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転職できる責任

『転職業界の現状』
 
日本人材紹介事業協会がまとめる大手3社の紹介実績を見ると、2020年度は41歳以上の転職者数が約1万人と5年前の2倍に増えました。20、30代も増加していますが、伸び率は40代以上が最も大きいです。中高年に特化した人材紹介サービスのシニアジョブでも2021年末の登録者数が61500人と2019年比で2.7倍に増えています。
背景には企業のリストラがあります。東京商工リサーチによると、早期退職や希望退職の募集を開始した上場企業数は2021年に84社、うち69社は募集人数も公表しており計15000人にのぼります。転職サイトでは退職を募った企業の社員の登録が増えてます。エンジャパンではJT出身者の登録数が18年の3.1倍、青山商事は3.7倍です。
国の調査では、転職後に賃金が上がった人の割合から減った人の割合を引いた値は45〜49歳で10年前は△8.5ポイントと減る人が多かったのに対し、現在は9.7ポイントと賃金アップが見込めることが中高年の転職の背中を押してます。一方50代は厳しい状況で、50〜54歳は△5ポイント、55〜59歳は△20ポイントとなります。 
 
『転職する権利と責任』
 
終身雇用や年功序列の慣習が崩れ転職の選択肢はますます一般的になります。働き手にとっては年齢に縛られずリスキリングの機会を持てるかが重要になります。
日本で転職がシニアでもできるようになったことは歓迎すべきことだと思います。会社に一生しがみつかなくてもよくなり、自分で仕事を選べるという環境は幸せな人生を過ごす上でプラスだと思います。
 
一方権利には必ず責任が伴います。転職できるという環境は、逆に言うと『転職できる人だけが転職できる』ということです。全ての人に平等の転職の権利が与えられるわけではない、ということを押さえておかなければなりません。転職の権利が行使できるようにするためには、日々自己研鑽を繰り返し自分の実力を高めておく必要があります。また世界情勢、経済の流れを理解した上で、どのような職業職種が伸びるのかということを常にウォッチする必要もあります。
今までは1社に滅私奉公していれば生きれたのに対し、今後は自分で実力を磨き選択する必要があります。資産運用と同様ですが、会社から個人に責任が転嫁されたと考えるべきです。プロ野球選手の FA権と同様に考えると分かりやすいと思います。
 
会社も一生その人の面倒を見る必要はありません。たとえ滅私奉公したとしても、会社都合で首を切られる可能性は十分あります。その時に『全てを会社に尽くしてきたのに首を切る会社はひどい』と言うのはお角違いです。個人に転職の権利がある以上、会社にも雇用の権利があるからです。
 
ダーウィンは進化論の中で『強いものが生き残るのではなく、変化し続けるものが生き残る』と謳っています。日本も変化し続けることが個人に求められる時代となったのです。『会社に雇われている』という感覚ではなく『会社と自分は win-win の関係である』『自分が今の会社で働くことを選択している』と考えることが重要だと思います。
考え方次第で働き方、ストレスは大きく変わります。会社に縛られないと思った瞬間に働くストレスは激減します。会社とwin-winの関係を築いた上で、転職できる権利を常に保持するため、転職できる責任である自分の実力を磨きましょう。


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