は3275人、そのうち新規入国者は783人です。
 
2.特別高度人材予備軍
 
世界上位の大学卒業者の日本企業への就職促進策を設けます。在留資格の特定活動に『未来創造人材』という枠を設け、滞在期間を2年に伸ばします。イギリスや中国の機関が出す3種類の大学ランキングのうち、2つ以上で上位100位以内に入る大学を卒業してから5年以内の人を対象とします。家族の帯同も許可し、能力のある人が時間をかけて日本での就労を考える機会を用意します。今回の制度はイギリスの『ハイポテンシャル・インディビジュアル・ビザ』及びシンガポールの『テック・パス』を参考に作成されています。

<でも魅力は低い>

人材サービスのヒューマンリソシアの2022年の調査によると、日本の情報通信業の就業者の平均年収はおよそ4万ドルで、米国の半分、ドイツの7割の水準にとどまります。
OECDによると、加盟国の平均賃金はこの30年間に35%増えましたが、日本はわずか5%しか増えていません。
OECDが2019年に公表した国際人材誘致ランキングで、日本は35カ国中25位でした。起業しやすさなどの『機会の質』のほか配偶者の就労や子供の教育といった『家族の環境』で評価が低い状況です。1位はオーストラリアです。 

<フィンランドは義務教育を延長>

人口が少ないフィンランドにとって最も大事な資源は人材であり、その潜在能力を引き出すために欠かせないのが教育です。2021年には義務教育の年齢を16歳から18歳に引き上げました。高等教育を終えないと就職率が低くなる傾向がデータに表れていたためです。大人になってから学ぶ効果を高めるには、前提として幼少期からの教育がきちんとできている必要があります。教育は人々がキャリアを築くため最も有力な手段かつ投資で、成長力を生み出します。 

<スイスは外国人材を活用>

外国出身者を成長の原動力にしてきた代表例はスイスです。人口900万人弱の小国に巨大な多国籍企業が集積します。ネスレの創業者はドイツ出身、スウォッチの創業者はレバノン出身です。世界企業番付『Fortune Global 500』の2002年版のスイス企業の売上高合計はスイス全体のGDPに匹敵し、アメリカ(5割)や日本(6割)を大きく上回ります。利益を見るとGDPの1割強に相当し、米英の2倍以上の水準となります。 

<いい職場と悪い職場>

『いい職場』と『悪い職場』の違いを検討するため、1400万件の社員口コミで企業に評点をつけるオープンワークと日経が共同で分析しました。約3400社の上場企業のうち評点上位5%と下位5%を抽出し、頻出ワードを可視化しました。上位5%で頻出ワードは『共感』『フラット』『自由闊達』です。下位5%は『ワンマン』『イエスマン』などの閉塞感が漂っています。成長力の差は鮮明で、上位と下位それぞれ2021年度の純利益合計額を3期前と比べると、上位は7.7%増、下位は△2.4%です。 

<外国人財よりも日本人の優秀な人財の確保を>

高度人材ということになると、とかく外国人に焦点が当たります。確かにスイスやシンガポール、香港といった人口が少ない国であれば、海外から高度な人材を求めることは理にかなっていると思います。しかし日本は人口が減少しているとはいえ、1億人以上人口がいる国です。海外に滞在している日本人も含めればそれ以上の数となります。以下のメルマガでも記載しましたが、まずは優秀な日本人に焦点を当てて、施策を打つべきではないでしょうか。 

YCS118 優秀な日本人を日本で働きたいと思わせるには
https://note.com/masanori1980/n/n6919e78a7f4c

YCS 118 人財獲得は日本の国策
https://note.com/masanori1980/n/n529e3b7d4e04

最大の理由はやはり愛国心かと思います。経済的に誘致したとしても、やはり自分の国を愛するというのが人の心情だと思います。人は生まれ育った国に愛着を持っており、日本にもし短期的に在留してくれるとしても、経済的に見合わなければ長期的には出て行ってしまうというのがオチかと思います。長期目線で高度人材を確保しようとした場合、日本に愛着をもってくれる日本人が一番だと思います。

<高度日本人財優遇制度>

私が岸田首相なら、海外に在留する高度人財の日本人を優遇する制度を導入します。今回の高度人材制度を利用するのであれば、以下のような形にしても面白いと思います。あくまでjust ideaですので、もっと面白いアイディアが今後浮かぶかもしれません。

1.特別高度日本人人財 

研究者と技術者は『修士号以上の取得と海外で年収2000万以上』もしくは『職歴10年以上と海外で年収2000万以上』、経営者は『職歴5年以上と海外で年収4000万以上』と設定します。
対象になった人は特別高度日本人人材となり、政府が現行の年収を保証し、日本政府がトライするプロジェクト(CO2ネットゼロ、生産性向上等)へ貢献してもらいます。雇える家事使用人を2人政府が手配し、配偶者がフルタイムで働ける職種を拡充する内容も盛り込みます。
経済特区に居住してもらう代わりに、キャピタルゲイン非課税を導入し、シンガポールや香港での税制優遇を日本にいながら受けられるようにします。
国際人材誘致ランキング1位のオーストラリアの制度をPPP(パクってパクってパクリまくる)して、日本にいることが魅力的な状況を作り出します。

2.特別高度日本人人財予備軍

世界上位の大学卒業者の日本企業への就職促進策を設けます。在留資格の特定活動に『未来創造人材』という枠を設け、イギリスや中国の機関が出す3種類の大学ランキングのうち、2つ以上で上位100位以内に入る大学を卒業してから5年以内の人を対象とします。
最初の3年間は1000万以上の給与を保証し、そのうち2/3は政府が補助金で補填します。日本企業としては、高度日本人人財を1/3の給与で雇えるため、企業の活性化に繋がります。3年目以降は企業と従業員の契約に従います。

<いい職場も必要>

高度日本人人財が日本市場を嫌う理由の一つとして、上記の『ワンマン』『イエスマン』などの閉塞感が漂う『悪い職場』が日本にはびこっていることも挙げられるかと思います。そのため政府としては、高度日本人人財として認定した人を『いい職場』に導く必要があります。どの職場が『いい職場』に該当するのかは目利きが必要となりますが、上記の調査で記載されている『共感』『フラット』『自由闊達』等の項目に該当する職場であれば、高度日本人人財も定着してくれるのではないでしょうか。優秀な人材を確保するために、企業側も努力が求められます。 

上記の制度で、特別高度日本人財が政府のプロジェクトを動かし、世界に負けない施策を考え実行するとともに、特別高度日本人人財予備軍が日本企業で成長した上で、次の特別高度日本人人財となっていく。この循環が生まれてくれば日本経済は活性化するのではないでしょうか。
キャピタルゲイン非課税制度とが不平等だという指摘はあるかもしれませんが、それ以上に彼らがやるプロジェクトや法人経営で法人税等が発生すれば、国としての税収は全体としてプラスになると思われます。 
『隣の芝生は青い』ため外国人が優秀に見えることも多いですが、日本人も十分優秀だと思います。ただ活用できていないだけです。まずは日本の為に働いてくれる日本人を優遇すべきではないでしょうか。


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